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『不思議の国のアリス』署名の無い手紙④(タルト裁判)

「署名の無い手紙」第3連です。

第3連

I gave her one, they gave him two,
You gave us three or more;
They all returned from him to you,
Though they were mine before.

私(公爵夫人)はアリスに「1」を与えた。
ギリシャ語教師には「2」が与えられた。
貴女(ハートの女王)は私たちに3枚かそれ以上のカードを与えた。
タルトは全てハートのジャックから貴女に戻った。
けれど、タルトは元々私の物だった。

第3連の話者は公爵夫人です。

I, mine→公爵夫人
her→アリス
they(1行目)→総称的な「人々」
him(1行目)→ギリシャ語教師
you(2・3行目)→ハートの女王
us→公爵夫人を含む複数の登場人物
they(3・4行目)→タルト
him(3行目)→ハートのジャック

場面特定

物語後半のブラックジャック全般です。

ブラックジャックでは、各場面でアリス以外の登場人物に3枚、3枚、3枚、2枚、1枚のカードが割り当てられていました。

1行目のoneは赤ん坊からアリスに引き継がれた「1枚のカード」と「♤の1」の意味。

1行目のtwoはギリシャ語教師のリデル氏に割り当てられた「2枚のカード」と「2匹の幻獣の姿」の意味。

2行目のthree or moreは、公爵夫人の家の中にいた面々に割り当てられたカード。
赤ん坊を除く3人で既にbust状態になっていたわけですが、アリスに渡される前の♤Aを赤ん坊のカードとして勘定に入れれば4枚。
「3枚か、もしくはそれ以上」です。

タルト裁判

3行目では、(マザーグースの文言により)ハートのジャックからハートの女王にタルトが返却されたとあります。

しかし、4行目ではタルトの本来の持ち主が公爵夫人だったと明かされるのです。
公爵夫人が自ら腕を振るったのか、料理人に命じて作らせたのかまでは分かりませんが。

公爵夫人の証言が真実だとすると、第11章の
章題"Who stole the tart?"の回答、タルトを盗んだ犯人は「ハートの女王」となります。

と、いうことは・・・

①盗まれたタルトは実は公爵夫人のもので
②マザーグースにより♡Jを犯人扱いし
③♡Jでなく♤Jを人違いで逮捕
④タルトを盗んだ女王自身は裁く側にいる

ひどい事件ですね。

とはいえ、『不思議の国」の尻尾型の詩ではあらかじめこの事件の概要がほのめかされていたのでした。

Furyがハートの女王、curがハートの王、mouseがスペードのジャックに対応。

まあ、ハートの女王の法廷での発言や行動を見る限り、公爵夫人の証言は真実と考えるのが妥当と思いますが。

それに、アリスがブラックジャックのゲームに勝利できたのは法廷に♤Jがいたからで、
ならば少なくとも③は事実だったわけです。

『地下の国』のタルト裁判とも比較してみて下さいね。

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