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🍎詩)骸

目の前に蝉のむくろ
ひっくり返って固まって
今も辺りはミーンミーンと
他の蝉の声が響く

青空に入道雲
痛いくらいの日差し
絵に描いたよう様な夏の昼下がり
骸の背景と化したアスファルトは
熱を持って歪む

骸は欲望のままに
空を舞ったのだろうか
今となっては抜け殻に変わり
動く事もない
生命いのちを繋ごうと性を追い求めたのか
声が枯れるまで鳴き叫べたのか
どう生きて
どう死んだのか
私が知ることは叶わない

幾つかの夏を超えれば
私も抜け殻となり骸を晒すのだろう
その日が来るまでに
精一杯に生きる事が出来るのだろうか
どう生きて
どう死んだのか
他人ひと真実こたえがわかる筈もなく
骸は焼かれ煙と灰に別れ
空と土へと還るのだろう