見出し画像

詩)心を亡くす

いばらの道はどこにあるのか
ヌルヌルとしたヘドロの様なそれは
踏み付ける度に足の指に絡み付いた

微睡まどろみの中を歩いていると
フワフワとして空の位置も覚束ずおぼつかず
不快感は昨日に置き去りのまま

痛みをともなわずに進む道は
何処へ続くと言うのか
忙しさに思考は食い散らかされ
長針と短針の違いさえもあやふやに

ひび割れた器に
ポツンポツンと水滴が当たる
水はとどまらずに
ザラザラの表皮に染みていく

真実は嘘と絡みあっておぼろげな形を残し
引きつった笑顔とため息は何層にも重なり合って
不快な甘い匂いを醸し出す

顔を無くした人の群れは
電車の中に吸い込まれ
感情の入る隙間さえ見せない

喧騒と静寂が交互にやってきて
変わり映えのしない明日へと
それらをガタンゴドンと運んで行く