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思い出に残ってる夜

小学校5年生の時に ”岡田” は転校していった。

よく遊ぶメンバーの1人だった。
身長は割と高め、ぽっちゃりしていた。



岡田から5年ぶりにヤスのところに連絡があった。

何でも、久しぶりにみんなで会わないか。という話だったらしい。


このときは中学三年の卒業後の3月で、みんな違う高校に通う前のどっちにも属してない期間だった。


今度みんなで岡田の住んでるところに行こうということになった。


岡田からの提案で、是非こっちまで来てくれということみたいだった。



何日後かの午後。

4人が地元の駅に集まった。

これから岡田の引っ越した先の隣県の駅まで1時間かけて向かう。


林「岡田変わってるかな」

自分「どうだろうね」

ヤス「そんなに変わってないんじゃない?」


そんな話を車内でしながら向かった。


私鉄の路線を進む。

目的の駅に近づいてくる。


ちょくちょく田畑が広がるのどかな雰囲気。

程よくマンションや住宅がある。



夕方、

こじんまりした駅につく。

駅前はお店が少しあるくらい。



谷「自分たちのとこと同じくらいなのどかさだね」

地元と近しいのんびりした空気感を感じた。



駅前で待っていると


1人の青年が近づいてきた。


マジ?

どうした?

え?

あのぽっちゃりの岡田からは似ても似つかない、スラッとしたイケメンが手をあげて近づいてくる。


髪も今風に少し動きのある感じ。
服装はパーカーにスニーカー。

なんだか洗練されているように感じた。


谷「おいー!岡田どうしたんだよ!」

ヤス「変わったなー!」

みんな驚きのリアクションだった。


あの岡田が?


ぽっちゃりしてどんくさいとはいかないけど、カッコいいという言葉とは程遠い感じだった岡田が。

一体何があったんだ。


岡田の提案で、近くにカラオケがあるからとりあえず向かおうという話になる。


みんなから、この変わりようはどういうことか、と質問を受けていた。


こっちに来て、中学生になりサッカー部に入った。そして頑張って痩せたんだという。


カラオケ屋に到着し、受付をして5人で入る。

部屋に入って引き続き、岡田の最近のことなどの話をみんなで聞いていた。


この前まで付き合ってた子がいたらしい。

こっちの中学では結構付き合ってる人は多いのだとか。

うちの中学より全然進んでるなと思った。


岡田が ’呼べそうな女の子” がいるから呼ぼうかという。


みんなテンション上がる。
とはいえ、みんな彼女など出来たことなんかない。
女子慣れしてるとはいいがたいメンツだ。

でもみんな色めき立った。


“ゆき”だったら来るかもしれない。

ちょっと電話してみるという。


みんな固唾をのんで見守る。


岡田「もしもし」

「今何してんの?」

「・・」

「友達たちとカラオケ来てるんだけど」

「もしよかったら来れない?」

「・・」

「前住んでたとこの友達」

「・・」

「5人」

「・・」

「・・」

「うん」

「わかった」


電話が切れる。

どうやらちょっと考えさせてと言っていたらしい。


そもそもその子と岡田の関係は?

質問がいく。


ただの女友達らしい。
プリクラも見せてもらった。
制服姿の2人組。


かわいい。


今どきのギャルみたく派手にしているという感じではなく、黒髪だけどなんだかイケている女子という感じだった。

となりの子もなかなかだった。


谷「おいおい。こっちにきて遊び人になってんなぁ。」


またしばらくしたら電話してみるか、電話かかってくるから、それまで歌おうということになり、


歌を入れていく。

最近流行りの曲とかをみんな入れていく。


ヤスが最初、林が2曲目。

3曲目に岡田の番だ。


GLAYのHOWEVER。


イントロがかかる。

歌い始める。

お世辞にも上手いとはいえない。


けど、

衝撃を受けていた。


なんだろうこの感情は。


特段声が出てるわけでもないし、音程取るのが上手いわけでもない。
でも歌い方と佇まいがなんだかカッコよく見える。

とにかく歌っている様子がカッコいい。


他の3人がどう思っていたのかは知らない。


自分は打ち負かされた気分になっていた。

5年という月日、違う場所で新たな環境に溶け込み、上手く順応して自分を変えていった。


こうも垢抜けるのか。


大人っぽく感じた。

どうしてこんなに差が開いた。


カラオケであとにも先にも、あんなに印象深い歌は無かった。


勝手に落ち込んでいた。

自分が張り合うつもりなんてないけど、男として負けたという気持ちが拭えなかった。

クソーっ
どうしたらそんなにモテそうな雰囲気に仕上がるんだよ。


ここで言っておくと、自分は特段モテるわけでもない。
顔も普通だし、特に女子と仲が良いわけでもない。
そもそも張り合いになるような感じではない。

とにかく、会ってからずっと衝撃を受けていた。
カラオケの余韻をしばらく引きずっていた。


しばらくして岡田に電話がかかってきた。

一旦、部屋の外に行き、戻ってきてみんなに伝えた。



今友達と2人で遊んでる。

来れないわけではなさそう。

でも、来るかどうか迷っているらしい

と。


2時間たったのでカラオケを出た。


岡田が通ってた小学校に行こうということになる。

歩いて10分くらいの場所だった。


途中、住宅地を歩いていると、隣県の雰囲気が自分たちの地元とはどことなく違うというのを感じて不思議な気分になっていた。


小学校についた。


校庭の門は開いていた。

サッカーボールが転がっている。


1人がボールを蹴りはじめる。


ゴール前におのおの配置し、センタリングをあげてシュートとかしだす。


そのうち、試合をしようということになった。

2対2で試合をする。その間1人が休憩ということで始まった。


途中、岡田に電話がかかってきた。


ゆきからだろう。

プレイを中断して、みんな見守る。


「・・」

「いいじゃん。ちょっとだけでも来れない?」

「・・」

「えー」

「お願い」

「マジでお願い」

「少しだけでもいいからさ」


「・・」

「そっか」

「わかった」


残念なお知らせだった。

やっぱり来れないということだった。


みんなガッカリしていた。


異郷の地で可愛い子たちが来てくれるかもしれないという、突如始まった特大イベントのウキウキ感は、

この時もろくも崩れさった。



その後もサッカーはしばらく続いた。


夜10時くらい。


まだ電車なら走ってると思われるけど、誰1人帰ろうという気も起きず、


しばらくして、コンビニに行きジュースやらおにぎりやらカップラーメンやらを買いにいった。


校庭のタイヤとうんてい近くの板に座ったりしてみんなで話していた。


空に月明かりが見えた。

ときおり聞こえていた電車が走る音も、いつしか聞こえなくなっていた。


「プール入れるかな?」っと林が言い出した。

この時期にプールって正気か?
というか入るのまずくね?


好奇心から、

とりあえずプールへ行く。


高いフェンス、入口もカギでしまってる。

フェンスをよじ登れば中入れるかもと
岡田と林がチャレンジしていた。

でもフェンスには返しがついていて、どうにも入れなかった。


結局入ることはできなかった。


小学校を出て住宅地を少し歩いた。

程なく円柱ブロックが立ってるちょっとした広場のような場所で落ち着いた。


ただただ、たわいもない会話が続いていた。


空が白み始め、


そろそろ電車の始発の時間を見に行くかということで。

駅に向かった。


始発の電車がもうじきという時間に少し早めにお開きになった。


岡田と別れ際、

今度は絶対女の子来てもらえるようセッティングしとくからリベンジしにまた来てくれと約束をして別れた。






その後岡田との約束が果たされることはなかった。






この日のことは、何年経ってもふとしたときに思い出すことがある。








最後まで読んでいただきありがとうございます。

印象深い夜だったので書いてみました。


結構文章書くって難しいですね。

語彙力がないし、構成が下手で読みにくいと思いますが、

なんとなく雰囲気が伝わってくれればいいなと思って書きました。







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