2月ボカロ10選(雑記:作品を評価するという行為の根拠について)

こんにちは。ボカロが好きです。ボカロは良いぞ。

遅くなりましたが、2月のボカロ10選の紹介です。
3月のは早く出したい……けど、来月も忙しくなりそうなのでどうなることやらわかりません。
例によって語彙力弱めです。しかも先月、今月は忙しくていつもより一段と聞けてません! おすすめ教えて下さい。いい加減全曲チェッカーになりたい……

ステンドノクターン / とあ

とあさんのピアノが美しい新曲です。
鏡音リンと初音ミクのデュエットは「アイディスマイル」ぶり。
とあさんらしいコロコロころがるような可愛らしい音作りと切なげな旋律が美しい一曲です。

月の毛布 / Ungifted

ミクとふわふわした歌い方が、どこかレトロな感じもするエレクトロポップスな音楽にとても良くあっています。
すこし大げさなまでのバスの響きもどこかノスタルジックな雰囲気をよく引き出しているように思います。
眠れない夜なんかに聞きたい一曲です。

深夜コンビニ / ぷにまる

RPGエディターで作られたPVとともに、深夜のコンビニのどこか物憂げな雰囲気と「あるある」が詰まっていてとても好きです。
深夜の寂しさと悲しげなピアノ、けだるげな深夜の様子を切り取る歌詞が素敵です。
特に好きな歌詞はこの部分

ブーーンと静かに響く低音ノイズじゃ
濡れた髪乾かせない

深夜コンビニ / ぷにまる feat. 初音ミク

コンビニあるあるの歌は、かの有名なブリーフ&トランクス「コンビニ」やcokseiの「コンビニ」など色々ありますが、店外の低音ノイズを切り出してそこに切なさを見出す観察力と解像度の高さに感動しました。

カナデトモスソラ / ねこぼーろ

セカイVer.は既に出ていましたが、改めて初音ミク版が出たので。
雰囲気は静かながらも重たい音作りと曲の展開が大好きです。
ササノマリイさんの作品はMVもとても美しいですが、この曲のMVもとても素晴らしいです。
そこここに25時、ナイトコードで。のモチーフを散りばめ、この曲の中で物語が出来上がっているようです。

ねこぼーろさんの過去の曲では「戯言スピーカー」が特に好きです。

ひかりよひかりよ / すこやか大聖堂

「ジウダス」が#プロセカNEXTに選ばれめでたく実装されたすこやか大聖堂さんのKAITO曲です。切なげなピアノからストリング、架空言語によるコーラスによる荘厳でシンフォニックな雰囲気が大好きです。
KAITOの高音もあまりに美しく聞き入ってしまいます。
アウトロでバイオリンが主体になりKAITOが「我が朋よ」と語りかけて終わる、物語性を感じる壮大な世界観が大好きです。

ハ・サ・マ / ゲロゲー

ゲロゲーさんのアンビエントな歌愛ユキの曲です。
ゲロゲーさんの過去の曲では「ずっと幼い肉塊で」という曲がとても好きなのですが、この曲もいわゆる「チルい」内容となっていて(正直チルいを正しく理解できているかわかりませんが)、とても良いです。
全体を通してけだるげな雰囲気がとても好きなのですが、中でも間奏の音作りがとても素敵です。
また、歌愛ユキの消え入りそうな声も作品にとてもよくマッチしていて最高です。

ホロウ / higma & gaburyu

曲の展開があまりにすごい!!
過不足のない完璧な音数と、0:35~の一気に引き込まれる疾走感が最高です。
映像、音、歌詞、展開、どれをとっても最高の一曲です。

BLUE BEE / Mizore

とてもクールな作品です。ミクがメインでありながら、flowerの間奏のバースやコーラスもとてもかっこいいです。
また、繰り返されるエレクトロなフレーズもとてもかっこよく、未来的な雰囲気がとても良いです。

ナイトサイダー / 梨本うい

梨本ういさんらしい夜の退廃的な雰囲気が素晴らしいロックです。
梨本さんらしいハスキーなミクと憂鬱ながらも力強い音楽が大好きです。
悲しいことがあった夜にこれを聞いて夜の公園で散歩したいような、憂鬱に寄り添う音楽がとても好きです。

Guchoku / TKN

とてもクールなドラムンベースの作品です。
ドラムンらしい攻めたリズム感と音作り、そこに合わせられる鬱なバースが最高です。


雑記:作品を評価するという行為の根拠について

・今回も結論のない話をします。しかもかなり危険な結論になりそうなので、話半分でお願いします。

・音楽や、あるいは特に絵に多いと思うのですが、作品を褒めるときに「自分より上手い」や「自分にはとても作れない」というようなコメントを見ると思います。あるいは「そんな作品が作れて羨ましい」というようなもの。

・これは果たして「褒める」ことができているのでしょうか

・例えば「モナリザ」が凄い作品であるのは周知のことですが、その凄さは「モナリザはダ・ヴィンチにしか描けない技術力」故なのものでしょうか。

・例えば、人類の画力レベルが飛躍的に向上し、ダ・ヴィンチと同じレベル、あるいはダ・ヴィンチを超える腕前をみんな身につけてしまったら「モナリザ」は駄作たりえるのでしょうか。

実際のところ、例えばラスコーの壁画などに対して我々が感じる価値というのは「歴史的な貴重さ」などが大きな比重を占めており、美しさという点ではあまり語られることが無いように思います。実際、ただ描くという点ではラスコーの壁画のような牛は子供でも描けるでしょう。

・つまり「自分にはできない」や「自分より上手い」というのは、その美の根拠が「自分の能力の不在」に依拠していて、美が相対的なものであると認めることになります。

・あるいは「多くの人が好きと言っているから良いものなのだ」という「多数が快や楽を得る作品が良い作品」というこれも相対的な評価しかできないということも考えられます。

・とすれば、全時代的に通用する美術や音楽、あるいは「価値の在るもの」という作品は本質的に存在しなくなってしまうのではないか、ということになります。モナリザや「交響曲第9番 歓喜の歌」が「醜いもの」になる時代もあるのでしょうか。


・こんなに壮大な話ではありませんが、ボカロリスナーというのは多かれ少なかれ、ボカロ曲を評価するという行為を行っている人たちです。月間ボカロ10選やボカロ100選を作ることもその一つです。

・それらはあくまで「自分の好み」の表明でしかないということを忘れずにしていきたいですが、同時に、では作品の価値は相対的なものでしかないのかというとそれは少しさびしい気もします。

・ボカロ曲を聞いているとよく「これあと○年前に投稿されてたら絶対有名になってたでしょ」や「もっと影響力のある人に拡散されれば……!」と思うことがありますが、それらの価値は埋もれていても変わらず在るはずです。

・何かを選ぶということは他のものを選ばないということの裏返しです。その分責任を持って音楽の良さを決めているものはなんなのか、それを見出すとはどういうことなのか、よく考えていきたいです


というわけで、考えのまとまらない話でした。

いよいよボカコレやニコニコ超会議のボカニコ、超ボーマスも近づいてきましたね。セカイシンフォニーが6月に開催されたり、マジカルミライの日程が発表されたり、また今年もリアルイベントが動き出してきたような感じがあります。

もう少しで新年度ですが楽しんでいきましょう!

P.S.ボカロ100選つくりました。初めて作ったのですが、なんで100選って100曲しか選べないですかね……?



備忘録:2月に読んだ本

・乗代雄介『十七八より』

・J-K・ユイスマンス『さかしま』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?