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【映画感想】クラシックな雰囲気も漂う王道ヒーロームービー「ブラック・アダム」感想!

○最初にネタバレのないさっくり感想

ちょっとクラシックな雰囲気も漂う王道ヒーロームービー、DCユニバースを添えて。

本作の感想を一言にまとめるとそんな感じ。
お向かいの大作ユニバース映画に胸を締め付けられがちな印象の続く中、ほぼ単話でスッキリまとまった良き作品だ。
直近だと、実際に亡くなってしまったチャドウィック・ボーズマンへの追悼が、作中のティ・チャラの死を悼むワカンダ国民の気持ちとリンクし、よくまとまった話だったのに両手を上げて楽しかった!と割り切りにくい『ワカンダ・フォーエバー』が直近のヒーロームービーにして心締め付けらた例として印象に新しい。

本作の主人公ブラック・アダムはロック様ことドウェイン・ジョンソン。
アメリカンヒーローらしいぴっちりしたコスチュームで、思う存分ドウェイン・ジョンソンのムキムキボディを味わうことができる。

ストーリーとしては、アダムのヒーローとしてのオリジンが語られ、長い眠りから覚めたキャラ特有の現代に馴染みの無いが故の破天荒や、現代ヒーローチームに皮肉られたりと、ともすればやや使い古されたような印象にもなりかねないような程の王道テイストで構成されている。
もちろん一応DCEU(正確にはDCU(DCユニバース映画群を指すらしいが既存のコミックなどもまとめて指すワードと被っててひたすらややこしい。ので便宜上この記事ではDCEU呼びを貫いている)に名を連ねているので、見知ったキャラ、初めましてだけどコミックで知ってそうな人、ポスクレのおまけ出演など、ユニバース映画としての要素も含まれてはいるが、基本的に本筋には関わらず、アクアマンや初期のMCUのようにあくまでメインのアダムに焦点を当てて話は作られている。
やればできるじゃないかDCEU! ユニバース2作目でバットマンとスーパーマンぶつけた頃とは大違いだ!(BvSは割と好きだけどこればかりはいくら弄られても仕方ないだろと思っている)

単話としてしっかり起承転結があり、アダムの人となりや今後への期待を持たせる、スッキリしたヒーロームービー。
最近は凝った味付けが多かったが故に、シンプルさが一周回って染み渡るような本作。
軽い気持ちでポップコーンをつまみながら是非見てきて欲しい。
尺感も2時間(125分)とちょうど良い塩梅
(一般的な作品なら90分、大作なら120分程度をちょうどよしと私は思っている)なのも良いポイントだ。

この先、いつものごとく目次を挟んで
ネタバレ混みのコメントなどを入れていくので、ネタバレ込みで先に感想を読みたい派の人か既に見た人以外は、映画視聴後に再訪するかしてくれると幸いです。




○以下ネタバレ込み目次

●あっさり見つかるんだね

最序盤から突っ込むのも野暮ったい気もするが、5000年前のめちゃすごアイテム発見がだいぶスムーズというか、あっさりして見えてしまう。
一応、その街の中で数度引っ越したりする程度には権力者に隠れながら探り続けたりはしているのはわかるのだが、どうしてもあっさり見つけた遺跡であっさり古代アーティファクトを見つけた感はある。
アンチャーテッドやムーンナイトが一本作れそうなオブジェクトの発見が、やたらあっさりして見えるのはまあ、主題がそこではないとはいえ多少違和感はある。……浮いてたもんな、王冠。
せめてシャザムの復活の呪文の下りほどじゃないにせよ、ギミック一つ挟むだけでも印象は変わった気がする。

●『シャザム』

ところで、同じくDCEUに名を連ねる『シャザム!』はご覧になっただろうか。年明けには2作目もやるらしいし、未見の方は是非視聴されることをお勧めする。こちらも一作でサクッとまとまった良作なのでシンプルにお勧め。
なぜシャザムの話を始めたかと言うと、ようは本作のアダムの力の根源もシャザムと同じだからって話。そもそもコミック的にはシャザムのヴィランらしいね。
評議会の描写も割とあっさりめに描かれるし、別にシャザム観てなくても全然わかるが、スタンダードなシャザム観てた方が楽しいかなって。
DCユニバースにしては明るい雰囲気で話が進んだシャザムに対して、こちらはそこそこに暗めなトーンの王道ヒーローなのが対比として面白い。

●魔術師評議会

シャザムの力をくれる、魔術師評議会の人たち。
『シャザム!』の方だと最後の一人になってた気がするけど、まだ他の人も存命だった頃かな?5000年前だしな。(ここら辺は原作に詳しくもないので全然的外れかもしれない)
にしたって、反省室的な封印は一般研究者が詠唱すればサクッと解けたし、そもそも悪魔の王冠は自由に浮いてたしで良いのかそれで感がある。

●ジャスティス・ソサエティ(・オブ・アメリカ)

「ジャスティス・ソサエティ」までの語感の印象が残りやすい気がする。
本作で登場するスーパーヒーローチーム。
映画『デッドプール 』におけるX-MENみたいな、感じで、メインヒーローとは別軸なヒーローたち。
ホークマン、Dr.フェイト、サイクロン、アトム・スマッシャーが登場。
Dr.フェイトのビジュアルが、Fateシリーズのアヴィケブロン的な趣があってめっちゃカッコいい。能力の雰囲気としてはDr.ストレンジ的な趣もあるが、演じてるのがピアース・ブロスナン(ダニエル・クレイグの前のジェームズ・ボンド)なので、歳食ったかっこいいおじさん特有の色香が素晴らしい魅力を放っている。
サイクロンさんは超能力としては風の操作だが、映画的な演出がめちゃくちゃ綺麗というか、芸術的な効果なのが良かった。
アトムスマッシャーは巨大化能力者。言動がコミカルというか、滑稽というかコメディリリーフ感が溢れる扱いをされている。映画『ジャスティス・リーグ』のフラッシュみたいな感じ。(フラッシュというばエズラ・ミラー関係でなんかゴタゴタしてるけどどうなるんでしょうね)
あともう一つの『FLASH』というかアローバース(ドラマ版)の方の「アトム」も本作のアトムと同じキャラって事で良いのかな…?

それらをまとめるのがホークマン。
今回アマンダから対応を求められてチームを編成。途中まで多少偏執的な域に入りかけている正義感を振りかざしているが、正義心に溢れてて良い人そう。『Dr.ストレンジ』のモルド的な不安がないと言えば嘘になるが。
話の中ではお堅い警察的な役どころを担っている。
作中のテンションはどっちかと言うとX-MEN系っぽさを感じる。専用ジェットの中で話してるからかもしれない。
やってる事は治安維持組織のそれなので、特段悪い印象を持つ事なく大抵の人は普通に好印象を持ちそうな面々だ。
映画が終わる頃には良いチームとしてさらなる活躍を見たいと思わせてくれる良いヒーローチームだった。

●アトムの吹き替え

吹き替え版で視聴して来たんだけど、アトムのCV榎木淳弥さんではないか。
そう、MCU版ピーター・パーカー(トム・ホランド)の吹き替えの人だね!
コミカルな言動やよく喋るところも含めてなんだか印象が被るけど、役柄にはバッチリなのは間違いない。そもそも本作のキャラ付けの方がMCU版ピーターみたいな味してるからね。
同じDCEUでいうとJLの時のフラッシュみたいとも言える。
MCU吹き替えネタで言ったらヴィジョンorデッドプールの加瀬康之さんや、Ms.マーベルの水樹奈々さんも出演していた。
吹き替え映画好きとしてはこう言うところも楽しいポイントだ。

●アダムくん優しいね。…せやろか?

なんだかんだを経て主人公を助けたり、民衆を助けたりはしてくれるが、敵認定した相手には容赦がない。普通に助からないレベルでぶん投げるし、ホークマンが間に合わなければ普通に死ぬ尋問をしたりする。
可能な限り人命に危機を及ぼそうとはしないスーパーマンとは異なるポイントだが、そもそもブラック・アダムはアンチヒーロー的なものだからね。最終的に街の守護者くらいに落ち着こうとしていたがそれくらいでバランスが取れているのかもしれない。

●君にしかできない、か?

話も大きく動いて終盤、街中にゾンビ的なモンスターいっぱい!というあたりで「あなたはあなたしか出来ないことをやって」とアモンを送り出すアドリアナ。
そしてアモンが取る行動が大衆の扇動役だ。
5000年前のカーンダックのシーンと重なる描写で、人々もそれに呼応して天に手を掲げて三角を作る。……のだが、あの扇動がアモンであることの必要性というか、アモンが大衆を動かせる説得力というかが、一見するだけだとわからなかった。
例えば古代カーンダックの伝承から、年若い子供が処刑に際して手を掲げて、民衆が呼応した逸話がありそれになぞった。
アモンが町中に認知されている程の存在でその影響力があった。
とかどちらにせよ説明がないので、君がやる必要あったのか? 『君にしか出来ない』事か?とはなってしまう。
伝承からしてそうの可能性は無くはないが、カーンダックの市民がどの程度伝承を認知していて、手を掲げるくだりを知っているかは描写がないため不明だ。カーンダックのヒーローを望む声があるという不満が溜まった状態は描かれているのでカーンダックのヒーローの共通概念としてある程度の伝承に関する認識はあるとは思うが。日常の中にお祈りのように、あるいは挨拶のように手を掲げて三角を作る動作などがあれば、浸透具合がわかった気はする。
後者のアモンの認知度が高いなら、の方も描写からすれば街中で普段からスケボーで走り回ってる迷惑なガキ程度の認知は得られている可能性はあるが、遺跡の上で演説して大衆を動かせるだけの説得力があるかと言われると首を傾げるレベルだ。
最後にスィーっとスケボーで民衆率いて現れたのはシュールが過ぎて変な笑いが漏れたのは私だけではないと思いたい。

●DCEU最多出演あなたなのでは?

アマンダ・ウォラーの事を指してるけどどうなんだろうね。
リブート前、リブート後のスースク、BvS、JLも出てたっけ?
まだバットマンの方が出演数多いかな?
芯がぶれまくっているDCEUにしては珍しく長いこと続けて出演している印象がある。
バットマン(ベン・アフレック)やスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)についてもどこまで出るのか、今後どうなってんのか何もわからないというのに。
なんならワンダーウーマン(ガル・ガドット)やアクアマン(ジェイソン・モモア)に至ってまで継続出演が怪しいだのリキャストだの言われてるの大作ユニバースとしてダメダメが過ぎる…。
JLで残ってるのフラッシュ(エズラ・ミラー)とサイボーグだけだし、エズラ・ミラーも素行の問題でゴタ、サイボーグも制作側と揉めてたりでこのユニバース問題しかないんか?
フラッシュの映画がフラッシュ・ポイント(コミック版で一旦DC作品全部リセットして新しくしよ、ってなった一大イベント)やるらしいから、リキャスト周りの話はフラッシュ・ポイントでの再配置の話なだけだったりしない?とも思ってはいるが、やはり信頼感もまた無いのでもっと長いスパンでやってくれる契約取り直さないか?キャスト変更もまあきくタイミングだぞ?と思ったりはする。
どうなるDCEU。アクアマンのブラックマンタとか、ジャレッド・レト版ジョーカーとか、ジェシー・アイゼンバーグのレックス・ルーサーとか俺はまだ観たいよ!?
一瞬だけ映ったデスストロークちゃんとした活躍くれよ!!

●ポストクレジット

本遍→ED1→ポスクレ1→本ED→ポスクレ2が最近の映画の定番な気はするが、本作にポスクレ2は無く1のみ。
そのポスクレで相対したスーパーマン!!!
ヘンリー・カヴィル!!!!!
スーパーマン続投してくれるのかやったー!!と思ったのも束の間、先行き不明だのスーパーマンやっぱり降りるだの、ウォーハンマーの主演張るだのとあやふやな情報が飛び交っている。いやまあまたどれもそこそこに記事は立ってる事実なんだけど、スーパーマン降板の話はシャザムの前にもあったし、そうしてブラック・アダムのポスクレにも来てくれてるから、結局どうなるのか何もわからない。
今後の続投がないならいっそポスクレ出なかった方がシリーズ的に良いのでは?とまで思えてくるので、マジどうなってるんだDCEU。
いい加減JLヒーローの柱くらい固めてくれないか?

●総括

『ブラック・アダム』そのものは、なんか引っかかるポイントも無いとは言わないが、良くも悪くも一昔前の一本もののヒーロー映画っぽくてスカッとした作品にまとまっている。
のだが、相変わらずユニバース要素というかDCEUの土台の不安定さが微妙に気になってくるというDCEU映画という感じ。
ホークマンたちジャスティス・ソサエティ・アメリカンの面々はいい味出してたので、JLが足元グラついてる中で安定したDCEUのヒーロー柱担ってくれんか?
フラッシュとサイボーグそっちに再編しない?
アクアマンやワンダーウーマンが、ユニバース要素の扱いが軽めだったが為に単品として評価が高いのをしっかり理解してシャザムを作り、一旦組み直しに大胆なリブートをかましたスースクを経て、ブラック・アダムも基本単品として成立するように描かれてるのは良いポイントだと思うが、それでもなおポスクレが波乱の予感を招いてるのはもうどうしようもないな…!!
シャザムの時のスーツオンリーのスーパーマン、権利関係マジで揉めててヘンリー・カヴィルだせなかったらしいと聞くけどアレがマジで絶妙な塩梅だったなと逆に感心してしまう珍事が発生してしまった。

あとDC映画チームとワーナー上層部は本当に一旦腰を落ち着けて長いスパン見据えて話し合いをしてくれ。…ここら辺は一本独立してページ書いた方が良さそうだからまたにしよう。

思いがけずユニバースへの不満が噴出してしまったが、ブラック・アダムはドウェイン・ジョンソンのムキムキボディにピッタリフィットなヒーロースーツと、圧倒的存在感、キマったヴィジュアル!派手なアクション!と観てて気持ちよくなれる映画なので、売店でポップコーン買って気軽につまみながら観よう!
(まだやってるかな)

●更新を怠ってたらなんかニュースが多い

DCEUというか、DCU自体が大規模に再編成するらしく、ヘンリー・カヴィルは出なさそうだったり、ブラックアダムも続編はやらなそうだったり、それでもドウェイン・ジョンソンは再出演の可能性アリの良い落とし所を目指してそうだったりと全てがぐらっぐらだ。
マジでそろそろ足元を固めてほしい。
いやそのための再構築らしいと言われてるけども、DCEUに関してはマジでブレッブレの前科まみれなので何もわからない……。
なーに、DC映画のポスクレ詐欺は今に始まったことじゃない。思いっきり続編匂わせたのにポシャったDCヒーロー映画だって既にある。
なっ、グリーンランタン!!!(俺は嫌いじゃないよあの映画)

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