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詩)砂漠を

砂漠を歩いていた
大した装備もなく
水すら持参していなかった


昼間は肌が焼けるように熱く
夜は凍える様に寒かった
それでも歩みを止める事はなかった


少し前に見える集団に
無言でついて行った
不思議と喉はそこまで乾かなかった
昼間の疲労はあるが
もし眠っている間に
前の集団がいなくなってはと
あまり眠る事は出来なかった

声をかける事も
走って追いつく事も出来たが
それはしなかった
いや、出来なかったのかも知れない


靴はボロボロになり
底が剥げ足の皮がめくれて
激痛が走る事もあったが
いつのまにかそれも気にならなくなった


なんの為に歩いているのかも
なぜ前の集団を追うのかも
理由はなく
ただ歩かなければ
置いていかれてはいけない
その脅迫観念だけが
私を動かしていた


いっそここに座り込んでしまえば
肉は腐り骨となり
砂と風が私を砕き
そこに何もなかったかの様に
この世界の一部になれるのに
そんな事が頭を過ぎる事もあった


私は歩き続けた
考える事さえやめ
ただ、ただ歩き続けた
この砂漠を





最後までお付き合い頂き
ありがとうございます。
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宜しければ、御一読下さい。
ただ何もない日々
https://note.com/kesun4/n/ne0d015a951e0










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