見出し画像

イマーシブシアター「#ORdS名古屋」参加レポ…という名の心の叫び※ネタバレ有

はじめに

こちらは、ムケイチョウコク×しばいぬ海賊団の #イマーシブシアター 「One Room ⇔ dramaS -落下する記憶-」追加公演に参加した人間による、レポ……という名の備忘録件感想垂れ流し記事です。

※ネタバレありです※

あと長いです。6000字超えました。客観的に端的に…という仕事モードで書くことは序盤で諦めました。

二度と出会えないこの日だけの出会いを自分の中に残すため、書き連ねています。また、記憶を頼りに書いているため、役名の漢字や音が違っている可能性があります。(ごめんなさい、間違いに気付いた方、こっそり教えていただけると助かります><)

演目とイマーシブシアターについて

演目はこちら(※公演は終了しています)
ツイートのリンク先で公演の仕組みを読む事ができます

イマーシブシアターって何?については、しばいぬ海賊団さんの動画をご覧ください。

レポ感想本編※ネタバレあり

●開演〜配役決めまで

16日(夜)の追加公演に傍観者チケットで参加しました。10月の公演には登場人物チケットで参加(4番の役でした)。ですので、2回目なのですが、傍観者としては初回、という不思議な感覚。

作品を邪魔しないよう、それでいて自由に動き回れるように、黒いワンピースに黒いスニーカー、チャコールグレーのコートと、黒いバッグと、いう黒ずくめコーデで参戦。

足音がならないようにスニーカーで行ったのですが大正解。心置きなく動いて好きに会話を盗み聞きしてきました、ちょっとスパイになった気分。
今後も傍観者で参加するときは足音がでない靴にしようと誓いました。

そして、前回も思いましたが、会場の雰囲気が本当に素敵。JAZZ調のBGMが合う!没入感マシマシです。ビバ!ミュージックバー!

開演時間。立場ごとの諸注意の後、登場人物チケットのみなさんが真ん中に集められ、べるさんによる配役。遠いところに座っていましたが、マイク使ってくれたので、どんな名前の人がいるかわかってありがたかったです。登場人物は10人いるので、もちろん全部は覚えられないけど、まあ気にしません。

この場が人気写真家SAYURの個展開催記念パーティーだということ。みんな関係者として招待された面々だと、設定の共有がありました。10月公演の時もありましたかね?緊張でまったく記憶にありませんでした。傍観者としてはとてもありがたい。

ちなみに、キャストの皆さんの役柄はこんな感じ

事前にメールでも送られてくるので、なんとなく把握した状態で参加できるようになっています(リマインドメール本当にありがたいですっ!!)

さて、配役を告げられた登場人物たちは指定された席に座って、パンフレットを開きます。今日の設定とそれぞれの役柄、役割がある人は役割も書かれているはず。

見ている側ですが、この時間がかなりワクワク。

どんな人たちがどんなふうに言葉を紡ぐのか。

会場全体が舞台として、空気が作られていく時間は、少しずつ色を変えていく夕暮れの空を見ている気分でした。

全員がパンフレットを閉じたとき、物語がはじまります。

●パーティーのはじまり〜写真撮影

キャストが一人ずつ、象徴的なポーズを使った動きをこなしながら会場中央へ。前回と座っている席違うからでしょうか?その後の振り付けもとてもダイナミックに見えました。

キャストがそれぞれゆかりのある人のテーブルに向かい、同時多発的に会話が始まります。

登場人物は指示があるまで勝手に動けませんが、傍観者は自由(空気のような存在)なので、好きな位置で会話に耳を傾けていくわけです。


えーっと、この会場に演劇未経験の方はいるのでしょうか、と思ってしまうくらい、みなさん自然な会話。声が練られている人や、自分から積極的に会話に参加する人がたくさんいて、耳が足りない!!(終演後に聞いたところ、未経験の方もいらっしゃったそう。全然気づかなかった。みなさん素敵すぎた)

できる事なら全員にピンマイクつけてもらって、自分でボリューム上げ下げしてミックスして、あっちもこっちも会話を聞きたい!と思ったくらいです。


迷いながらも、一ノ瀬さん、二見さん、ゆうたろうさん、と、SAYURIさんに近しい人物のそばに。

前回登場人物で参加した時、SAYURIさんと会話したのは物語の終盤でした。
個人的な事情をまったく知らない役どころだったので、SAYURIさんが告げる言葉全てが新鮮に感じます。


歓談タイムが終了し、みんなで個展開催を祝うシーンへ。登場人物が指名されて順に一人ずつ自己紹介・・・していくのですが、やっぱりみなさん喋りのプロですかってくらいうまい。

前の人のコメントをうまく拾いながら広げて調和していく。頭の回転は早いし、面白いし端的だし、一社会人として勉強になりました。

みんなで写真を撮ったりSAYURIさんの写真集が発売される事がサプライズとして発表されたりしたあとに、再び歓談タイム。

「せっかく色々な業界から人が集まったのだから」と、キャストの松久の音頭で、テーブルに散らばっていきます。

こちらもキャストの亀苔さんが「せっかくだからさっきとは違う椅子に」と声をかけてくれていて、「自由に」と言われると途端に困ってしまう私にとってもありがたい言葉でした。

●歓談タイム(机移動前)

さて、今回の舞台、キャスト5人に対して、登場人物は10人。
1対1で話そうとすると、誰とも会話しない人が現れる計算ですが、登場人物同士が2人で話すシーンもあちこちで生まれていました。自分から動ける人が多くてすごい。

謎解きではないものの、それぞれが知っている情報(知らされて情報)を違和感なく相手に伝えていて、この時間でも色々な関係性が見えてくるんだろうなと想像。

私はできる限りSAYURIさんの後を追いかけようと意識しました。動き回る傍観者が多かったため、気兼ねなくあっちこっち動き回れてありがたい限り。多分全部の椅子に座ったんじゃないかな?


SAYURIさんが、誰にカメラを辞めたいと相談して、どう答えることで物語が動いていくのか。キャストそれぞれが随所で使う、「象徴的なポーズ(ハンドサイン)」をとって話しかける場面を何度か見かけて、ここでのやり取りが核になるんだなと、参加者へのアピールになっていてドキドキしました。

手で作ったフレームを覗きながら登場人物に話しかけるSAYURIさんには見入ってしまいました。「さあ、何て答える?(絶対大事なやつー!)」と、手に汗握りながら登場人物の回答に耳を傾けました。


全てを知っていて、尊重してくれる師匠の一ノ瀬さん。SAYURIさんにとって宿木のような存在なんだろうな。

急に父の跡を継ぐことになった二見さん。「私はまだまだで至らない」というフレーズが何度も聞こえてきました。まだ自信がないように見えて、でも見ていると隙がない。不安感や弱さが見えない。大きい思いを継いで、続けていこうとする姿に、SAYURIさんは胸の内を伝えようとしたのかなとか。

SAYURIさんの義兄弟ゆうたろうさん。この人はどうやって双子の兄弟の死を乗り越えたんだろうと思うくらい穏やかで優しい。でも優しすぎない。自分は亡くなった兄弟ではない、って他者との境界線がしっかりしていてそれをちゃんとSAYURIさんに突きつけていて、好き。


SAYURIさんに強要しないだけで、みんな強い意志がある。優しくてあったかい空間でした。どんな決断でも(結末)みんな味方だよと伝えたくなる衝動。


辞めようと思っていること、乗り越えられないこと、どうしたらいいと思うか。肉親のような関係者との会話が次々と続き、一人一人の言葉が展開を方向づけていく様子に胸が熱くなります。

ただ、台本がないから、確信的な言葉をつむぐ前に、別のキャストがやってきて話題が移り変わっていく瞬間もあり、とてもリアルでした。まさに一期一会。時間が決められた舞台の中で、たぶん、一対一で言葉を伝える次のチャンスはやってこないでしょう。嗚呼、これも人生。


おいこら、松久。思いはわからなくはないがお願いだから暴走しないでくれ。人にはそれぞれ人生というものが・・・・・・。

あと、絶賛桃色ハートの人もいましたが(それも含めて)それぞれの思惑や迷い、抱えているモヤモヤが遠くから見ていても随所に散りばめられていて、「交錯」がより立体的に見えた気がします。


私自身、役者として舞台に立ったことはない、ずっと見る側で生きてきた人間なので、傍観者の回はどこか安心しました笑。


基本的にはキャストが関わる会話を見たいと思い、回っていましたが、前回、4番の登場人物を担当して、終演後に全員のパンフレットを見た私。三河さんと四条さんの「元カノ(とは知らないかもしれないけど)女子会テーブル」を見かけて聞きに行っちゃいました。「公私混同がすごい」「SAYURIさんのこと大好きすぎるでしょ」的な会話に笑いを堪えておりました。


●歓談タイム(机移動後)

物語はラストに向けて、二つのテーブルの島をつくってさらに会話を広げるシーンへ。一対一や、一対二の会話から、大きな二つのステージでのグループトークに変わっていきます。

どこに座るか迷いながらも、二つの島の間ではなく、番遠いところに座ってみました。位置関係だと【(私)(Aの島)(Bの島)】となるような場所。

「Bの島の会話を聞くのは無理かな〜」と思っていましたが、意外にもちゃんと両方の会話が聞こえてきてびっくり。会場のつくりなのか、「目の前の人」がいない分意識を奥にも手前にも持っていける傍観者視点ならではなのか。

一から十までは無理でも、どちらでどんな内容をテーマに会話しているのかははっきりわかって面白かったです。キャストたちのアクションで、登場人物も随時テーブルを動くので、傍観者側もあっちこっち動きやすい。


大枠の会話テーマをキャストを振ってくれるから、脱線しない範囲で自由に振る舞えて楽しそうで、混ざりたい!と思う気持ちがムクムク湧き上がってきました。そう感じるのは、私自身参加が2回目で、知っていることが多いからでしょうか。

物語の核に迫るような会話が同時多発的に行われていて、あっちもこっちも聞きたい気持ち。

昔から複数の会話を聞くのは得意だけど、それでも目と耳が足りない!やっぱり、要所要所でフレーズをキャッチしたハナさんの会話ももっと聞きたかったな。

陸さんとの六平家トーク「お母さん」のワードが何度か聞こえてきて、想像を膨らませるばかりです。

●今回のエンディングに向かう

そして物語はエンディングへ

SAYURIとハナが「逆だったら?」「ユウジはSAYURIの旦那でしょう」と、核心的な言葉を放ち、オープニングを彷彿とさせるようなムーブが繰り広げられます。

それぞれのキャラクターが「心の真ん中」にあるような想いを象徴するフレーズが重なっていくーー

照明の変化とともに各テーブルで会話が再開。その中で桃井がSAYURIに告白しようとしたり、亀ちゃんが独立を宣言したり。SAYURIさんは写真家を引退する決断を告げ、松久はSAYURIを責めながら、物語は今回の着地点へと向かっていきます・・・。


さあ、公演中の会話で生み出された心情を元に、キャスト5人のインプロ…かと思いきや、登場人物のみなさんからの合いの手、そして合いの手。しかもとても綺麗

え、ラストシーンをきょうのメンバーで一回通しました?と思ってしまうくらい、それぞれの想いが、短いフレーズで、セリフとセリフの間に飛んでくる。大きく膨らんだ人間模様とそれぞれの感情が、一気に集約していく。気持ちいい!!!!


SAYURI さんを取り囲む環境はあったけえな〜。


今回のSAYURIさんからは、写真家を辞めるのではなく、生きることそのものを辞めようとしているような雰囲気を感じました。

泣き叫んだりしないんだけど、悲痛さが伝わってくる。全部の会話を聞いたわけじゃないんだけど、ここに落ち着いてしまったかと思わずにはいられません。

迷いと戸惑いとやるせなさと、全部を投げ出してしまいたくなるようなやぶれかぶれな感情。なんとか表面張力で留まっていた、ギリギリまでコップに注がれた水のような心に、個展開催パーティーという場でのやりとりが最後の一滴になってしまったんだろうなと。誰も悪くないだけに切ない。


個人的に27歳あたりから感じるようになったのは、「始める」より「辞める」の方が難しいんじゃないかなってこと。

だから、辞めたいって気持ちを大きな場でぶちまけられるSAYURIさんもすごいし、それを「もったいないから辞めないで!」「前みたいにやろうよ!」と引き留めず、今のSAYURIを認めて尊重することで「どんなあなたでも『あなた』と一緒にお仕事したいな。いつでも戻ってきていいよ」って空気をみんなで作り上げたカンパニーのみなさんに拍手です。


そして桃井ぃぃぃぃ!惚れた女がここまで追い詰められて、否定されているんだからなんとか言えよぉぉぉぉ(でもSAYURIさんに想いを伝えるのを各所から止められていたもんね。飛び出していけないよね。心中お察しします。でも分かるからこそつらい。自分は何にも知らなかった、知らされていなかったって衝撃と疎外感に呆然としてしまったのかもしれないね…)

あと松久ぁぁぁぁぁ!周りの静止を振り切って、特大プライベート暴露した張本人が、事態が収束したときに「プライベートな内容なのでみなさんご内密に(`・ω・´)キリッ」じゃないだろうぉおぉぉぉ



というように、傍観者チケット参加でもかなり没入しました笑。多角的に見られるからこそ、物語全体に感情移入してしまう。

群像劇が大好きなので、バラバラだったはずの個々の気持ちが一点に向かって一気に集約していく瞬間に最高に心が震えます。最後の一連のシーンはずっとうるうるしていました。

そしてエンディング。桃井の気持ちに「好きな人がいる。忘れられそうにない」って告げるSAYURIさんが美しすぎた。

動きの中で落とした封筒を桃井に拾わせなかったのも、SAYURIさんの決意というか線引きが見えて素敵。桃井に対しては、終始、大人の対応でしたね。二人の強い対比に目が奪われました。

暗転(拍手〜〜〜)

終演後


登場人物チケットと傍観者チケットで感じ方が全く異なりました。どちらも視点の幅が変わるので楽しい。

普段、アナウンサーという職業柄か性格なのか、「言葉を全て投げかけられてから、脱線しないように求められたコメントを投げる」って行動をしてしまいがちなので、こんなに自由でいいんだ!という発見がたくさんありました。没入型の演劇楽しい。


以上です。感想と言うには拙い、叫びの垂れ流しにお付き合いいただきありがとうございました。余力があったら、「イマーシブシアター」という体験を通して感じたことを、また別の記事にまとめたいです。

素敵な時間を本当にありがとうございました!

おしまい


登場人物参加したときにSAYURIさんと撮ってもらった一枚

感想まとめリンク

皆さんの感想がまとまったページがありました。
公式ハッシュタグは #ORds名古屋 です。検索すると参加者・傍観者それぞれの感想がヒットします


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?