公園の片隅で

「…きゃっ!」
「よかった。カエル踏むとこだった」
「踏まなくてよかったねー。早くいこ。電車に乗り遅れるよ」
「そだね、いこ!」


「おかーさーん、こんなところにカエルがいる」
「ほんとだね。ちっちゃくてかわいいね」
「さわっていい?」
「触れるならいいよ」

「さわっちゃったー」
「さ、そろそろ帰ろ。お昼ご飯の前に、手を洗おうね」


「じゃんけんぽん」
「勝った」「勝ったー」
「負けたー」
「じゃ今度はお前。あの電信棒までだぞ」
「いこー」
「まてよー」
「きゃははっ」


「はぁ、今日も仕事疲れた。あれ?もうこんな時間、早くいかないと保育園のお迎えに間に合わないナ…、今日の夕飯は何にしようかなぁ」


「…先輩達、なんであんな言い方するのかなぁ」
「ほんとだよね。こっちだってがんばってやってるのに」
「がんばるの、いやになっちゃうね」
「ほんとほんと」


「うー」
「先輩、飲み過ぎですよー」
「おいしい酒のめて、楽しかったんだからいいだろー。もう一軒行くぞー」
「ほんと、大丈夫っすか」
「大丈夫、大丈夫ぅぃー」


私はちっちゃなカエル
公園の片隅で静かに暮らしている
私がここにいることに気づく人は稀
ヒトの日常は、私とは関係なく淡々と流れていく
そして私の時間も同じように流れていく
心安らかに。


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