見出し画像

レヴィ小体の日々

ツレは今年70歳。10年前に結婚し、私は娘を連れて京都からNYにやってきた。この10年はいろいろと大変だったけど、結婚してよかったと思える幸せな年月だった。ところが去年、ツレに前立腺がんが発覚。併せて視力が落ち、緑内障だということもわかった。ガンと告げられた時はやっぱりショックが大きかった。夏前に発覚し、夏は京都に帰省する予定があったので、秋から治療を受けることになった。だけど、ガンと告げられ治療もうけないまま放置しておいて大丈夫なのかという不安もつきまとい、ツレの行動がだんだんとおかしくなってきた。

日本にいるあいだ、特に車に長時間乗ったりしてストレスが強かったときに、私が誰だかわからなくなった。自分がどこにいるのかもわからなくなり、タクシーでニューヨークに帰るなんて言い出す。京都からNYに戻るときはヨーロッパ経由でイタリア、フランス、スペインを旅する予定だったんだけど、はじめのローマ、フィレンツェで妄想がさく裂。どうしても家に帰りたいと予約していたAirBにも絶対に行かないと言い張る。もうこれは大変だと、すべての予約をキャンセルして翌日NYに戻り、かかりつけの医師を訪ねた。検査に次ぐ検査を終えて、今年のはじめ、レヴィ小体認知症だと診断された。

レヴィの進行は平均で10年だという。これから先にどんな生活が待っているのか予想もつかないけど、与えられた一日いちにちをしっかりと過ごしていきたい。私自身もそうだったけど、家族の誰かが認知症になったときの生活なんて想像もつかないから、この経験が誰かの役に立ったらいいなとnoteに一日を記していこうと考えた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?