「中小企業こそ事業継続計画を熟考すべき」


2007年にセコムさん監修で,、僕たち(当時勤務していた出版社の所属部門)は「企業の災害対策と事業継続計画」というムックを発行しました。

この本は、新潟県中越沖地震のあとに新潟に生産拠点がある企業の事業が停止してしまったことから、セコムさんに働きかけて企画・監修していただいたものでした。企業の事業継続というのは、生産拠点の停止、社員の安全確保という物理的なものだけでなく、企業データの破壊、インフラの停止…など様々な問題をはらんでおり、それは人的被害だけにとどまらず、ご承知のように経済に多大な損害を与えてしまうものなのです。

当時は事業継続計画(BCP)というのが企業の大きな課題となっており、大企業を中心に様々な施策がとられたものでした。ムック発行後の2年後の2009年に新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)のパンデミックとなり、僕たちは企業の動向に注目したのですが、感染してもほとんどが軽傷であったために、それほどの被害は出ませんでした。企業の事業継続にも大きな影響はありませんでした。

ところが、今回のように致死率の高い新型コロナウイルスのパンデミックになってみると、事業継続できなくなったのは大企業よりも中小企業でした。よく考えれば当然のことなんですが、当時の僕たちは「大企業向けの本」を作っていたために、この当たり前のことに全然気がつかなかったのでした。

ムックの内容は、主に地震災害による事業継続計画をテーマにしていたのですが、記事を書いていただいた専門家の方々の中に新型インフルエンザ(致死率の高いトリインフルエンザ)がパンデミックとなった場合に企業はどのように事業継続すればよいのか?という記事があり、編集部一同驚いたのでした。

新型コロナウイルスが蔓延直前の現在、さすがに大企業は経済的には損失はあったようですが、事業継続には問題が出ていないように思えます。

ところが、我が国の政府は、国家としての事業継続計画とその運用に関して何も考えていないことが露呈しました。公務員特別職の政治家や国家公務員に地方公務員というのは、自分たちの生活に支障がないものに関して何も問題を抱えていないのでしょう。だから、こういうことになるのだと思うのです。

これを機に、中小企業の方々は、「肝心な時に国は何もしてくれない」ということを認識して、あらゆる災害事象に備えて事業継続計画を立て、普段から想定外の事態に備えて準備することが重要なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?