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リーダー修行記77(ひよこ、ついにリーダー教布教者になる)

年が明けて最初のイベントは、2月初頭のサークルパーティーでのフォーメーション。

完全なる私の思いつきで友人3人を巻き込み、勝手に曲を編集して先生に送りつけて振り付けてもらった、4人2カップルの寸劇…ではなく、フォーメーション。

構成は男女ふたりずつ。リーダー余りにより、不本意ながらパートナー側になってしまったことを除けば、レッスンも練習も楽しくて仕方ないです。

が、本番1ヶ月を切って私がケガをし、当面練習できなくなりました。なんという間の悪さ。
仕方なく、今週の練習会は、音響係と撮影係と監督で参加しました。

このほどようやく全部の振付が完成し、みんなステップは覚えたので、後はクオリティを上げるだけ、という段階です。
そう、デモでいうところの、いちばん大変な段階です。

ステップを覚えることは練習すれば誰でもできる。でもクオリティ上げることには限界がある。なのに練習した分だけ妥協できなくなる。退くか進むかの葛藤に身を焦がすあの段階です。

何度か通した後、誰ともなく、

スローが単調だよねえ…

という恐ろしいことを言い出しました。もしかしたら、私が言い出したのかもしれません。

スローをスローっぽく踊ろうとすると泥沼にはまることは、先月スローで燕尾デモデビューをした私がこの中でいちばんわかっています。
重々わかっているけども…今日のわたしは手負いのひよこ。踊れないからにはもう口を出すしかない

私「出だし…じゃないかなあ(ぼそり)」

私「出だしが違うんじゃないかなあ(ぼそり)」

私「リーダーの出だしがまずいんじゃないかなあ(ぼそり)」

これは、私が口にしていいことなのだろうか。修行歴2年程度のひよこが、説いてよいものだろうか。

いいのか?
いいのか?
教祖に相談しなくていいのか私!?

「足からツッコむんじゃなくて、『頭』で引っ張るんだよ!」

………言ってしまった。

ひよこの分際で言ってしまった。

功徳を積む前に教義を説いてしまったーーーすみませんすみませんほんとすみませんーーー!

全員にポカンとされたので、私がパートナー友を相手に実演。

私「自分の頭をパートナーと逆方向に引っ張って、右手はリリースするの」
リーダー陣「・・・・・」
パートナーさん「わかる!!」

………どうしようこの構図。

私的にはパートナーにわかってもらえればそれで世界は平和になるのだけれど、事はフォーメーション。今日の私は蜷川幸雄

私「ふたりのが吊り合うところにエネルギーが生まれるの」
リーダー「右手リリースは何?」
私「そっちに行ってーー!みたいな」
リーダー「『みたいな』って何」

ひよこが足型もおぼつかない頃から、私の先生は「頭の位置と目線と気持ち」の話をしていて、「それなんの宗教?」とビビり倒して書いたのがこのリーダー修行記第1話なのですが、その私が、よもやまさか「リーダー教」を布教する側に回る日が来ようとは。

かつて同じ流派の先生が、信じてもらえる気がしないから生徒さんにはなかなか言えない、と言っていた気持ちが、今の私はよくわかります。初回レッスンから、初の女子リーダー生徒である私に、さも当然と布教活動をしていた私の先生はメンタル強者です。
普通はねえ、こいつ何言ってるんだと思われそうで、口に出すのはだいぶ勇気がいるんですよこの教義は。

ただ、私には、大多数のリーダー陣にない大きな武器があります。

「パートナー側をやるとわかるよ!」

……もっと困った表情された。

救いになったのは、パートナー友が、

「わかる!全然違う!」

と言ってくれたことでした。
持つべきものは、スーパーフォロワーの友。

蜷川幸雄「ほら、全然違うんだって。はい、やって」

フォメ仲間はみんな心やさしいので、腑に落ちねえ、という表情をしながらもその通りにやってくれまして、そしたら彼女が大変に踊りやすそうに踊ってくれまして、側から見ていた私は、

ほおお〜この教義、確かに正しいんだねえ。

と感嘆しました。
実は私もまだ100%の確信がないのです。それくらいつかみどころのない教義なのです。祈るリーダー教。

ついでに、私がパートナー側でいつも言われている、「パートナーもリーダーに付いていかないで、頭を逆側に引っ張る感じ」と言ってみたら、

「スローカウントが取れるようになった!」

と、リーダーに喜ばれました。

パートナーの力がないとリーダーはスローを取れない、というのは、はっきり習った記憶はなくて、私が先生たちと踊るうちになんとなく覚えたことなんですが、

私の感覚、間違ってなかったんだな

と思いました。
なんか他人で実験してるような気もしますが、教えるのって、自分が学ぶことなんでねえ。

今回、蜷川監督をやってみて、ふたりの力で社交ダンスは成り立つんだなあと、しみじみ感動しました。どちらか片方の力じゃどうにもならない。どんなにフィジカルが強くても、リーダーの力だけだとどうにもならない。

私は普段、先生と踊ることが多いんですが、私は教わる側だけど、「先生が踊りやすいように踊りたい」といつも思っていて、相手がパピヨンでもゴールデンレトリバーでも同じように思っていて、ゴールデンレトリバーでも思っていて、ゴールデンレトリバーでも…

思っていて、その姿勢、結構間違ってないんじゃないのかな〜と思いました。

人に教えるのって、自分が学ぶことなんですね。そして、先生の教えの真髄を知ることなんですね。

先生、2年間ありがとう。私、「リーダー教」の教えを、多分正しく布教することができました🐥

(おわり)

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