パウパーの「魅力」に関して語らせてくれ
前置き
こんにちは。
宇都宮でM:TGをプレイしている菊川けりおです。
唐突ですがみなさんM:TG好きですか。
僕は大好きです。
このゲーム、めちゃくちゃ面白いです。
面白すぎて10数年前に引退したはずなのに戻ってきてしまいました。
この記事ではただの一般人男性が「パウパー」というフォーマットの魅力に関して語ります。
と、ここまでは前回に書いた同様の記事からほぼ丸コピペです。
気づいた方は一読してくださりありがとうございます。
まだ読んでないお方も読んで頂けたら嬉しいです。
(上の記事はいいねや拡散を色んな人から頂けて嬉しかったです)
プレイ環境
前回同様、自己紹介を兼ねた誰得私のプレイ環境情報です。
近い境遇にある方がちょっとでも親近感を持ってくれると嬉しいな〜と思っています。
既婚、娘1人(1歳になりました!)
土日は仕事が入るため、大型大会への参加が困難
(祝日にパウパー神決開催してくれてありがとう!!)週1回、宇都宮晴れる屋での紙プレイ(主にLegacy)
空き時間でMagic OnlineのPauper Leagueをプレイ
(人口400名程度の村で生きています)
放置していたカードを子供に折られながら、自分なりに楽しくM:TGに関わっています。きっとこの記事を読んでいるみなさんもそうだと思います。
パウパー大好きな皆さんもnoteなど書いてください。
私は読みますし、感想も書きます。
では魅力に行きましょ〜!
魅力①「プレイに掛かる金額」
スマねぇ。前回も同じことを言いました。
「安い」っていうことは強力な魅力なのです。
30円ストレージのカードが積み重なった束同士で殴り合えるのは経済的!
晴れる屋で貰える100円券で2枚ぐらいのカードと取り替えられる!
まとめ売り品を買ったときに雑多なコモン束から一線級のカードが掘り出されることもザラにあります。宝探し感覚で楽しい!脳汁ドッパドパ!
だからみんなパウパーやろうぜ!!
と言うのが前回の記事でした。
しかし最近、この魅力に関して以下のように考えています。
「パウパーは安い」という魅力の限界
TwitterではたびたびM:TGのプレイに掛かる金額論争が起きます。
要約すると「M:TGはプレイに掛かる金額が高すぎる。だから他のTCGをプレイするマス層の10後半~20代のプレイヤーが増えないんだ。」という内容です。一理あるな〜とただただ感じます。ゲーム性が持つ楽しさや魅力を値段が減衰している側面は確実に存在します。
こういった論争で私がみる限り必ずと言っていいほど「パウパー」というフォーマットを挙げる人が存在し、「パウパーは金額が安い!だから初心者も参入しやすい!」という意見を見てきました。当初は私自身も「そうだそうだ!」と思っていましたが、最近は考え方が変わりました。
事実としてパウパーで使われるカードの多くは安いです。
しかし厳密には「安かった」です。
安いカードは安いのですが、サイドボードに使われるカードや多くのデッキに採用されるカードは(コモンの割には)高額です。
何度か記事でも取り上げましたが、《ロリアンの発見》は当初20~50円程度で購入できました。しかし現在では600~800円ほどします。そしてこのカードはパウパーの青いデッキでほぼ4枚積みです。
M:TG初心者に「コモン限定構築のパウパーってルールは安いんだぜ!この600円するカードを4枚入れる必要があるんだけどな!」と言うことで初心者にパウパーの魅力が伝わるのか、と考えてみると「どうなんだろ。」と言うのが今の本音です。(こう書くと「いやいやそのカードを使わないデッキも沢山ある」と言われるのですが、「それはそれ。これはこれ。」なんですな)
やっぱり「安い=魅力」
ネガティブにわざと書きましたが、そうは言っても「安い=魅力」であることには変わりません。「この値段でこんなに楽しめるのっ?!」と言うお得感はパウパーが頭一つ抜けています。(パワー99という界隈で盛り上がっているルールもお得感が凄い)
そしてメタゲームに応じて握るデッキを変えることも容易です。1つのデッキを研ぎ澄ませる職人たちに憧れはしますが、私はそういうタイプではありません。そんな私にとって「試しにこのデッキ組んでみるか」と新デッキを組む事に心理的ハードルが低いのは、どう考えても「値段が安い」と言う点にあります。
結構前にパウパーデッキ価格一覧のツイートをしましたが、最新版をまた作れたら良いな〜と思っています。
魅力②「古典的なM:TG」
全てコモンカードですから神話レアやレアカードと比べると派手さに欠けた生物ばかりです。赤単で使用されている《ゴブリンの墓荒らし》とモダン界に生息する《敏捷なこそ泥、ラガバン》。1マナでここまでの格差があるのはレアリティ準拠だからとしか言えません。
1枚で盤面支配するようなカードは存在せず、強いカードであってもしっかりお膳立てしない限り除去されて手詰まりを起こしてしまいます。基本的には弱い生物を強い呪文でバックアップしながら盤面を有利にしていく。
これこそがパウパーの魅力であり、「弱いけど強い!」という相反した感情が同居しながら私がドップリとハマってしまった理由なのです。
古典的であるが故に初心者は勝てない
第5回パウパー神挑戦者決定戦に参加した際、世界王者になった高橋優太選手と戦う機会を得ました。私はローウィン時代に現役だったので、高橋選手から《呪文づまりのスプライト》や《コショウ煙》をプレイされた時には「これこれ〜!!!」と内心爆上がりでした。
試合後に少しだけお話しする機会があり、「パウパーでも青黒フェアリーを使うんですね」と言ったら「遊びには好きなデッキ使いたいからね」と笑顔で答えました。
そう、遊びで勝てるのです。
私は高橋選手の発言が「遊び≠適当」と知っています。
本気で遊んでいるだけ。勝つためにプレイしているだけ。
そして普段パウパーをプレイしているわけがないのに上位8名に残る。
パウパーは1枚で盤面を制圧するゲームではありません。
ドラフトやシールドといったリミテッドと近い感覚で、運が絡みつつも結局は地力のある方が勝つ。いわゆる「実力ゲー」の要素が色濃いルールです。
こう考えるとパウパーは初心者が勝てないルールだと感じます。
勝てないゲームを続けるのは単純に苦行です。
TCGには将棋や囲碁と異なり「運」の要素が介入しますので、たまには初心者であっても勝てます。しかしトータルでは勝てません。ボコボコにされます。プレイイング技術だけでなく、知識不足も相まってフルボッコです。
私も10数年ぶりに復帰した初めての平日大会は全試合ストレート負けでボコられました。(この事はこれからも擦り続けます)
打ち込んだ分だけ手応えを感じる
じゃあこのパウパーはうんちルールなのか。そう感じていたらわざわざ往復4,000円+参加費2,000円と祝日を消費して神決に参加なんてしません。
適切な努力を積み重ねていけば、トータルでの勝率が上がっていく。
打ち込んだ分だけ手応えを感じる。
いつでもそういう訳ではない。しかし確実に存在するソレが楽しい。
この記事を書きながら「打ち込ませてくれるパウパーに魅力を感じているんだな」としみじみ思いました。30歳を超えて上達することを楽しめるなんて最高だぜ!
M:TGのお師匠からは「けりおさんはコンバット50点」と言われているので、まだ50点も上達できるのか〜最高やんけ〜と言うモチベーションでこれからも打ち込みます。
魅力③「多種多様なデッキが存在して良い」
コモンで禁止さえされていなければ全てのカードが使える。
このぷちレガシーみたいなルールによって、パウパーはガラパゴス諸島もビックリな多様性を見せています。(ダイバーシティよりも多様だが自然淘汰も許す。自然は厳しいのだ。)
直近のパウパー神挑戦者決定戦のメタゲーム分布をみても多種多様なデッキが混在していることが分かります。しかも上位に食い込みそうなデッキタイプに絞っても多すぎる始末。
上位卓に上がってきそうなデッキタイプがあまりにも多い為、「このデッキを握ればとりあえずok」と言える環境ではありませんでした。
「カード単価がM:TG内では安い=誰でも組もうと思えばTier1のデッキが組める」という図式が出来ているため、パウパー識者の人達でさえ何のデッキを握れば良いのか悩んだようです。
決定麻痺を起こす複雑さ
多種多様なデッキが存在しても良い、ということはカードプールが複雑と言い換えることができます。
他フォーマットの平日大会に珍しく参加すると「よくパウパーされてますよね」と声掛けられることがあります。「そうです。パウパー楽しいですよ!やりませんか!」と軽い勧誘文句をいつも言っている訳ですが、今でも印象に残っている返答がありました。
「私、スタンのカードプールを覚えるので必死なのでパウパーは難しいですね。」
た、確かに。
目から鱗である。
カードプールが広すぎるからあまりやりたくない。
た、確かに。(2度目)
「決定/選択麻痺」と呼ばれる心理バイアスがパウパーでは発生しやすい。
「選択の科学」の著者シーナ・アイエンガーによるTEDスピーチ
もちろんレガシーやヴィンテージの方が使えるカードが多いので、そっちも同様であるが「能力が派手」というパウパーにはない魅力をどちらも有している。それに高額なカード(通称:札束)で殴り合うことは、それ自体に体験価値があるので「やってみたい」というプレイヤーは多いだろう。
一方、パウパーはどうだろうか。
コモンで殴り合うのである。
ストレージに転がっているカードが多く採用された安いカードの束。
そこに体験価値はあるのか。
ある。しかし分かりづらい。
Force of Willで無慈悲に打ち消されたり、フェッチランドから10数万円するカードが無造作に置かれたりするレガシーや、最低100万円は掛かるBlack Lotusをプレイできるヴィンテージが持つ体験価値と比べたら、、、、。
パウパーは膨大なカードプールと多種多様なデッキから「選択」しなければならない。しかし同様のプロセスを経るなら、、、、、。
職人とデッキビルダーたち
いつもこの話に戻るが、パウパーは安い。
だからこそ試行錯誤がしやすい。
私が勝手にですが「職人」と呼んでいる人々が存在します。
彼らはメタゲーム的に不利であっても「特定のアーキタイプ/カード」に固執する。ありのままを言えば執着していて、私には到底真似できないと感じています。
フォロワーの中で言えば吉田おいなり氏はその筆頭と言えます。
Tochigi Pauper Clubで言えば部長ことほったろう氏も。
褒め言葉として2人には言いたい。
「あたおか」
また職人とは別にいわゆるデッキビルダーも存在します。
当たり前だが新しいデッキが誕生するということは、誰かが誕生させたのです。誰も目を留めなかったカードに目を留め、有象無象のカードから選択し続けて形にしていく。0→1が偉いとかではないが、デッキビルダーにはいつでも敬意を払いたいと考えています。
パウパー神挑戦者決定戦優勝者の角とうふ氏はデッキビルダーとしても強い。魅力のあるデッキを作るし、専用機に収まらない所がポイント。
他にもPauper MTGのOONS氏はブラッドバーンというデッキを構築した。現在でも形を変えながら多くのプレイヤーが握っているアーキタイプです。
自己表現のツールとして
これらのプレイヤーを挙げながら思うことは、
「パウパーは自己表現のツールとして優れている」という点です。
デッキ名が代名詞になるってある種のステータスですよね。
「◯◯デッキの〜〜さんですよね」とか誰でも1度は言われたいと思う。私は言われたいです。
ガチガチの競技勢にならなくたって良い。
新しいデッキやカードを試したい。
1つに特化して極めていきたい。
そんな人にとってパウパーというルールは間口が広いと言えます。
魅力④「ローテーション落ちと禁止改訂」
前の記事で述べた以上に言葉はありません。
パウパー・フォーマット委員会の皆さんには感謝しています。
このレベルで禁止改訂などに熱量を持っているフォーマットはないんじゃないかな、と思っています。全ての人が納得している訳ではないと思いますが、パウパーをできる限り健全に運営しようとしている姿勢を評価しています。
最後に
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
前回の記事を改めて読みながら、自己反駁を繰り返す記事となりました。
執筆当初、あまりにもネガティブな目線で書きすぎたなと思いましたが、最終的には私なりのパウパー愛を示せたかなと思っています。
特定の誰かを指している訳ではありませんが、パウパーというフォーマットは万能ではありません。「初心者に向いてる!入門者に優しい!」と簡単に言えるほどこのフォーマットは単純ではないし、実はそんなフォーマットはないのかも知れません。
結局この記事自体もどこに魅力を語っているのかよく分からないものになりましたが、なにかしらの反応を貰えたら嬉しい限りです。
パウパーに興味を持っている方。
ぜひプレイしてみてください。そして大会にも出てみてください。
パウパー村の猛者たちはあなたをしっかりとフルボッコにしてくれます。
もしパウパー初心者のあなたが3-0できたのなら、あなたはM:TGが上手な方です。今後もパウパーをプレイしてください。
もしあなたが0-3になったのなら、今度はボコし返しましょう。
すでにパウパー民の方。
これからもよろしくお願い致します。
殴り合って殴り合って、これからもコミュニケーション取りましょう。
P.S もうちょっと楽しそうにプレイしますね。
稚拙な文ですが以上になります。
Tochigi Pauper Club 菊川けりお