季語研究 「夜長」 -秋の夜長に-
★★★けろけろ道場 季語研究★★★
No.28【夜長(よなが)】(三秋 / 時候)
● 概要
秋の長い夜のことをいう。秋分を過ぎると、昼より夜の時間が長くなる。夜業や読書にも身が入る。
● 季語について
「夜長」と聞いて私たちが真っ先に思い出すのは『むしのこえ』の歌詞ですね。一番を引用してみます。
あれまつむしが ないている
チンチロチンチロ チンチロリン
あれすずむしも なきだして
リンリンリンリン リインリン
あきのよながを なきとおす
ああおもしろい むしのこえ
子どもの頃を思い出す名曲ですね。「夜長」にはこの曲のように虫の声を聴いたり読書に精を出す、豊かな時間というイメージがありますね。俳人の皆さんにもそれぞれに「夜長」に思い出を持ってらっしゃることでしょう。ただし、夜にもの考えをし過ぎると、かえって良くない思考にとらわれる場合もあるので、そういう時はホットココアでも飲んでぼーっと長き夜を楽しんでくださいね。
● 例句研究
耳際に松風の吹く夜永かな
-一茶-
やはり「夜長」は寝た姿勢のまま外の音を聞くというシチュエーションが多いようです。季語の雰囲気を真っ向から捉えた、非常に勉強になる句といえるでしょう。
長き夜や目覚むるたびに我老いぬ
-樗良-
よそに鳴る夜長の時計数へけり
-杉田久女-
私の好きな杉田久女さんの句です。一茶の句と同様に、外からの音を聞く句ですが、この句のほかにも、時計の音を聞くという句は多数作られているようです。
妻がゐて夜長を言へりさう思う
-森澄男-
それぞれの部屋にこもりて夜長かな
-片山由美子-
怖るるな最下位怖るるな夜長
-東国原英夫-
人気番組『プレバト!!』での東国原英夫さんの句です。夏井いつき先生による添削後の句が以下のものとなります。
怖るるな詩を怖るるな長き夜を
-東国原英夫- (夏井いつき氏による添削後の句)
この添削は多くの方から名添削と絶賛されました。
◆ 主要参考文献
『合本 俳句歳時記 第四版』(角川学芸出版)
ウェブサイト『きごさい歳時記』
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