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リーダー修行記31(5種目トライアルがスリルとスペクタクルに満ちていた件④)

(前回のつづき)

4種目目: スローフォックストロット

最難関、パートナーからのリーダーチェンジ。元々がパートナーなので、リーダー→パートナーより、パートナー→リーダーの方がモードの切り替えははるかに難しいです。しかもヴィニーズワルツで体力を削られた後のスロー。

理想的なポジションからスタートできたのですが、コレが今回のチャレンジの成否を決めるキモ、という意識をしすぎたせいか、リーディングフットから突っ込むという近年まれに見るひどい出方をしてしまいました。レッスンだったら、絶対動いてもらえないやつ…。

その後はまあまあ立て直したものの、一周目を折り返した後の、ふたりが華麗に入れ替わってこれから見せ場のリバースウェーブだぜイエィ!というところで突然、パートナーに力づくで後退を止められました。加速しようとした瞬間だったので、何が起きたかわからず大パニックを起こす私。(後で聞いたら他カップルに衝突しそうだったらしい)

何?何が起こった!?

いかんせん、後退に入った瞬間なので、背後に気配は感じるものの、何がどうなってるのかさっぱりわからん。前方はパートナーが立ち塞がってて何も見えん。

後から改めて動画を見たところ、この瞬間、4組のカップルが一直線に並んで停止していました。その先頭にいたのが私。
まじか…。まさかわたしが3組もせき止めていたとは…。
あれですよ。駐車場で車をうまく入れられなくて何回も切り返しているうちに、他の車が通れなくてどんどん列ができてくことってあるじゃないですか。あんな感じ。

すみません…すみません、すみません、うわああぁぁぁすみません!!!!

リーダー同士というのは、この人は多分こっちに進むな〜という気配を感じ取り、ときにアイコンタクトを取りながら道を決めるもの(らしい)ですが、私の真後ろにいたリーダー様は、私がいったい前進するのか後退するのか右に行くか左に行くか、まったく判断がつかずに困り果てたに違いありません。私、現在地すら見失って立ち往生してましたからね。
しかも、わからないなら黙ってプロパートナーに任せればよいものを(そのためのプロアマですよ)、どうにかせねばという無駄なリーダー魂が空回りし、目に見えておろおろしていたので、余計、予期せぬ動きしかしそうにない危険リーダーに見えたと思います。

状況としてはこんな感じ↓

私が無駄にじたばたするのを先生が力で抑えてつけてタイミングをはかっている
→すぐ後ろの先生が、私の挙動に判断がつかずに困る
→その後ろの先生が、前の先生が困っているのを見て困る
→その後ろの先生が…以下略

あれですよ。車が数珠繋ぎになって、全体がおいこら誰のせいで止まってるんだよって空気になってる駐車場あるじゃないですか。あんな感じ。

すみません…すみません、すみません、うわああぁぁぁすみません!!!!私が車を切り返せないんですうぅぅぅぅ…

どう立て直していいかまったくわからず完全にパニックを起こしていた私、「次でリバースウェーブに入りましょう」という先生の一言で、ちゃんとリバースウェーブに入れたのすごくないですか?
あの状況から立て直せたのは、私にとっては、もはや奇跡に近いです。

でも、すっかり動揺しきっていたので、何度も繰り返し練習し、札幌まで行って教わった、リバースウェーブ〜バックフェザーの、「パートナーがシェイプする時間を作る」というリーダーの使命はまったく果たすことができず、音楽も完全に外してしていて、なぜかバックフェザーを予定より1回増やすというアドリブをぶちかまし、そのアドリブに自分で動揺し、あろうことかバックフェザーの途中でステップをぶった切ってターンしてしまいました。

なんでそんなことをしでかしたのか自分でも意味不明だったのですが、後から動画を検証してわかりました。
この原因はたったひとつしかない。

本番用の音楽で練習しすぎた。

この日このヒートのスローの曲はだいぶテンポが遅くて難しい曲だったのです。なので、曲が発表されてからの数日間、暇さえあれば聴き続け、脳内シャドーし続けました。
この曲のここでこのステップをやる、みたいな細かいことは特に考えていなかったのですが、曲のどこから踊り出すかは決めていて、毎回そこからシャドーしていたので、結果的に私の中で音楽とステップが紐づいてしまったのだと思います。
そして本番。駐車場で立ち往生してロスした2小節。無意識にステップを音にはめにいっていた私は、想定通りにはまらないことに焦り、無意識にステップを一個増やし、増やしたら増やしたでリズムが合わなくなってまた焦り、咄嗟にステップをショートカットして2小節分の帳尻を合わせる、という暴挙に出たのだと思われます。
パートナー様、ついてきてくれてありがとう。「殺すわよ」とか言わないでくれてありがとう。完璧に女子の身体をぶっ壊すリードをしてしまって不本意オブ不本意だけど、ちっとやそっとじゃぶっ壊れないサイズのパートナーだったのだけが救いです。

終了後に聞いた話ですが、先生的には、私を逆リードしてうまく衝突を回避するつもりだったけれど、パートナーモードだったからできなかったそうです。

パートナーモードだったからできなかったそうです。

先生「そういうつもりはなかったんだけど…パートナーやってると、連れてってくれるから、つい気を抜いちゃうものなんだねー」

これを聞いたとき、おいこら、なんのために男性の先生と組んでると思ってるんだよ、スーパーパートナーちゃうんか。とは1ミリも思わなくて、私の脳裏に浮かんだことばはひとつしかありませんでした。

本望である

1歩も動いてもらえなかった日から7ヶ月。こいつには到底任せられんと完全逆リードされた初トライアルから5ヶ月。

せんせえをパートナーにすることができたよお。
リーダーとして信頼してくれたよお。

ふええええぇぇぇぇん(嬉し泣き)

フロア上の私は、周囲のことはほぼ見えておらず、そっちが避けろと爆走し、ところどころ逆リードされている未熟なリーダーですが、ようやくリーダーのスタート地点に立つことができた気がしました。

先生「リーダーって大変だね。僕、この後のデモ、頑張るよ(しみじみ)」

お、おう。
頑張ってくれ。
とりあえず私はパートナーに戻る。

(お花畑気分で最終種目につづく)

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