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今こそ聴きたい「かわいそうなぞう」

今日は8月15日、終戦記念日。
毎年8月15日には「かわいそうなぞう」というお話しを思い出す。

戦争中の上野動物園で、実際に起こった話を元にかかれた児童文学だ。
ノンフィクション絵本が有名だが、私の中では、評論家の秋山ちえこさんの朗読が心にしみついている。

小さい頃から時計変わりにラジオをかけていた我が家では、午前中はなぜか必ずTBSラジオが流れていた。
当時、平日の10時から10分ほど、秋山さんはTBSに番組を持っていて、学校が休みの時には、知らず知らずと秋山さんの番組も耳にしていた。

最初に聞いたのは何年生のときだっただろうか。
夏休みのある日、秋山さんが「今日はお話しを読みます」と始められた「かわいそうなぞう」の朗読に耳を奪われ、涙して聴いた。
それ以来、あの感動を味わいたくて、8月15日の秋山さんの朗読が、本当に楽しみだった。

秋山さんの優しい温もりのある声が、淡々とでも思いを込めて読み上げる一文一文は、小学生だった自分にも心に深く染み入るものだった。
音声だけで物語を伝える、朗読の力の凄さを教えてくれたのも、秋山さんの「かわいそうなぞう」だった。

戦争が生むものは悲しみだけ…

秋山さんの朗読を聴き、そんな風に小学生ながらに思ったことを覚えている。
物語の最後には、胸が苦しくなりいつしか涙が溢れていた。

秋山さんの朗読は、中学生くらいまで聴いただろうか。
秋山さんは「かわいそうなぞう」の朗読を、お亡くなりになる直前まで続けられたそうだ。
今日の終戦記念日にふと秋山さんの「かわいそうなぞう」のことが思い出され、ちょっとネットで調べたら、秋山さん晩年の朗読の音源があるではないか!!!
テクノロジーに感謝!

上野動物園には動物たちの慰霊碑がある。
ゾウだけでなく、戦争がために絶たれた純粋な命が多く眠っている。

太平洋戦争終結から79年。
今日も世界のどこかでは、銃声が轟き、爆弾が空から飛んできている。
今こそ秋山さんの「かわいそうなぞう」を、多くの方に聴いてほしいと願わずにはいられない。

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