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『不思議の国のアリス』白いバラを赤く塗る話

『不思議の国のアリス』第6章冒頭で、庭師たちが白いバラを赤く塗っています。

イングランドの国花Tudor Roseは架空の花(紋章)で、ランカシャー家の赤バラと、ヨーク家の白バラを合わせたデザイン。

「赤く塗った白バラ」はTudor Roseと仮定して話を進めます。

この場面、『不思議』では「チューリップの球根をタマネギと間違えた」ですが『地下』では「チューリップの球根をジャガイモと間違えた」という台詞になっています。

すると『地下』の方の台詞が示していたのは「イングランドとアイルランド」で、『不思議』で変更したということでしょうか。

「タマネギ」から外観が似ている植物を連想すると、ウェールズの国花(厳密には象徴)のリーキ(西洋ネギ、leek)が浮かびます。

ウェールズの「国花」はリーキとラッパズイセン(daffodil)なんですが。

一説によると、ウェールズの紋章は19世紀までリーキだったのが、後に発音が同じラッパズイセンも国花になったとか。
(ウェールズ語ではスイセンがcenninen Pedr、リーキがcenninen, cennin(複数形)だそうです)

となると、庭師の台詞が示すのは
チューリップ→Tudor Rose→イングランド
ジャガイモ→アイルランド
タマネギ→西洋ネギ→ウェールズ

つまり『地下』では「イングランドとアイルランド」、『不思議』では「イングランドとウェールズ」を示していたと考えられます。
(『地下』では他にもLlandudnoの海岸の話などがウェールズ関係かもしれません)

『不思議』では、Patの場面でアイルランド話が出てきますから、こちらに変更した方がバランスが良いと判断したのでしょうか。

あ、テューダー朝の創設者ヘンリー7世がウェールズ系だからなのかも。

ま、まあ、とりあえず。

テューダーローズ『不思議の国』庭園
リーキ『不思議の国』庭園
アザミ『不思議の国』巨大な子犬
シャムロック『鏡の国』象蜜蜂と巨大な花

4つの国花が揃いましたね。

「マザーグースの忘れられた謎々⑤」の話ももしかすると関係あるかもしれません。

参考:ウェブサイト「世界雑学ノート イギリスの国花」

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