NLDの意図を探ってみる。
はじめに
こんにちは。Kevinです。
NLDは非常に残念な結果となってしまいました。
CHE戦が良かっただけに非常に期待していたダービーですが、結果はその期待を悪い意味で裏切られるものとなりました。
ただ、人生は続きますし、スパーズの試合も続きます。そのためにサポとしてはダメだった理由と背景を把握し、この試合を咀嚼したいところです。
なので今回は、試合全体を通しての戦術や問題点等を明確にしその裏にあるヌーノの意図を探りたいと思います。
<スタメン>
1)前半の戦術
攻撃のプラン
・ビルドアップ
DFラインから丁寧に繋ぐというよりかはロングボールを選択することが多かったスパーズ。
11:01のシーンでは、ケインが空中戦に弱いとされるホワイトと競るようにポジションを取り、そこにレギロンがロングボールを蹴っていました。ソンはケインの近くでこぼれ球の待機。デレも同様にスプリントをしていました。ただ、ルーカスは特にリアクションはしていなかったように見えました。
・ミドルサード→ファイナルサードでの攻め方
<シーン1>
14:31のシーンではデレがボックス内へ入り、ルーカスが中盤に残っていました。またエンドンベレは左サイドへ入りレギロンを押し上げています。ルーカスはデレとポジションを入れ替える要領で中盤に位置していました。
デレがボックス内に入っているのは彼の特徴を活かすためと考えられます。またエンドンベレを左サイドに張らせてレギロンを前に出すこと自体はチェルシー戦でも確認できたのでヌーノの一つのやり方と考えられます。
参考:チェルシー戦でのデレが左サイドへ出るパターン
*この場合はデレの左落ちとレギロンが前線へ張ること、RWGのロ・チェルソが中盤に降りることで中盤での数的優位を生み出していました。
<シーン2>
35:57、3失点後のワンシーンです。このシーンはエンドンベレがパス&ゴーで前線に入ったことで一時的に6トップのような形となりました。その分中央はガラ空きでした。このシーンではソンが戻ることでボールをレギロンから受けてバックパスとなりました。
<この攻撃パターンについて>
さて上記の2つの攻撃シーンはヌーノの今まで指揮してきたパターンにアーセナルの弱点(ホワイトの空中戦の弱さ)とスパーズの強み(デレのボックス内での貢献)を踏まえて修正を加えたものと考えられます。
こちらNathanAClarkさん(@NathanAClark)によると、この中央を空洞化した戦術はバレンシア、ポルト、ウルブズと過去ヌーノが指揮したチームでも見られたものとのことです。
さらにこちらのツイートをご覧ください。
こちらのツイートの2:00の部分を見ていただくと左サイドバックをあげて5トップを作った上で、1)DFラインの裏を使う 2)誰かが降りてきて空洞化した部分をうまく使う。というやり方を説明をしています。(リスニングにミスがあったら申し訳ありません)
ではどのような成功ケースがあるのか。そちらについてもNathanAClarkさんがtwitter上で説明してくださっております。例として挙げられているのは下記の動画の1:32のスカーレットのゴールシーンなどです。
https://www.youtube.com/watch?v=ISjM8USv-wM
こちらを確認する限りダイレクトプレーでゴールに迫るシーンが意図のようです。
つまり今回の前半の攻撃プランは元々ヌーノが積み上げてきたものを基準に設定したプランと考えられると思います。ただ、うまくいかなかったのが結果です。上手くいかなかったのは下記などの理由からでしょう。
<考えられる上手くいかなかった理由>
1)相手のDFラインの低い状況で、降りる選手がどのように動くかを決められていなかった。どのような崩し方をするかを準備できてなかった。
2)ロングボールがうまく機能していなかった。(=ケインが競り勝てなかった)
3)カウンターへのリスクからうまく攻められてなかった。
さて次は守備面を確認しましょう。
守備の問題点
<シーン1>
10:13のシーンでは前線はコース切りを行い、MFはそれと連動してスライドしているがDFラインは低くバイタルエリアが空いているシーンが見られました。
<シーン2>
10:40のシーンでは空いているバイタルエリアをビルドアップに活用されており、アーセナルに狙われていました。
DFラインを下げる理由としてはダイアーとサンチェスの強み(前へのタックルなど前への動き)を活かし弱み(背後のスペースをケアしたり背走する動き)を隠すためやオーバメヤンの裏抜けの警戒などが考えられます。
MF-DFラインの間のスペースをケアするにはMF側が下がる必要がありますが、確認した限りMFが後ろのスペースを気にするような様子はありませんでした。
<シーン3>
11:05のシーンでは失点につながってしまいます。このシーンではホイビュアが前線までプレスに行ったことで中盤がぽっかり空いてしまいました。またDFラインは低いため、スペースを消す動きが間に合いませんでした。この際、ホイビュアが上がったスペースをエンドンベレなどの他の選手が埋めるプレーは見られなかったです。
DFラインの低さ と アンカー(ホイビュア)も前へプレスしているため、チグハグな対応となり、守備面でも中央が空洞化してしまう状況でした。
このチグハグな守備の理由についてですが正直確信を持っていえることが少ないです。
個人的な意見として
・ヌーノが「チェルシー戦の前半を基本にしていく」と明言したことで低い位置でのブロックを使うことが難しくなったこと。
・ただ、アーセナルの前線のスピードを考えるとラインは低くした方が良いと判断したこと。
・その状態であれば中盤を空洞化して、前線に多くの選手が張るヌーノの攻撃パターンを活かせる上、相手には空中戦の弱いとされるホワイトがいたためそこを起点にできると判断したこと。
などの理由が複合的に絡み合った結果かもしれないなと思っております。
2)後半の修正点と後半の攻撃・守備
<後半のメンバー>
スパーズはフォーメーションを4-2-3-1に変更。選手交代ではデレ→スキップ、タンガンガ→エメルソンの2枚の交代を行いました。
<攻撃時の修正>
57:33のシーンです。後半の選手交代によって攻撃時のプランも変化しました。
中盤空洞化を行う攻撃スタイルをやめ、スキップを中央に置き、SBのポジションを上げて5レーンの両サイド2つのレーンをSB、WGで対応する配置をするようになりました。エンドンベレ(ヒル)はトップ下のポジションから両サイドのハーフスペースでボールを受けるように動いたり、SBの背後にスプリントしたりとボールを引き出す動きをしていました。また3失点したことや、DFラインも高くなり背後のスペースはありつつも押し込むプランを選びました。(アーセナルが撤退守備を選択したことも影響あると思います)
結果的にソンの1得点やケインの決定機など前半に比べて明らかにチャンスや決定機を作っていました。
<守備時の問題>
65:54のサイドチェンジ後でマーカーがズレたシーンです。このシーンではエンドンベレとソンが冨安にマークをしてしまい、ルーカスがボランチへのパスコースを切らずCBへのプレスを選択した為、スキップが2人を見なければならずファールで止めざるを得ませんでした。
このシーンから選手自身の能力(スタミナ、戦術理解度など)による部分がありますがまだルールが徹底できていない選手がいることが伺えます。(ちなみにエンドンベレは70分に交代していることからスタミナ的な問題で対応できなかったと見えます。)
まとめ
前半で3-0とかなり厳しい内容となり、スパーズサポとしては見ることが辛くなる試合でしたね。試合を見ている間は「なぜここまで中盤がぽっかり空いているんだろう」「ルーカスが後ろでデレが前線にいるのはなぜ?」と結果よりも戦術面で???となる試合でしたが、整理してみるとそこにはヌーノの意図がありました。
機能としているとは言えませんでしたし、結果として敗北をした責任は少なからずヌーノに有ります。
ただ、個人的にはヌーノ自身もSpurs Way、レヴィの言葉を借りれば「流れるような攻撃的で魅力的なフットボール」を実践しようと自分の引き出しを活用し、選手の能力を見極めながら落とし込んでいるんだなあと感じました。
余談となりますが、今シーズンはコパアメリカやEURO2020などで多くの先発メンバーの合流が遅れ、ハリー・ケインの移籍騒動やアルゼンチン代表招集の問題、コンペティションの多さから練習時間を確保できない状況などヌーノは着任早々多くの「コントロールできない」問題にぶち当たっています。
時間が足りない中でも対応するのがプロですが、リソースには限界があります。またRebuild(痛みを伴う再建)という言葉が表す通り、スパーズが数えきれない多くの問題を抱えていることはサポーターであればわかると思います。
その際にとる現実的な方法は「優先順位を決めて、優先順位の高いものから対応すること」と思います。ヌーノは今まさにこれをしている最中なのでしょう。
その場合、サポーターはどのようにすれば良いのでしょうか?是非みなさんで考えてみてください。
そこに正解はありませんが、現状を正しく把握することが良い行動につながるかもしれませんね。
このブログが少しでもスパーズの理解につながれば幸いです。
以上
COYS
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