季語研究 「南風」 -さまざまな呼び名-

★★★けろけろ道場 季語研究★★★
No.33【南風(みなみ)】(三夏 / 天文)

● 概要
 夏に南から吹く風。「みなみ」という呼び名は元々は船乗り言葉である。
 西日本では「はえ」「まぜ」「まじ」などと呼ぶ。

●    傍題
南風(みなみかぜ) 南風(なんぷう) 南吹く 南風(はえ) 大南風(おほみなみ) 海南風(かいなんぷう) まぜ まじ 

● 季語について
 今回は「南風」を取り上げます。
 南風の基本イメージは「朗らか」だと思いますが、南風は湿気を含み、突発的に吹くこともあります。また、漁師さんの世界では南風が吹くと天候が変わる前兆として警戒するそうです。このような点も頭に入れた上で句作に臨みたいですね。
 私の出身地沖縄では南風は「はえ」と呼び、南風原町(はえばるちょう)という町もあるくらいですが、「はえ」と呼ぶのは沖縄だけではないようですね。地域ごとに呼び方があるようなので、各地域の特性と結び付けて考えるのもよいかもしれません。

● 例句研究
笠の紐むすびなほせば南風吹く
-加藤三七子-

南風吹くカレーライスに海と陸
-櫂未知子-

人々に夜も吹くなり南風
-高野素十-

両肩に海南風の翼負ふ
-山口誓子-

よそ者としてふるさとの南風に佇つ
-鈴木真砂女-

◆ 主要参考文献
『合本 俳句歳時記 第四版』(角川学芸出版)
ウェブサイト『きごさい歳時記』

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