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父の昔話①

昭和4年生まれの父は
若い頃大聖寺でタクシーの運転手をしてて。
20代前半からもう運転手してた。
運転手になって間もない頃、
山代温泉の一軒の家から送迎依頼があった。
呼ばれた家の前で待っていると、
二人の男が出てきた。
若いのと、中年。
タクシーに乗ると
若い方が頭を振りながら
「大人はどうもうるさくて嫌だな」と
もう十分大人に見えるのに
子供のようにそう言った。
中年の方が
「清さん、人ってのは歳を取ると
体は動かんようになって口ばっかり動くようになるんや」
となだめるように歳を重ねた大人らしいことを言った。
「そんなもんですか」
「そうや」
二人は
陶芸家の須田青華さんと山下清さんだったそうだ。

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