マザーグースの忘れられた謎々⑥
今回は「ヒッコリー、ディッコリー、ドック」です。
原詩
Hickory, dickory, dock,
The mouse ran up the clock.
The clock struck one,
The mouse ran down,
Hickory, dickory, dock.
(拙訳)
8、9、10
マウスが時計を駆け上がる
時計が1つ鐘を打てば
マウスは時計を駆け下りる
8、9、10
理由
谷川俊太郎・和田誠・平野敬一『マザーグース1』(講談社、1981)の解説によれば、Hickory, dickory, dockとはゲール語の数詞8、9、10とのことなので、訳もそれに従いました。
「マザーグースの忘れられた謎々③」の"Three blind mice"では時計の針をmouseに見立てていると推測しましたが、このライムも同様だと考えます。
8時、9時、10時と来て、12時までは時計の短針は文字盤の上を「上がっていく」動きをします。
「時計が1つ鐘を打つ」のは時刻が1時のときですから、それから6時になるまでは、短針は「下がっていく」というわけですね。
回答
mouseの正体は「時計の針(短針)」です。
このような"Three blind mice"や"Hickory, dickory, dock"のイメージが『不思議の国』の第7章でDormouseたち3人衆が時計の針を演じる場面を生み出したのかもしれません。
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