読逍遥『生物の世界』
記述に飛躍がなく数学の途中式を一つも省略せずに小さな変形も確実に書き残していくような丁寧さが感じられる。丁寧すぎるように感じることもあれば、困難な内容を理解するためにその丁寧さが助けになったことも多々あった。『生物の世界』と題さこの1冊は、僕にとっては「生物の本」というより「世界の本」だった。世界はこんな風に記述できるんじゃない?そんな提案書だった。その世界とは何か?それは今西が描いた世界だ。今西は序文でこの作品を自分の「自画像」と記している。ここに記されている世界は、その丁