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詩)塀の外

好奇心が恐怖に打ち勝った
私はあの銀のドアノブに手をかけ
遂にその扉を開き外に飛び出した

塀の外は色々なものに溢れていた
青空の下の日差しは
思いの他に強くすぐに汗だくになった
降りしきる雨は
冷たくとても痛かった
美しい稲光は
その音に怯えすぐに耳を塞いだ
真っ白な雪の降る夜は
寒く震えながら過ごした
飲み込まれてしまいそうな夕日は
孤独な私に影を落とした
満点の星空の静寂さは
自分自身を深く見つめさせた

塀の中から見ていた世界は
こんなにも厳しく残酷で
時には堕落させる様な甘い香りを嗅がせるも
夢は続かず虚無感だけが残された
なぜ飛び出してしまったのかと
後悔の念ばかりがつもった

私は理解した
生きると言うことは耐える事だと
生きる為には食わねばならない
生きる為には眠らなければならない
生きる為には強くならねばならない

そしてまた私は独りになった
薄暗い塀の中
扉に鍵をかけ小さくうずくまった


この詩は数日前にUPした
"塀の中"の後編になります。
こちらを気に入って頂けた方は
是非"塀の中"もお読み頂けたら
光栄です。
https://note.com/kesun4/n/naf991fd06c7d

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