リーダー修行記⑰(『ひよこリーダー、ダンスホールデビューをする』の巻)
ダンスホールデビューしました。
ホールっていうのかな。ダンスパブ? 名称はよく知らないけど、アテンダントさんと踊れるやつです。
プロの先生と踊るにあたり女性か男性かを選ばねばならず、一瞬ひよりそうになったものの、元々フリーダンスが苦手で好きじゃないのにパートナーで参加しても仕方あるまい、と思って…リーダーで…参加を…してみ…ました(我ながらツワモノ)。
うん…。
まあ、あの…結果は推して知るべし、という感じでして。
個人レッスン歴4ヶ月の私が玉砕した話をここで書いてもたいして面白くないし、みなさんの想像通りなのでまあ置いておいて。
個人的に大きく学んだことがふたつあります。
まずは、ホールにいる女性の先生たちが、誰とでも美しく踊れるスーパーパートナーに見えるので、こういう人と踊ったら、男性はいったいどんな気分なんだろうと前々から興味津々だったのです。で、それが今回実現したわけですが…。
うん…一言で言って、すごい経験をした、と思う。
男性陣がどう感じているかは知らないけども、私は鳥肌が立つような経験をしました。
へなちょこリードでもうまく踊ってくれるとか、楽しく踊ってくれるとかそういう次元の話ではなくて(もちろんそれもあるけど)、先生たちのとてつもない「集中力」を感じたのです。
「あなたの声を一言も聞き漏らさない」という圧倒的な「集中力」。
なんというか、全身で耳をすまされている感じです。
残念ながら私が、
(次のステップは…あ、どうしよう…あ、行き場がない…あ、どうすれば…?)
みたいなレベルなので、それはそれでわりとプレッシャーだったんですが(苦笑)、そうかプロパートナーってこんな感じなのか、こうやって全身全霊でフォローしてるのか、まさしくプロフェッショナル、仕事の流儀、私にはまったくかけらも実装されてない才能と技術だわ、と感服いたしました。
これはもう手をとって踊ってみないと絶対に感じられない感覚で、私がパートナー側をやっているからこそ感じられた部分も多分あって、リーダーやってみてよかったと心底思いました。この経験がパートナーとして活かせるかと言われると、それは無理言っちゃいけませんよお嬢さん、という感じですが、フォローの神髄、みたいなものを垣間見た気がしました。これわりと、女子リーダーの特権かもしれない。ふふ、ふふふ…(謎の優越感)。
そして学んだことふたつ目。
今回、同時期にリーダーを始めた男性友数名とご一緒しまして、まざまざと突きつけられた現実があります。
みんな、私よりリードがうまい。
見た目の形とか、フットワークとか、ステップやリズムの精度とかそういうことではなくて、アテンダントの先生たちが無理なくフォローしているし、私もパートナー側で踊ってもらったのですが、リードがクリア。ステップがつたなくても、ちゃんと伝わる。
なんだろう。なんの差だろう。フットワークもステップも間違えてないしリズムも外してないはずなのに先生にさえ伝わらない私のリードと、わりとあちこち適当だけど(ごめんなさい)はっきり伝わる彼らのリード。
4ヶ月、ハイドの厳しい指導に耐え、ときに女性の先生に罵倒、じゃなくて叱咤されながら修行してきたのはなんだったのか。何より私が目指しているのは燕尾だ。目指すところも真剣度も努力も誰よりも高い(はず)。
何が違う? 何がいけない? どこがダメですか???
わりと打ちのめされながらずっと彼らを観察して(こわい)気づいたことは。
私と彼らで絶対的に違うのは。
「思い切り」
かなあ…。
そんなことをとぼとぼ考えながら行った次のリーダーレッスン。
先生「リーダーのときのけやきさんは、なんというか…すごく勇気を振り絞って踊ってる感じがするんですよね」
ええっと……。
ダンスホールの話とか何ひとつしてないのに、ものすごいタイムリーなこと言いますね!さすが私の先生っすね!
「ツイストターンが怖い話」でも書きましたが、視野とか視界とか二次元世界の生命体ということとはまた別に、私がリーダーをやる際の弊害があると思っていて。
① 単純にフィジカルが弱い
② パートナーがされたら嫌なことを知り尽くしていて、それはやるまいという気持ちが強すぎる
パートナーがリーダーにされて嫌なことは、まあまあ無限にあると思いますが(笑)、とりあえず私の中の優先事項として、「腕で押したり引いたりしない」(フィジカルでどうにかしようとしない)という強いこだわりみたいなものがあるのです。
たとえばパートナーは、「重い」と言われたらだいぶショックですよね。同じレベル感で、私は「腕で振り回す」リーダーだと言われたくない。
という気持ちが強い。
気持ちが強すぎて、
私、いま押してます?押してないですよね?引っ張ってます?引っ張ってないですよね?腕回しすぎですか?この辺までなら大丈夫ですか?えっダメ?ダメじゃない?ダメかな?正解?不正解?どっち?ねえどっち!?!?!?
みたいな確認を、いちいち身体でしている。
………それ、自分がパートナーだったら嫌だろう。腕で振り回される以上に嫌だろう(真顔)
当然身体は及び腰になるし、リードは遅れるし、それをリカバリーするフィジカルの強さ勇気もないので余計自信がなくなる負の連鎖。
これ、先生と踊るときは、先生が全部回収してくれてるんだろうなあ。薄々わかってたけど。
ダンスホールで、とってもかわいいスーパーパートナーの先生に、
「あ~ごめんなさい。二択だったのに間違えました!」
と言われた瞬間、私の脳裏に浮かんだことばは。
リーダー、失格。
二択…二択かあ……。
腕でぶん回すよりやってはあかんことをやってしまった…。
パートナーは教室でぬくぬくしていてもどうにかなるけれど、リーダーはそうはいかないと痛感しました。
ダンスホールデビュー。いろいろ凹むことはあったけれど、これにめげずに修行を続けようと決意した1日でした。
思い切り。思い切りやな。うん。うん…(自信がない)。
(おわり)
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