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『不思議の国のアリス』お茶会の考察(謎々以外)

『不思議の国のアリス』第7章のマッド・ティーパーティーについてのあれこれです。
帽子屋が出題する謎々については既に書きましたが、この章には他にも多くの仕掛けが。
私が気付いたものを書き留めておきます。

ドーマウスの「井戸の中の三姉妹」はお茶会全体の縮図のような側面がありますが、彼女らの名前には言葉遊びが仕掛けてあります。
それと同様、お茶会メンバーの名前にも意味があるのです。

章題のA Mad Tea Partyは、「March hare、Alice、Dormouse、[ティー]の集まり」と読むことができます。名前の頭文字に意味があったのですね。
本編では明かされていない帽子屋の名前も、頭文字がTの名前か、「ティー」と読む名前であると分かります。
家庭教師時代のニックネーム「Tea」です。

また、ヤマネはフランス語でdormirなので、英語ではSleeper。従って、Dormouseの頭文字はDとSということになります。

お茶会のテーブルの上にあるカップの数については、『子供部屋のアリス(The nursery "Alice",1890 )』で「9個より多い」「三月兎が持っているものも1個と数える」と言及されています。
1個の差にこだわるということは、100や200ではなく、10~15、せいぜい20くらいまででしょう。答は12なのですが、ヒントが遠回し過ぎますね。
『子供部屋のアリス』が、0歳から5歳までの子どものためのお話というだけでなく、読み聞かせをする母親たちへの追加ヒント集でもあるということは覚えておくべきでしょう。

そろそろ結論。
お茶会3人衆は、12個のカップが並んだテーブルで「人間時計」を演じているのです。

HatterがHourで短針、March HareがMinuteで分針、Dormouse(=Sleeper)がSecondで秒針を担当。
初めにアリスが席に着こうとしたとき、空席がたくさんあるにも関わらず"No room! No room!"と言われてしまったのも、普通の時計には4本目の針が無いからですね。(『シルヴィーとブルーノ』には変な時計が・・・)

そして、帽子屋の時計が日付だけを表示しているのも、3人が時刻を表示しているから。
(どう考えても正確ではありませんが)
途中の席替えが「時計回り」になっているのもこれが理由です。

「マザーグースの忘れられた謎々③」で書いた話も、お茶会のイメージに一役買っているかもしれませんね。

M尽くしを表すmanner of thingsと対の句であるtea-thingsは「お茶の道具」だけでなく「T尽くし」という意味にもなります。

「お茶会がT尽くしなのはtimetableが6を指していることを示すため」というメッセージも、「予定表」という意味のtimetableが、テーブルを使った人間時計のtimetableでもあると分かりました。

あと、帽子屋がアリスに「髪を切らなくては」と言ったり、三月兎が頭に藁を付けたりしているのは、hairに注目させるヒント。
March hareという名前もhairと関係あるのかも・・・・・・あー、切りがない。

誰の髪に注目させるためのヒントなのかは、そのパズルの話のときに。

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