リーダー修行記⑯（すべてを『なんとなく』で乗り切ろうとしたふわふわリーダーが自滅した話）

初めて、プロ以外のパートナーさんと人前で踊りました。

･･････現実を知りました（苦笑）

小さなイベントで１ヒートの組数も少なく、自分の持ちルーティン（超初級ベーシック）、という好条件下だったのに。

私、こんなにも踊れないのかい？

今まで失敗したことないところでつまづくのかい？

そんなに緊張してたわけでもないし、いったいわが身に何が起こったのかわからん。

自分がパートナーのときは、失敗した過去は「なかったこと」にしてさくっと動画ごと捨て去る私ですが、リーダーはそうはいかんと思い立ち（えらい）、動画を擦り切れるまで観返し（えらい）、ちゃんと検証しました（えらい）。自分の動画って観ると死にたくなるけど（えらい）、何十回か観てたら慣れるよ（えらい）。スーパースローでももう平気（えらい）。

ここ最近のリーダーレッスンでは、砂漠に線を引いてるだの、場面が飛ぶだの、焦点が近すぎるだの、要するに何も観てないだの…自分のフロアクラフトがいかに危険かの話ばかりしている私ですが、今回の超失敗動画を観てわかったことがひとつあります。

私もさすがに…

まったく何も観てないわけではないらしい。

何も観ていないわけではないらしい。

今回の大失敗は、「なぜか」２周目に入れなかったことなのですが、どうやら私は、

①一応近づいてくる他のカップルの動きを視認していて
②多分すれ違えるだろうと（恐らくたいした根拠なく）思って進んだら
③そのカップルが目の前で止まってターンをして
④リーダーさんの左ひじが私のパートナーさんにエルボーを決めそうになったので
⑤とっさに進路を変えたところ
⑥方向を見失った

という経緯をたどっているようでした。

目測の誤差はともかく、一応のところ周囲をまったく観ていないわけではないし、最低限衝突は回避しているのですが、何が問題といって…全部「無意識」っていうことなんですよ。
完全に無意識。
動画観て検証してようやく状況がわかったレベルで無意識。
状況はわかったけど記憶はまったくない程度に無意識。

おそらく私は、そうやって無意識に危険回避をして生きてきて、これからもそうやってふわっと生きていくのだと思います。

………ま、まあそれはそれでいいや。
数十年、事故らず無事だったんだから今後も無事にいけるやろ。

問題は、これがスタンダートのリーダーだということです。
あのときの私は、進路を変えて乗り切ったものの、ナチュラルターンで短辺を終えたときの角度がいつもと違ったものだから（←ここまで無意識）動揺してしまって、一瞬だけスピンターンに入るのを躊躇したのです。

その躊躇がパートナーに伝わってしまった…。

ほんの０コンマ数秒の動揺が伝わってしまった…。

結果、回りきれずに止まってしまったのだけど、本来この程度の角度のずれならターンできたよな…と、動画を観れば観るほど凹みつつ、「一瞬の躊躇」が伝わっちゃうペアダンスの恐ろしさに震えています。

自分がパートナーのときは、フォローとか無理、全然無理、その能力まったくない、マジで無理、と先生に散々訴えて困らせたあげく、ついには「けやきさんはフォローしようとしない方がいいと思う」と言わしめたほどなのですが、いざ立場が逆転してみると、パートナーの些細な反応を受け取ってしまうのはなんの罰ゲームなのだろうか。
あの場合はフィジカルを使ってでも回り切った方がよかった、と今は思っているのですが、自分の動揺が相手に伝わって相手が動揺したのを感じて動揺して止まってしまったのです。なにこの「動揺」の連鎖反応。
たびたび引き合いに出して申し訳ないが、元リーダー氏だったら、私の動揺なんぞ意に介さず回りたいだけ回ったに違いない。彼と踊っているとき、私の両足はちょいちょい床から浮いていたけども、止まって動けなくなるよりまし…だったかもしれない（微妙に悔しい）。

目標地点まで回転できなかったとき、そこからなんのステップをすれば元のルートに戻せるのかまったく思い浮かばず（だいぶ必死に考えたことは記憶している）、改めて組み直すことを考えたものの運悪くフロアが密集していて場所が取れそうもなく（と考えたことも記憶している）、どうにもできなくなってしまいました（かなり悔しい）。
こうして思い返せば頭が真っ白になったわけではなくて、瞬間的にいろんなことを考えたし、相当強引ながら最終的にリカバリーはできたので、自分なりに頑張ったは頑張ったのですが、いかんせん修行が足らんと思い知りました。

一番学んだことは。

「無意識」に運転すると車は制御不能になる。

ということでした。

「何も観えてないんっすよねー」とか言ってないで、視野を広げるトレーニングをしようと思います…。

あと、場数な。場数は絶対必要だな。
と思ったので、私がたびたび「キュートすぎる！」と連呼している女性の先生とスタジオパーティーで踊ることにしました。いつもレトリバーと闘っておるからな、マルチーズと踊ると思っただけでキュンキュンするな。いつもはトイプードルの気分だけど、マルチーズが相手なら柴犬くらいになれるんじゃないかな。暑くて意味わからん発想しか出てこんな。

とりあえず、気を取り直して修行に行ってまいります。
よ～そろ～。

（おわり）