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友人Oの話

福岡も桜がいい感じです。桜とは全然関係のない友人の話です。


「O」は25年来の友人。僕が日本語教師になるための学校に行っていた時の同級生。今では大学を掛け持ちして教鞭を執っている大人氣の先生だ。

この友人Oには思い出深いエピソードがたくさんあるんだけど、今回は本人不在の友人Oのお話。


15年ほど前、パントマイム界の先輩方が主催していたバンコク(タイ)のフェスティバルに参加した時のこと。現地の大学で日本語を習っている学生さんが、そのフェスティバルにボランティア通訳として来てくれていた。とても日本語が上手だった。「どこで習ったんですか?」と聞くと「T大学です」と言う。その2,3年前に、Oが教鞭を執っていた大学だ。思わず「Oさんって知ってる?」と聞くと「え?!O先生のお知り合いなんですか?」と逆質問。

その瞬間の学生さんの表情が今だに忘れられない。

急に表情がキラキラと輝いて、それはそれは嬉しそうに、少し涙さえも浮かべて、いかにO先生が素晴らしい先生かと力説し始めたのだ。周りの景色さえ明るくなるような勢いだった。

偶然に偶然が重なってもはや必然となったこの縁もすごいけど、友人がベタボメされて嬉しかったし、自分がその友人であることを心から誇りに思った。ひるがえって、誰かが僕のことを他の人に話すとき、その誰かの表情がこんなに輝くようなことはあるだろうかと考えた。


次回もOの話を書きますよ。

ケッチ 


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