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詩)あちら

車窓から見える星は
ずっと遠くにあって
その手につかむ事など
叶うはずもないと言うのに

まるで近しい友の様に
悲しい夜も
楽しい夜も
そっと物も言わずに
こちらを見つめ

私はあちらの事など
何も知りはしないと言うのに
あーだこーだと
妄想を膨らませては
ありもしない姿に
時には嫉妬し
時には畏怖の念を抱き
時には共感し
時には拒絶する

隔てたられた世界は
その全てが現実で
こちら側は私の中の世界
あちら側は私の外の世界

流れ行く景色に
私は何を思い
何をすれば良いのか

私は終わりのない夜に
ただ轍を刻みながら雑音を垂れ流す
この景色はいつ終わりを告げるのだろう
こちらの都合もおかまいなしに
ただ広がる世界

星降る夜も
雲が覆う夜も
晴れやかに青い日々も
やむことを知らない雨の日も
こちらではなく
あちらの出来事