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1.出逢い-プロローグ-

見知らぬアドレスから軽々しいEメールが届く。

「サイコさーん久しぶり!元気?」

・・・誰や。
知らん。
そして、何故わたしの名前を知っている?

「誰?」

「サイコさん、オレだよーサトル!元気かなぁ?」

新手の詐欺?勧誘?

と、思ったけど、あまりに純粋オーラ出しまくりのメールに、わたしは真面目に返信した。

「多分人違いだと思いますよ。わたしはあなたを存じあげません。」

「えー!マジで??」

いい加減なサトルと名乗る男からの返信が途絶えた。

本当の人違いだったようだ。
少し寂しい気持ちになった。
この、サトルとは、一瞬すれ違っただけ。

数日が過ぎた。

あの、『サトル』から再びメールが届く。
「サイコさん。この前はすみませんでした。別のサイコって知り合いがいて、メールアドレス似てたみたいで。これも何かの縁なので、また、メールしてもいいかなぁ。」

確かに、メールアドレスにわたしはsaikoの文字を入れている。
だが、電話番号ならまだしも、メールを文字違いで送り間違えることなんかあるのだろうか。
しかも、「サイコ」なんてそうある名前ではない。サイコパスみたいで好きな名前ではなかった。
漢字は「イロドリ」。その字さえも、自分へのプレッシャーとしてのし掛かっている気がしていた。自分の人生自体がグレースケールだと感じていたから。

「saiko間違い?」

半信半疑だった。

半信半疑だったが、
そのサトルの言葉に、濁りが見つからなかった。
片想いばかりの人生で、少し心が荒んでいたわたしは、サトルに返信した。

「いいよ。」

「やった!よろしくね、サイコさん!」

これが、サトルとわたしの、
奇跡的な出逢いだった。

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