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焦げついてても私だって分かって

恋人がうるさくない程度のいびきをかいて隣で寝ていて、犬は私の胸元の小さな、しかしベッド上ではだいぶ広い面積に丸まって寝ている。私は犬をつぶさないように腰をまげて布団に潜り込んで携帯を見ている。大事な2人の体温をお腹と背中に感じる。私たちの血が通った体のおかげでベッドの中はすぐに暖かくなる。その暖かさで眠くなる。幸せを紐解いた時に、こういう瞬間なのだろうと思う。もっと複雑で華やかな瞬間を今まで幾度と体験したけれど、歳を重ねるごとに削ぎ落とされていく。健全な衰退。

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大晦日はお正月の買い出しにいき、恋人がきて、鍋やつまみをつつきながらお酒を飲み、2人で見ようと約束していたドラマをNetflixで見て、「お風呂にはいりたい」と突然言い出した恋人のために湯船をためたつもりがたまっておらず2023年になる5分まえに風呂場から「お湯がたまってなかった」と裸のまま出て来てベッドの上にダイブした恋人と、その横に移動して宙を仰ぐ犬を見て「この人このままだと裸で年越しするんだろうな」と申し訳なく思ったけど、節目を気にしない彼にはどう年越しするかなんて関係なかったみたいで年越しの瞬間もなぜか天井を見つめてお風呂がたまるのを静かに待っていた。
あけましておめでとうと言うと「あけおめ」と言われたけど、目が合わなくて怖くて笑った。そのあとは2人で桃鉄をして朝方眠った。私たち今すごく仲良くてそれが嬉しい。
次の日彼は40度近い熱を出してそこから3日間ひたすら眠り続けていた。汗で重くなった寝巻きを着替え、謎の食欲でご飯を平らげ、テレビを見て、いつの間にか眠って。その繰り返しだった。そんな彼の隣で静かに本を読んだり、お雑煮を作ったり、家族とLINEしたり、ファジーと静かな街を散歩したりした。お正月っぽくなくて、それがとても心地よかった。
そんなことしてたら、三が日過ぎて今度は私が風邪をひいて3日間寝込んだ。好きな人がありったけの差し入れをもってきてくれて、ファジーはずっと横で寝てくれていた。

4年前、ティンダーで会ってサーファー同士ということもあって仲良くなった友人と2人で年越しした。経緯は忘れたけど、年越し何してる?なんもしてない。家いっていい?みたいな感じだった。2人でお酒を飲みながらダラダラしてたらお酒がなくなって「俺買ってくるわ」というので、じゃあ私は風呂はいるわって23時半にそれぞれ別行動をして、肝心な年越しの瞬間に完全にバラバラだったことがあった。私は風呂上がりで、友達はチャリに乗ってコンビニに行き、その帰り道、私の家までの道がわからず迷子になってた。お風呂から出ても全然帰ってこなかったけどあまり気にせずに買ったばかりの年越し用の赤いパンツを履きながら家で1人2019年を迎えた。その年越しがなんだかすごく思い出に残っている。もちろん体の関係はない。自由だったのか、もうどうでもよくなって手放したのか。まぁもともと年越しは嫌いだから、そのぐらいの温度感が心地ちよかった。
彼は「迷ったんだけど!」といいながら0時10分くらいに勢いよく玄関から現れて、私はテレビを見ながら「帰ったのかと思ったわ」と答えた。そのぐらい、年末は慌ただしさと無縁の、日常との延長で過ごしたかった。

いままでいろんな年越しの瞬間を体験したけど、だんだん年を跨ぐ時間への意識が薄れていく。だってなにしてても、時間が進めば次の日にはなるし、それがたまたま年を越すってだけで、宇宙は同じスピードで周り続けてるし。ブラックホールは今日も広がっていくし。
いつか渋谷のクラブで年越しした時に見たスクリーンの、カウントダウンの数字が頭にこびりついている。5.4.3.2.1.0 おめでとー!
若い時に若いパワーではしゃげる自分でよかったね。まごうごとなき若者。
でも渋谷のスクランブルで知らない人たちとしたハイタッチに何の意味もないことなんて当時の自分も知っていたよ。

気づいたらもう2023年になって20日もたった。陽は伸びて、風は冷たくなり、私はもう少しでまた歳を重ねる。

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今年もこの生きずらいバイブスを心に秘めて、それをどう昇華してエネルギーにしていけるだろうね。目標はとりあえずたくさん思いつくままに書いたけど、結局自分が少しでも満足行くような日々を過ごして行けたらいい。もちろん仕事も日々の日常も大事だけど、目の前にあるごく当たり前の時間や日常の解像度を上げて、質量を重くできるように自分が具体的に成長すること。

これは28日間のスペイン・モロッコ旅の後に出た私のnoteにもかいたこと。

思い出す。帰国するためにカサブランカへ移動する夜のバスの中の3時間のことを。どこまでも続く広い大陸。何時間走っても変わらない風景なのに飽きることなく眠ることなく景色を見続けられた。満月を綺麗に撮れないiPhoneにイラだちながらアフリカにいても茅ヶ崎に戻っても私は私に変わりはない、そんなことを考えていた。ただ、旅先で得た感覚や感触はずっと覚えてる。それが人生の質量を少しだけ重くして、世界を見る目の解像度を上げてくれるんだ、って。

https://note.com/kerry131/n/n5061b883c057

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しゃべりすぎて後悔する夜、というのがあるけれど私は自分がそこにいた印をどうにも残したい。

しゃべりすぎるのは本当の自分を隠しているから。誰も知らない、私がどんな人間か。それでいいと思う。どうせ泥を手に乗せたときみたいに予想以上に水分を含んで重さがあって、光が入る隙がないほど密で暗いのだから。自分でも直視するのをためらうほどに。

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恋人に内緒でエッチなお店で働いてた友達がなんで恋人にバレたかって「写真の肋骨と太ももの感じがお前だって言われたの」って。
なんか、愛だねって思っちゃった。
私がゾンビになってもさ、丸焼けになって焦げ付いても私の形だって気づいてくれるかな?
たくさんのゾンビの中から私を見つけてほしいよ。私は100万匹のシュナウザーの中からファジーを見つけるのなんて余裕だよ。
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こんがらがっているように見えて、秩序がある。そういう私を今年も作り上げていく。


集中して書くためのコーヒー代になって、ラブと共に私の体の一部になります。本当にありがとう。コメントをくれてもいいんだよ。