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冬は必ず春となる

白富士の雪は積もりて幾日か
 冬の終わりに解けて流るる
富士の水清らな味は澄み渡り
 光り輝き細胞満たす
鶴が来て湖の水飲まんとす
 富士の水には旨味ありとて
鶴が鳴く我一人居る空の下
 白き木蓮咲いて誇れる
日の本は神の御光出(いづ)るとき
 君は微笑み神も微笑む
伊勢参り日は暮るるとも心燃ゆ
 心燃えるは君の眼差し
その瞳底には揺れる桜あり
 桜と楓共に咲きつつ
庭先で万古の春を迎えては
 冬に帰れる心の雪よ
雪の上足跡はただ長く引く
 足跡辿れ人の歴史よ
人生は長き旅路の夢の跡
 夢うつつにて祈り深しや
神の声常に届くが予想外
 君の望みに神は合わせぬ
神と人共に手を取り鏡見る
 鏡に写る我の顔犬
顔色を伺い立てるその気持ち
 社畜厳しきこの世の果てよ
赤色の球体我を見ているよ
 生の運命(さだめ)を窓越しに見る
雪の色列車の外は冬満ちて
 冷ややかな空灰色寂し
休火山富士の姿は寝坊助だ
 起きるときあらばすぐ逃げろと
人生の辛いときこそ歯を噛んで
 耐え忍ぶとき冬は奥底
季節とは春になるとは言うけれど
 氷の底で息絶えるとき
心内ただ孤独なり我一人
 白木蓮は冬の底咲く
友達は真っ赤な椿首もたげ
 ポトリと落つる冬の終わりよ
雨水は頬を濡らして隠してく
 涙の跡をただ隠してく
春が来る冬は必ず春となる
 白梅咲いて春の声告ぐ
白梅の声を聴いたら明日が来る
 オレンジの味ずっと残って
太陽はみかんの色で輝いて
 心を照らす冬の陽射しよ
弱くなる光の故は黒雲や
 荒ぶる海はすべて呑み込む
大食いの胃はまるで海波さらう
 建物壊れ人は溺れる
溺れたら救いに来ると観音は
 言うけれどまだ海の中いる
姿変え魚になりて息をする
 狼の牙肌深く立て
血を啜り肉を噛んだら腹満たす
 アンパンマンは顔を差し出す
あんこ餅雑煮の汁と共に食う
 冬の終わりはコタツの中で
紅白の歌と菓子見て年越える
 今年の初め朝日と共に
眺めいる月の白さは青空に
 紅き月見て腰抜かす夜
古き村夕べの月は赤かった
 湖青く透き通り冴ゆ


2023/03/11

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