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ごぶりん馬鹿一代

デッキ調整備忘録
~ スティッキーフィンガー ~


運用編 

 5回目の神決が終わって、パウパーは 一区切りかな〜?なんて思っていた矢先、「いつもの」こと スティッキーフィンガーミラーが実現してしまうという まさかの異常事態が発生(負けた)。プレイングについてレクチャーしながら対戦したものの、意外と言葉にして伝えるのは難しく、なんだかデッキをコピーしてもらって嬉しかったこともあって、良い機会だから文章に まとめることにしたよ!自分で言うのもなんだけど、使っていて スゴく『遊び甲斐があって楽しい』デッキだから、興味がある人は構築やプレイングの参考にしてください!


※ 2023年12月の頭に書いた文章の為、現在は《僧院の速槍》が禁止になっていることを先に申し上げておきます。奇しくも 現行のカルドーサレッドは、空いた速槍の枠を《ゴブリンの墓荒らし》が埋め、衝動ドローの縮小や《ゴブリンの手投げ弾》の採用により、構築が自身のデッキに似てきたなと感じています。デッキの変遷がわかって良いかなと思い、禁止後の事柄は補足程度に止め、あえてそのままにしました。(決して書き直すのが面倒だったわけではないからな)





どんなデッキ?


 所謂 アグロデッキで、「カルドーサレッド」に分類される 赤単ゴブリンスライだよ。
先日の第5期パウパー神挑戦者決定戦では、そのカルドーサが神の座を奪ったわけだけど、それとは 若干毛色が違うのと、類似するデッキが複数あるので、それらを紹介しながら解説することにします!

いつものだけど
ちょいちょいかわる

 
 基本的には「並べて殴る」という、王道のビートダウン戦術をとるよ。そこに小細工を仕込んで対応力を上げ、不利対面でもある程度 戦えるようになっているような気がするよ。(一方で、有利寄りの相手に苦戦するなんてことも…)
すでに述べたように、最近の赤単は派生が多すぎて説明するのが大変なので、ちょうど良い比較対象として、とりあえず 神様のデッキを例として挙げときますね。

まさか赤単が勝つとは


 個人的に、お?と思ったのは《ゴブリンの奇襲隊》が4枚でなく2枚なのと、《間に合わせの棍棒》を2枚採用しているところ。サイドの《倒壊》といい、通称ランナーこと《ゴブリンの爆風走り》を上手く使えるようになっているね。衝動ドロー系のソーサリーを自分は ほとんど使ったことがないんだけど、6枚ってのも次のアクションに繋げやすく無駄の少ない絶妙な塩梅なのかなと。奇襲隊の強さはクリーチャーの数に比例するけれど、ランナーは条件さえ整えることが可能ならば安定したクロックが見込める。カルドーサレッド自体、「上振れ」が 強みのデッキと言えるけど、それに依存しない構築がみてとれるね。それと サイドに《鋭い痛み》を採っていないのも潔くて、自身の設計思想的に近いものを感じたよ。

 他に奇襲隊を採用せず《ドワーフの炉の詠唱者》や《ケッシグの炎吹き》でバーン寄りにした型。《無謀なる衝動》や《レンの決意》を採用せず、《水蓮の花びら》を筆頭に、ほぼ1マナのカードで構成し、速度と上振れに特化した型。最近だと、《________ Goblin》を使った もはやコンボデッキに近い、ステッカー型なんてのもあるけど、共通して言えることは、単色デッキ とりわけである為、各種4枚積みの金太郎飴のような構築になりやすく 直線的で強いときは強いけど、いかんせん対応力と面白味に欠けるのがどうも…(そもそも押し付けるデッキに対応力も何も無いが?)ってので、スティッキーフィンガーは《盗み癖》とゴブリンシナジーを最大限に活かし、あえてちょっと軸をずらした あるデッキです!


じゃあ どう勝ちにいくの?

そんなんゴブリンビートに決まっておろうが

 
 軸をずらすとか余裕こいてて大丈夫?と思うでしょ?まぁ、神決の配信を観てもらえば嫌でも分かるように、カルドーサのパッケージが入ってれば、十分強いので(強すぎるくらいだろ!あんなん!)なんとかなるでしょ…。


 数あるカルドーサ系デッキとの最大の違いは、次のカードを採用していること。


《ゴブリンのそり乗り / Goblin Sledder》

やはりFoil は旧枠のに限る



《盗み癖 / Sticky Fingers》

デッキ名の由来はここから


 上の2枚が 生贄・威迫ギミックに寄与することで、トリッキーな動きで相手を翻弄することを可能にしているよ。基本的な動きとしては、序盤は《盗み癖》の威迫付与によって ダメージを稼ぐとともに リソースの確保 & クリーチャー展開 or ブロッカーの除去に専念。中〜終盤は、《ゴブリンのそり乗り》(以降、スレッダー)の能力で、ブロッカーをすり抜けて確実にライフを詰めていき奇襲隊や火力でフィニッシュ!てな感じ。
一般的には《カルドーサの再誕》の種として、《発火器具》や《彩色の星》を用いるけど、《盗み癖》が生成した宝物トークンをそのコストにあてることもできるので、スロットの圧縮と土地枚数の削減により、空いた枠に様々なカードを採用できるようになっているんだ。さらに《盗み癖》はダメージが通り続ける限り、実質 毎ターン追加の土地をプレイしているに等しく、場に土地が一枚でゲームを終えることも珍しくないよ。
余談になるけど、《無謀なる衝動》を筆頭に 衝動ドロー系のスペルは採用していないんだ。なぜかというと、それらはマナとターンを費やすだけでなく 相手に次の行動の情報を与えてしまうし、何より あくまでカードを引く為のカードである為、デッキ内のスロットをある程度割かなければならない。すると…使えるゴブリンが減ってしまう…。実にナンセンスな話だよね。

あらためて、じゃあ、どう勝ちにいくの…?

………。

そんなん ゴブリンビートに決まっておろうが!!ビートじゃビート!ゴブリンビート!!!




HOW TO あれこれ



 このデッキを扱う上で、念頭においている言葉があって、それは…
押し付けるのは脅威ではなく驚異』だよ(言ってみたかっただけ)
個々のカードパワー自体は非常に弱く脆い部類なので、それらカード間のシナジーを極限まで高めて、いかにして相手の意表を突いたり、裏をかくプレイをするかが重要になってくるよ。
じゃあ、ここからは、そのプレイングについて詳しく書いていきます!


① 土地について
② 展開について
③ 戦闘について
大きく分けて この3つ

 
 まず最初に 土地についてみていこう。このデッキは《盗み癖》から生成される宝物トークン、《水蓮の花びら》、さらには《黄金犬》の使い捨てマナファクトの使用を前提に、デッキ内のカードのコストを ほぼ1マナ以下にすることにより、最低限のリソースで 、ターン中 複数のアクションを行えるようになっている。その為、デッキ63枚に対して土地は14枚。個人的に赤単は 場に土地が3枚あれば充分だと思っているけど、(4枚目以降に引く土地は1ターン無駄にしたに等しい)このデッキは土地は場に2枚あれば良い。では3枚目以降の土地はどうするか?ひとつは 血トークンのコストとして手札に留めておく。同時にもうひとつの役割は「ブラフ」。手札枚数が多いほど、相手は考えることが増え判断が鈍る。稲妻か?奇襲隊か?はたまた別の何かか…?言わずもがな 前後にそれらを匂わせる盤面の整え方や、プレイングも重要になってくる。「無いものを有るように。有るものを無いように」を意識すること。わざわざ使いもしない土地をさらして何の意味があるのか。意識的に土地はプレイしないようにしよう。

※ サンプリングしたわけではないので 確かなことは言えないが、一般的なカルドーサレッドは 場に土地が4〜5枚があると安定するのではなかろうか

 次に《山》と《大焼炉》について。置くなら メイン戦は《大焼炉》を優先的に置くと良い。加えて、ルーティングのコストには《山》が適している。基本的に、《大焼炉》は立たせておくと 統合機から《カルドーサの再誕》が捲れた場合、最悪マナの支払い及び追加コストとして使用できる。ターンを返すのであれば、割られることを考慮して、《大焼炉》を寝かせていく。

※ 現在は《ゴブリンの墓荒らし》の採用が一般化している為、初手に《大焼炉》から入ると(山の場合も然り)墓荒らしの有無などが分かってしまうことには注意。

些細なことではあるが、カルドーサのパッケージを使う際は覚えておいて損はない。では、① 土地を踏まえたうえで、② 展開についてをみていこう。

モンジャ…モンジャ…


展開において重要な序盤の動きは、3つのルートの内、どれかを選択することになる。

A カルドーサルート
B 統合機ルート
C 盗み癖ルート

Aのカルドーサルートは、最も強力な動きといえる。このデッキは《水蓮の花びら》や《トーモッドの場所》の0マナファクトをメインから採用しているので、初手で唱えることも可能だ。ポイントとしては、奇襲隊のダメージを最大化させる為ブロッカーを焼く火力、戦闘時に役立つスレッダーをキープする際の基準とするといい。稀に初手《大焼炉》から《カルドーサの再誕》を唱えることがあるが、ハンドに山が2枚+奇襲隊といった、早期決着が見込める場合に限られる。
遅いデッキに対しては有効打となる。全体除去が3マナ帯と仮定すると、それまでにライフの半分程度を削ることも珍しくない。

なるべく宝物を追加コストに充て、血トークンは残す


Bの統合機ルートは、速槍とセットで。初手 速槍。次ターン、統合機→土地セットから理想的なのはクリーチャーを展開。速槍は強い駒である為 除去の対象になりやすいので、出たターンに 2〜3点を削れれば御の字。以降は避雷針として扱う。とにかく、序盤はクリーチャーを並べていくこと。

命知らずかゴブリングレネードかそれが問題だ


Cの盗み癖ルートは、比較的弱い駒、美食家やスレッダーに《盗み癖》を付け、攻めに転じるまでの下準備をする。除去されなければ、ダメージを与えつつ、継続してリソースを産み続けるので、A・Bのルートに分岐させやすくなる。

いい山


マリガンについては補足程度にとどめるが、このデッキは、土地が1枚さえあれば(理想は2枚)上記の3ルートのいずれかを辿れるようになっている。強いて言うならば、B 統合機ルートは、土地が2枚ないと安定しない。よって、マリガン基準は土地が0枚の場合か、非常に稀であるが、《盗み癖》を貼るクリーチャーが無い時に限られる。比較的マリガンに関してはキープ基準は甘い部類に入る。これは強みでもあり弱みでもある。

土地引けばいけるな



ここからは、③ 戦闘について詳しく解説する。
コンバットトリックは このデッキの華と言っても過言ではないので、さらに細分化する。ポイントとしては、

一、可能な限り、1点でもいいので、毎ターン、ダメージを与え続けること
二、相手との戦力比は3:1以上になるよう意識すること
三、《ゴブリンのそり乗り》を最大限に活用すること

一、 デッキ内のクリーチャーサイズは ほぼ 1 / 1 なので、威迫付与等で 毎ターン確実にダメージを刻んでいく。その為に除去されても継戦できるよう 序盤はクリーチャーを並べることに注力する。同時に《盗み癖》を使いリソースを確保するわけだが、エンチャント先の優先度は 美食家→ゴブリントークン→スレッダー→速槍→黄金犬→ランナーの順とした。これは除去されたときの損失が少なくてすむ目安である。《盗み癖》の死亡誘発が無駄になるバウンスや追放除去を使用してくる相手には注意。エンチャント先をゴブリンに限定して、スレッダーの能力で確実に引きにいきたい。

二、相手との戦力比を3:1以上を維持することを意識する。相手クリーチャー1に対して、《盗み癖》が付いたアタッカー兼リソース獲得要員x1、アタッカー(速槍かランナー)×1、スレッダー×1が理想的な3体。相手が2体目以降を並べてくるようなら 除去。威迫持ちであれば、ブロッカー1体は実質アンブロになる。加えて なぜ1体は残すのかというと、火力は有限であるし、後述する《一時的な連帯》の採用理由に繋がる。

      《一時的な連帯 / Tentative Connection》

にゃ〜ん

 奪うクリーチャーによって、威力が変動する火力と考えると分かりやすい。序盤はブロッカーの排除に、終盤は相手のフィニッシャーを奪うことで、大ダメージが期待できる。アーティファクトクリーチャーに焦点をあてると、《きらきらするすべて》が着いた《羽ばたき飛行機械》や《ケンクのアーティフィサー》でクリーチャー化した土地ならば 戦闘後、《カルドーサの再誕》のコストに充ててしまおう。多相クリーチャーやゴブリンであれば、スレッダーで生贄にできる。《命知らず》との相性も良い。侍トークンを生成した際 これが捲れた場合、侍を対象にとって 速攻を付与するといった使い方も。限定的ではあるが、これとスレッダーを組み合わせることにより《虹色の断片》を回避して大ダメージを通すことも可能。非常に印象に残るカードである為、2ゲーム以降 相手は展開を慎重にならざるを得なくなるといった、心理的効果もある。

三、《ゴブリンのそり乗り》の活用方法について。使用方法は多岐にわたるが、主には戦闘時のクリーチャー強化がある。奇襲隊が絡まなければ、カルドーサのトークンも所詮は ただの 1 / 1。頻出する事例として 1 / 2サイズがブロッカーに立った場合を挙げる。通常のカルドーサレッドの場合は足踏みしてしまうところだが、このカードのおかげで、1体失っても、場にはスレッダーを含め3体が残る。
《盗み癖》が着いたゴブリンならば、生贄にして1ドローに置換できることも忘れてはならない。
また、赤いデッキには致命的となる絆魂持ちを無効化できる能力を有している。



     ハァハァハァ…疲れた…。


 

本来なら この後、各マッチごとの立ち回り方ぁ〜とか、サイドボーディングぅ〜だとか書くんだろうけど、その辺の形式ばったの苦手というか、書く気力がもたなくなってきたし、適当にやるのが、このデッキの力を引き出すような気がしているので… ダラダラ話すことにしたよ!

 このデッキを 一年半ほど回してきて わかってきたのは、実はスティッキーフィンガーって、アグロデッキというよりは、「クロックパーミッション」に近いんじゃない?ってこと。調べたら「ビートコントロール」とも言うらしい。結構、相手の動きに合わせて対応を変えられる柔軟性が自分自身が思っている以上にあるなと。それを可能にしてるのは、「つなぎ」を設けてるからだと思う。
例えばなんだけど、一般的なカルドーサレッドだと、《ゴブリンの爆風走り》、《ヴォルダーレンの美食家》が各4枚ずつのところを 現在 自分は、ランナー×2、美食家×2、《黄金犬》×2、《ジンジャーブルート》×2にしている。犬とジンジャーには、ランナーとしての役割と、美食家の生成する血トークン(カルドーサのたね)としての役割を持たせている。また、犬は4枚目の《水蓮の花びら》、ジンジャーは、5枚目の《ゴブリンの墓荒らし》としての側面もある。一見、ランナーは強そうにみえるけど、その分 除去の対象になりやすいし、能力誘発に条件もある。美食家は出た時に1点のダメージを与えるものの、以降はただの 1 / 1 バニラ。しかし、《黄金犬》はどうだろう?最弱のスタッツゆえ、余程のことがない限り除去は免れるだろう。序盤は微力ながら、ダメージを稼いでくれるはずだ。先制攻撃持ちの為、ブロッカーとても使え その点は美食家に勝る。
ランナーと墓荒らしは、《水流破》に当たってしまうけど、ジンジャーは対象外 。それどころか、《虹色の断片》をものともしない。
再現性を高める為、各種4枚ずつ採用なのは理にかなっているけど、裏目もある。採用枚数、種類が分かっていれば 対応も容易なのだ。ところが、よくわからんカードが出てきたらどうだろう?

黄金犬に、ゴブリンのそり乗り?喪心はランナーに使いたいし、とっておこう…。盗み癖?墓荒らしも出てきた、除去るか…どれを? 打点の高い墓荒らしか?宝物でリソース稼がれるのもやだな…。ただ除去ると1ドローかぁ うーん…。


威迫か〜 除去ないからブロッカーたてるか…
あぁ…1体焼かれた…
っし除去引いた!構えてターン返そ…
一時的な連帯に奇襲隊?こっちガラ空きなんだが!?


てな感じで 脅威度を絶妙に分散し、相手の打った手に対して、以降の行動を変える。

基本的には 攻めるデッキではあるものの、押し付けるというよりは、妨害、誘導していく側面が見え隠れして、クロパに近いかな〜と。
以前は、稲妻は顔面に飛ばすのが当たり前だと思ってたし、気持ちよかったけど、「稲妻は対抗呪文」って言葉を最近聞いてなるほどなと思った次第。



おわりに

竜頭蛇尾になってしまったけど、いったん締めます。使えば使うほど味がするデッキであることは保証しますので、使ってくれる方の役にたてば 嬉しいです。そして願わくば、スティッキーフィンガー談議したくござ候。

またTCか?


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