「IN HER TWENTIES 2020」を観た

コロナに入ってから初めて客席に座り、お芝居を観た。
それがこの作品でよかったな。書きたいことがたくさんあってTwitterだけじゃ足りないわー、ってなったのです。
※もしご観劇予定で少しでも情報を入れたくない方は観に行った後に暇でしたら読んでみてください。ネタバレするつもりなかったけれど、全然無理でした。

20歳から29歳になる1人の女性を10人の女優さんが演じる。
今僕自信が33歳になって、今までの人生では思うようにはいかないことばかりだったり、「結局自分の望みは何ぞや?」と向かう先もわからず途方に暮れることもあって。同じように良い事ばかりじゃない人生を舞台上の彼女が体験したり振り返っていくのを眺める。お話が進むにつれ良い事ばかりじゃないし後悔ばかりなのは変わりないけれども「...悪い事ばかりでもないのでは?」であったり「あの選択だけは間違いではなかった」と思える瞬間に出会う。それだけで観ているこちらが報われたり、救われたり。して。しまったなー。歳をとることではなく歳を重ねる事の素晴らしさ。にあてられてしまった。

上演中恥ずかしいくらい声を上げて笑ってしまって。
上野さんの脚本の特徴である繊細な表現や手で触ったのかと思うくらい感じられる感情の温度、それと同じかそれ以上にユーモアが好きで。20代前半の彼女たちのリアクションの薄いのに比べて後半の彼女たちの複雑そうなリアクションであるとか。いつまでもセミは克服できない彼女であるとか。やらかした自分を苦々しに見る昔の自分であるとか。面白かったなー。

所々で出てくる彼女ではない登場人物たち。ずっと大切だった友達、何年かの後に重要な存在になったりする彼。そんな中で僕が心を惹かれしまった瞬間は、不意のピンチに出会った名前も知らない誰か。大切な人の記憶はもちろんあるけれど、それと同じようにあの時あの人に出会った事が自分の中に残っている。確かに残っている。そこをすくいとっているのが素敵だった。

ボックスを重ねるだけで仕事がうまくいかないことを表現したり、最後 20歳の彼女が未来の自分の席に座ってこれからに想いをはせていたり。脚本部分以外でも、音であるとか光であるとか素敵なものが連なって作られていた舞台だった。

観終わった後に今現在のコロナ禍であるのを一時でも忘れられたのが、この作品を今観れてよかった証拠だった。お芝居は良いし、お芝居は必要。俳優をやっている僕ですが、観る側としても確実に必要だった。観る前と後でこれだけ豊かで穏やかな気持ちになれる。

ただただ良かった!ってところだけ書きまくってしまったけれど、どうしても残して置きたかったんですよね。
僕の次の出演に関してはもう少しお待ちいただければと思います。もちろん必ず舞台上から皆さんにご挨拶ができる機会がありますように。願わくば僕が今日感じたのと同じくらい豊かな時間を過ごしていただけますように。

最後に「IN HER TWENTIES 2020」ご出演のみなさん 関係者の皆さん 最終日まで頑張ってください。ありがとうございました。

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