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東京農工大学 教授 亀田正治 先生    インタビュー

こんにちは。計測エンジニアリングシステム株式会社 -KESCO です。

今回は、COMSOL Multiphysics のユーザー様である

東京農工大学 教授 亀田正治 先生にインタビューをさせていただきました。

亀田先生のご研究室はこちら!

ご自身のご研究からCOMSOL Multiphysics や学生に向けてのメッセージなど幅広くお話しいただきました。

ぜひ、最後までご覧ください。


亀田正治 (東京農工大学 教授)

切り抜き2

- ご経歴 -

1989年3月 東京大学 工学部 機械工学科 卒業             1994年3月 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 博士課程 修了  1994年5月16日 東京農工大学・専任講師(工学部・機械システム工学科)1997年4月1日 東京農工大学・助教授(工学部・機械システム工学科)  2009年10月1日 東京農工大学・教授(大学院工学研究院・先端機械システム部門)


弊社セールスマーケティング部松本(以下、松本):

亀田先生、本日はお忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございます。

よろしくお願いいたします!

亀田先生:

よろしくお願いします。


松本:まず、初めに、亀田先生のご研究内容についてお聞かせください。

亀田先生:

専門は機械工学、流体工学です。その中で、気液二相流、圧縮性流れに関する研究を手掛けています。航空機、ヘリコプタ、自動車のような所属専攻である機械に直接関連するものと、機械系としてはユニークな、火山噴火にともなうマグマの挙動を取り扱っています。


松本:亀田先生のご研究の中で、どのようにCOMSOLを活用されておりますでしょうか?

亀田先生:

火山噴火にともなうマグマの挙動に関する研究に活用しています。
マグマは、シリカガラスを主成分とする物質です。連続体力学の視点から見たマグマの最大の特徴は、高い粘度を持つ「粘弾性体」であることです。粘弾性体では、現象のタイムスケールに応じて、固体的な性質、流体的な性質の両方が顔を出します。

私たちは、特に、マグマの固体/流体遷移が大きな役割を果たす「マグマの破砕」に着目しています。火山の中でマグマが固体的に破砕すると、中に含まれいるガスが急激に放出されます。これが、桜島のような爆発的な噴火の要因となっていると考えられています。

しかし、火山爆発のときのマグマの挙動を直接観察することは不可能です。また、そもそも、急激な応力変化による「粘弾性流体」のレオロジー自体が不明です。

そこで、私たちは、COMSOLを用いて「破壊をともなう粘弾性流体」の基本的な性質を良く調べているところです。


<ご講演>
https://confit.atlas.jp/guide/event/jpgu2019/subject/SCG54-03/advanced
<論文>
https://www.nature.com/articles/s41598-017-16941-x


松本:COMSOLを利用する中で、便利に感じたところはございますか?

亀田先生:

COMSOLは、基礎方程式や数値計算条件が明快で、研究者にとってブラックボックスがない、という点が特に優れていると思います。

また、私たちは、粘弾性流体の破壊をとらえるために、フェーズフィールド法、という標準的な数値計算ソルバーには実装されていない手法を用いています。

COMSOLは、ユーザー定義の数値計算手法や構成則も導入がしやすく、とても重宝しています。


松本: 昨今、数値解析と実験の関係については、よく議論されておりますが、亀田先生のお考えをお聞かせください。

亀田先生:

私は、実験観察と数値解析をかならずセットで実施するよう心掛けています。

流体工学が解明すべきは実現象です。数学的には興味深いものの実現象からかけ離れた数理モデルは扱わないようにしています。

前述したマグマ破砕のシミュレーションについても、実験室や高輝度放射光実験施設(SPring-8)での観察を先行して行い、見るべきポイントを絞ってから数値解析に着手しています。


松本:亀田先生のご研究室からは、毎年、多くの優秀な学生が輩出されておりますが、ご研究室の学生へのご指導の中で、どのようなことを心がけておりますでしょうか?

亀田先生:

私は、学生の漠然とした思いに対して、グローバルな視点で新規性のあるテーマや進路を提案したり、相談できる他分野研究者との連携体制を構築したりすることを強く心がけています。

私の研究室は、普通の大学研究室に比べて研究対象の幅が広い、というのが特徴です。

これは、私自身の興味だけによるものではなく、学生自身が志望する進路や興味に沿って研究テーマを設定しているというのが大きな理由です。

本研究室に集う優秀な学生が内発的な動機を持って研究に取り組めば、自ずから良い研究成果や進路につながります。


松本:企業や公的機関との共同研究や他大学との共同研究などについてお教えください。

亀田先生:

学生たちや私自身の興味に沿った研究を幅広く手掛けるため、内外機関との共同研究は必要不可欠です。

これまでにお話しした火山爆発の研究は、東京大学地震研究所の研究者と共同で実施しています。

また、航空機やヘリコプタ周りの流れについては、宇宙航空研究開発機構の複数の研究者と、自動車に関しては民間企業と共同で研究を進めています。

さらに、米国大学との共同研究も複数実施しており、最近進展著しいコンピュータによるデータ解析についても良い成果が得られるようになりました。


松本:最後に、亀田先生の今後の夢や目標をお聞かせください。

亀田先生:

流体力学は、普遍的な物理を対象とする学問です。科学の世界に国境はありません。

そのため、自立した研究者になった当初から、手掛けた研究テーマについては、世界的に通用する高水準の成果を出すことを心がけてきました。そのような成果を今後も出し続けることが自分自身の最大の目標です。

この目標を実現するために、意欲のある人が集う場をつくり、その場においてそれらの人々と対等に話し合える知的好奇心を保つことを自分に課したいと思っています。

インターネットの発達で、世界中の情報が居ながらにして手に入るようになりましたが、真に新しいことは属人的なので、有為の人材と語らう場を保つことが重要です。


松本:ご質問は以上になります。本日は、ありがとうございました!

亀田先生:ありがとうございました。


今回は、東京農工大学 亀田先生にお話しを伺いました。

最後まで、お読みいただきありがとうございました!


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