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リーダー修行記83(『リードとは信じることと見つけたり』フェーズ4)

昨年のリーダーデモから「ウイングロンデ」というステップにチャレンジしています。
メインコーチャーの試合で観たそのステップがめちゃカッコよかったので、

「リーダーが左足を後ろにぶわってしてふわってなるやつがやりたい」

と先生に言いました(ステップ名も知らなかった)。

「リーダーデモに入れたい。難しい?」
と聞いたら、
「できると思うよ」
というあっさりした答えだったので、意気揚々とサブコーチャーと練習を開始したところ、めちゃくちゃ難しい上に体幹が相当必要なことが判明。左足ロンデしながら右足ライズしながら360度回転するという正気の沙汰じゃないステップだというのを、やってみて知りました。聞いてないよ。

私「簡単って言ってたじゃないですか」
先生「簡単とは言ってない」
私「さも簡単にできる、みたいな言い方だったもん🐥」
先生「難しいけど、けやきさんならでるっていう意味だよ(薄笑い)」

かくして、このステップになじみがないというサブコーチャーと、文字通り二人三脚、試行錯誤の末に、12月のデモはなんとかやりきることができました。重心を安定させる燕尾の重みと、遠心力を作る燕尾のしっぽが私をアシストしてくれました。さすが戦闘服。

そして、最初は絶対できないと思ったこのステップがなんとなく形になったことに気をよくして自分のスローのルーティンに入れることにしました。
つまり、デモ練習から数えると都合6ヶ月も練習してるわけですが、いまだに苦戦しています。デモでは、一応どうにかしたはしたのですが、自分の満足いく形でできたことは一度もないのです。

そもそも先生の試合を観て憧れたこのステップ。私は大事なことを忘れていました。

メインコーチャーは4スタンス理論クロサー。私はパラレラー

:クロスの人をクロサー、パラレルの人をパラレラーというのは私の造語です(笑)

聞くところによると、身体の中でねじりを作れるクロサーは、床を踏むだけで、足に針金がぐるぐる巻きつくように身体が回転するらしいです。意味がわかりません。針金が巻きつくって何? 妖怪か

けれど、その妖怪のような身体の構造が、高く美しく弧を描くロンデのラインを作り、上半身をふわっと浮き上がらせて大輪の花を開かせるのです。妖怪のくせに生意気な。

肩と骨盤が同時に動くパラレラーの私は、床を踏んでも針金が巻きつかない普通の人間なので、上半身と下半身を分離することができません。クロスコーチャーと同じことをやっても動力が生じないのです。
デモのとき、同じパラレラーのサブコーチャーとどうやって動力を作り出していたのかというと、先生が下から私を押し上げていました。つまりパートナーがひよこ🐥の動力になってくれました。かたじけない(笑)

私が憧れているのはクロサー中のクロサーの、ふわっと浮き上がる滞空時間の長いウイングロンデ。
このステップ自体、はっきりきっぱりクロサー向きだと思います。パラレラーには荷が重い。

でも、だからといって諦めたくはない。
人間と妖怪の違いはあっても、腕は2本で足も2本。キングギドラじゃないのだから、どうにか擬態できないものか。

そう考えてみたのですが、残酷なことに、クロサーがパラレラーに擬態することはできても、逆はだいたい無理なのです(器用で身体能力高い人とか、4スタンスマスターならできるのかもしれない)。
悪戦苦闘するのを見かねた先生が、パラレルリーダーに擬態して、私をパートナーに実演してくれました。

「けやきさんがやれるウイングロンデはコレ

……コレと言われましても。

このステップ、パートナー側でやったことがある人はわかると思うんですが、一緒に踊ると、リーダーが何をやっているのかさっぱりわからないのです。

メインコーチャーもサブコーチャーも、

「たいてい相手が何をやってるかわかるものなんだけど、ウイングロンデは全然わからない」

と言うので、プロでもわからないもののようです。

先生「今できたんじゃない?」
私「私、ロンデしなかった」
先生「えっそうなの?」

という会話もしばしば。

しばしば。

しばしばなのに、私がパートナーをやって、リーダーを学べるわけないじゃない。

でも、そのとき撮った動画を観返して、あることに気づきました。

クロスリーダーのウイングロンデは、弧を描くように舞い上がるリーダーのかっこよさが映えるけど、パラレルリーダーのウイングロンデは、広い円周を描いて高速上昇するパートナーのダイナミックさが映える気がする。
クロスの花を咲かせるのがリーダーなら、パラレルの花を咲かせるのはパートナーな気がする。
何分、動画のサンプルが私なので特段映えていないんですが、上手なパートナーが踊ったら、かなり華やかに見えるんじゃないかと思いました。

この半年、自分(リーダー)が映えるウイングロンデがやりたくて試行錯誤してきたのですが、パートナーに気持ちよく美しく踊っていただくことがすべて、というリーダー教の教義に忠実であろうとするならば、パートナーを徹頭徹尾映えさせるパラレルウイングロンデも悪くないかもしれない、と思い始めました。

実際、練習をしていて、ちょっとうまくいったなというときは、

「こちらへどうぞーーー」

と、私が祈ったときなのです。

片足でライズし続けるのは、体幹貧弱な私にとってだいぶしんどいのでとっとと下りたいわけですが、

この道を!

パートナーが行ききるまでは!

おらがドアを閉めちゃなんねえだ!

という気持ちで踊るとうまくいく感じです。

なんか久しぶりに言ったわね、リーダー教の教義の主軸「気持ち」。

先生「パートナーに対する責任感が、けやきさんの『祈り』の動力なんだね

そういえば、

「こちらへどうぞーーー」

と祈る手法は、女性の先生から習ったものかもしれません。
男性は同じ「祈る」流派でも、「目線で祈る」とか「頭で引っ張る」とか「気持ちを伝える」とか、主体が自分にあるんですが、女子リーダー教は、主体が相手にあるんです。
(女子リーダー教とかまた勝手に命名しちゃった)

先生「それ、リーダーとして一番必要なものかもしれないね、パートナーへの責任感」

なんと!

リーダー教の教徒の中の教徒、もはや伝道者のコーチャーに、ひよこ🐥が「祈り」を伝授する日が来ようとは。

かくして、すでにしてどっぷりリーダー教に入信している私は、男子と女子、ふたつの流派の祈り方を体得し…できてはいませんが、二通りの修行ができています。女性リーダー、案外お得です。

ちなみにウイングロンデは、パラレラーも悪くないと納得してから、だいぶ光が見えてきました。自分を理解するって大事ですね。

(おわり)

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