見出し画像

本当は面白い物理の授業 004 ベクトルの合成

今回は、ベクトルの感覚をつかむことに焦点を当てます。

ところで、
「物理が苦手かも」と思っている人に質問です。
本当に苦手なものは物理でしょうか。

物理が苦手という人の中に、
言葉や数式で表現されたものを、絵や図などのイメージに変換すること」が苦手
という人はいないでしょうか。

「文字」を「文字」、「数字」を「数字」としてとらえると、物理は極端に難しくなります。

確かに、この能力も物理を学ぶ上で必要な能力です。しかし、物理の本質的な部分ではありません。物理の重要な部分は、絵や図で表現された後にあります。

実際に、
「文章を読んで理解することが苦手」
「自分が理解していることを文章化することが苦手」
でも、優秀なエンジニアは沢山います。

確かに、今の試験(紙に書かれた問題を解く)では、必要な能力かもしれません。
しかし、実際の仕事では必須ではないこともあります。

それに、この能力はトレーニングで改善できます。
それは、
問題を読みながら、その問題を表す絵を描く
ことです。

また、物理が苦手な人の中には、
問題を自分の経験に当てはめて考える
ことが苦手な人もいるのではないでしょうか。

絵や図が描けても、その物理的な状態をイメージできない場合、問題を解くのは難しくなります。

例えば、皆さんが「りんご」という言葉を見た時、
何をイメージするでしょう。

ほとんどの方が「りんごの映像🍎」をイメージするのではないでしょうか。

それは、皆さんが「りんご」を「見たこと」も、「触ったこと」も、「食べたこと」もあるからです。
しかし、「りんご」が全く未知な人は、「りんごという文字」しか頭に浮かばないでしょう。
つまり、経験が非常に重要だということです。

「経験に当てはめる」ためのトレーニングはあるのでしょうか。それは単純なことです。
実際にやってみる(実験)
ことです。ただし、少し工夫が必要です。
これを考えることも勉強になります。

以下に、第二回の授業の例題があります。

「西から東へ4m/sの速度で流れている川を、静水で3m/sの速度がでるボートで南から北へボートを向けて進もうとしています。陸にいる人から見たボートの速度はいくらでしょう」

ボートで川を横切る体験をするのは、なかなか難しいですね。

自分で川を横切って泳いだことはあるでしょうか。これも同じ理屈です。この体験がある人はイメージがつきやすいですね。

動く歩道の上を、歩道の進む方向と直交する方向に移動することも同じです。しかし、距離が短いので、少しイメージがつきにくいでしょう。

それでは、もっと簡単にイメージできないでしょうか?

「ミニカー」と「紙」を用意します。
「トミカ」がお勧めです。「トミカ」はタイヤがゴム製です。横滑りし難い作りになっています。
物理の勉強に色々と使えます。

①「机」の上に「紙」を置く
②「紙」の上に「トミカ」を置く
③「紙」を、ゆっくりとスライド(左→右)する
④「紙」の上の「トミカ」を指で弾く(手前→奥)

なるべく一定速度で「紙」を動かしましょう。「トミカ」は机に対して、どの様に動くでしょう。

「紙」が「川」です。
「紙の動き」が「川の流れ」です。
「トミカ」は「船」です。
「トミカの動き」が「船の動き」です。
「机」は「河岸」です。

「トミカ」は机から見て、右斜め前に移動します。
川を横切る船と同じ動きです。

「ベクトル」の合成を感じることは出来たでしょうか。

本当は面白い物理の授業005へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?