本当は面白い物理の授業 006 絶対速度と相対速度
今回の授業は、「絶対速度」と「相対速度」です。
これらは、高校物理の初期で学びます。
「浅く考える」と容易に理解できます。
しかし、「深く考える」と段々ドロ沼にハマります。
非常に興味深い内容です。
例えば、あなたがF1レース会場のスタンドに座っているとしましょう。その目の前を車が走っています。
止まっているあなたから見た車の速度が「絶対速度」です。
この車が速度が300km/hだった場合、この車の「絶対速度」は「300km/h」だと言えます。
ただし、
物理で「速度」をあつかう場合、注意することがあります。
それは「『物理上の速度』とは『速度のベクトル』のこと」です。つまり「方向の情報」も入っています。
例をあげて説明すると、物理上は、
「東に向いて速度100km/sで走っている車」と、
「西に向いて速度100km/sで走っている車」の
「速度」は違うのです。
ここで、「速度」と「速さ」の違いについて説明します。
「速さ」とは、純粋に「その物体が単位時間に移動できる距離」を示しています。つまり「方向」の概念がありません。
上記の例を用いると、物理上は、
「東に向いて速度100km/sで走っている車」と、
「西に向いて速度100km/sで走っている車」の、
「速さ」は同じということです。
「速度」=「速さ」+「方向の情報」
そして、物理の教科書に出てくる「絶対速度」は
「絶対速度」=「そのもの自体の速さ」+「そのもの自体が移動している方向の情報」
考えるといいでしょう。
そして、高校物理の「絶対速度」を問う問題において、よく「観察者から見た」という表現が使われます。
これは「止まっている人から見た(速度が無い人から見た)」ということです。
観察者が動いていれば、それは絶対速度ではありません。
さらに言うと、高校物理の問題は、「地球上にあるもの」を取り扱っている場合が多いので、「地球(地面)から見た」と考えるのがいいでしょう。つまり「絶対的に移動しないものを地球🌏(地面)」と定義して考えるとわかりやすくなります。
「地球は自転も公転もしているじゃないか!」と思うかもしれません。
しかし、「地球上にあるものは、宇宙の中で、常に地球と一緒に同じ方向に同じ量だけ移動している」ので、その移動は無視することができると考えます。
しかし、「太陽☀️」から見ると、「地球🌏」と「地球上のもの」は移動してますね。
話がややこしくなってきましたが、「『絶対速度』と『相対速度』は、何を基準にするかで変わる」と考えましょう。
先にも説明した様に、
高校物理の問題は、ほぼ「地球基準」で出されています。
この様に、深く考えていくと、この問題は非常に面白いです。
全宇宙空間で停止している絶対的な基準になるものなんて無いのではないでしょうか。
そう言う意味では、「絶対速度」などというものは、実際には存在しないのかもしれませんね。
本当は面白い物理の授業007へ続く。
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