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『不思議の国のアリス』のブラックジャックの進行②

ブラックジャックの進行の続きです。

1回戦

公爵夫人の家(外)

ブラックジャックはカードの点数の合計を17以上21以下にするのが目的で、22以上にしてしまうとbustという失格になります。

トランプの本などを見るとbustだけが出ていることが多いのですが、burst、over、out、break、breakingなどとも言います。
日本語だと「ブタ」なんてのもありますね。

アリスが公爵夫人の家に入る前から、中から物が壊れる音が聞こえたり、皿が飛んで来たりしています。
つまり、家の中にいる連中だけでbreakingやoutの状態になっているわけです。

公爵夫人の家(内)

①公爵夫人は♤Q(見た目通り)
②料理人は♤10(cook+pepperで10文字)
③チェシャ猫は♤K
クローケーの場面で、アリスが"A cat may look at a king."と言っています。
但し「どこで読んだか思い出せない」とも。
イギリス英語ではlook like~のlikeが省略されることが多いこと、またアリスの記憶が曖昧で後からatを無意識に補ってしまった可能性があることを考えると、この文の本来の形はA cat may look a king.だと推定されます。
「猫はキングのカードと見なしてもよい」

♤Qと♤10と♤Kで合計30、bustですね。

赤ん坊は

では、この場面にいるもう1人の登場人物、公爵夫人の赤ん坊はどうなのでしょう。

公爵夫人の赤ん坊は、「手足を全方向に突き出している」「ヒトデみたい」と描写されています。正しい抱き方は「結び目を作るように捻って右耳と左脚を固定する」のだとも。
ドキリとしますが、赤ん坊の正体がトランプのカードだと考えると納得できます。

第6章のタイトルは"Pig and Pepper"。
家の中でもpigやpepperという言葉が飛び交い、空気中にもpepperが漂い、公爵夫人はfitを起こします。
さらに、アリスが赤ん坊を連れ出す際に「人命救助だからいい」という台詞からマザーグースのTom, Tom, the piper's sonを想起。(Tomが露店からブタ型の焼き菓子を盗んでおしおきされる話です。異型多し)
ここからpiperという単語が。
家から出るとチェシャ猫が再登場しますが、このとき「赤ん坊は何になったんだい?」と聞きます。"Did you say 'pig' or 'fig'?"とも。

pig, pepper, fit, piper, fig・・・。
これらは全てpipを連想させるヒントです。
a pip、すなわち「星が1個のカード」。
♤Aだった赤ん坊がa pigに変わったのです。

引き継ぎ

公爵夫人が放ってよこした赤ん坊を受け止めたアリス。これでブタに変わった赤ん坊から♤Aの役割を引き継ぐことになりました。

『鏡の国のアリス』でも、まだ幼くてプレーできないLily姫から、アリスが白のポーンの役割を引き継ぐ場面がありましたね。

実はアリスがブタを抱く絵がレターセットになっていたのが不思議だったんですが、結構重要なポイントだったのが分かりました。

補足

『地下の国のアリス』では公爵夫人の家の章がないので、「アリスが♤A」になる理由はAliceのイニシャルだけかもしれません。
ただ、キノコの食べ方が『地下の国』では「傘と柄」なので、身体のサイズを調節する際に「傘+柄」のシルエット=♤Aになった、という考え方はできるかもしれません。

結論

結局、1回戦はアリス抜きでbust。
アリス自身は、公爵夫人の赤ん坊から♤Aの役割を引き継ぎました。

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