『不思議の国のアリス』署名の無い手紙⑧
すみません。今頃になって追加です。
第6連別解
「署名の無い手紙」第6連に別解、というかもう1つの解釈がありました。
二重ではなく三重の意味だったんです。
第3章のA Caucus-Race and a Long Tale。
この「コーカスレース」自体は
caucus race→caught us, race
「我々を捕って食べてきた種族」
というブラックな洒落だと思いますが。
この章の最後にドードーがアリスに授与する指貫が指輪のメタファーと考える人は少なくないでしょう。
指輪の中でも認証印としての機能を持ち契約に使われたのがsignet ring。
「署名の無い手紙」3行目のsecretの語形と発音からsignetを連想すると、this must ever be a secretのthisはthimbleを指すことになり、the thimble must ever be a signet となります。
「手紙」に署名signが無いことを王がやけに強調するのも「どこかにsignがある」という意味に取れます。
thimble→signet ring→engagement ring
この場合の「契約」は婚約でしょうね。
また、kept from all the restも、お菓子を配った後アリスのポケットに残っていたものと解釈できます。
アリスにthimbleを授与したドードーは作者Dodgsonの分身ですから、yourselfとmeはもちいろんAlice LiddellとLewis Carroll。
こんな傍証もありました。
For this must ever be
A secret, kept from all the rest,
Between yourself and me.
↓
this, must, be, all, the
↓
thi, m, b, l, e
↓
thimble
この「指貫解釈」が正しいとすると、アリスの台詞「この意味を説明できる人には6ペンスあげる」にはラブトークンのような意味もあるのかもしれません。
タロット解釈、指貫解釈のどちらにも一定の証拠があるということは、見せかけの答が1つで真の答が1つ、ではなく最初から真の答が複数用意されていたということでしょう。
と、いうわけで。
第6連別解2
更に追加。
thisを♤Jとして読む解釈も可能です。
この場合・・・
secret→法廷の場面の♤Jが隠されている
kept from all the rest→トランプのカード
between yourself and me→『地下の国』の法廷の場面の挿絵に♤Jが描かれているのを知っているのはAlice LiddellとLewis Carroll
となります。
三重どころか四重の意味だったとは・・・
参考:ウェブサイト
「シグネットリングの知られざる歴史」
「ラブトークンの知られざる歴史」