見出し画像

ウサギとツバメよ

天高く そびえる山は
雪白く ウサギ一匹
歩く跡 足跡長く
息白む 冬の終わりに
ただ一人 群れからはぐれ
雪の中 ただ一人おる
足はふと 止まり見上げる
夜の星 焦がれて恋し
息絶える ウサギ昇りし
天の国 春のにおいに
喜んで 体の痺れ
霜焼けは 解けてぬくもり
日の日差し 緑の香り
土温(ぬく)し やがて体は
光なり 翼を持ちて
羽広げ 大空へ今
羽ばたいて 旅に出るとき
太陽は 微笑んでまた
送り出す 新たな夜明け。

飛ぶツバメ 青の翼に
赤一羽 ひらりはらりと
空ふわり 桜見上げて
富士に立つ 黄金の日射し
浴びてなお 笑顔きらめく
ツバメの目 今は遠くに
去ったけど 忘れまいとす
麓の地 裾野は広く
草茂り その草駆ける
白ウサギ 青のツバメは
降り立って ウサギとまみえ
己知る 彼と私は
一つだと 見つめ合うのは
その自分 笑い声上げ
また駆ける ツバメとウサギ
空と地を また旅へ出る
空の色 青と赤へと
染め上げて 地の色は白
満たしては 月と太陽。

2023.2.8

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?