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嘘や隠しごとをする病気とは

嘘をつくのは人間の本能か

「人は誰でも嘘をつく」と言われますが、本当にそうなのでしょうか。哲学者カントは「嘘をつくことは、人間の尊厳を傷つける」と述べています。嘘をつくことは道徳的に正しくないと考えられてきました。しかし、近年の研究では、嘘をつくのは人間のコミュニケーション能力と関係が深いことがわかってきました。例えば、白い嘘をつくのは、相手の気分を害したくない気持ちの表れだとされます。また、自分に有利になる嘘も、生き残りをかけて他者と競争するのは人間の本能的な行動だと言えます。嘘をつくこと自体を全て否定するのではなく、なぜその時その場所で嘘が必要だったのか、背景を理解することが大切だと思います。

病的な嘘をつく障害とは

しかし、日常的に嘘をついてしまう「病的な嘘つき」は、精神疾患の一種である病的な嘘つき障害と関連があると考えられています。この障害を持つ人は、目的もなく日常的に嘘をついてしまいます。また、自分の嘘を見破られるのが怖くて更なる嘘を重ねる「嘘の塔」に陥りがちです。こうした病的な嘘をつく背景には、子どもの頃に嘘をつくことで叱られずにすんだ経験がある人が多いと言われています。彼らは嘘をつくことで不安感や孤独感を紛らわせているのかもしれません。治療には、自己理解を深め、人との信頼関係を築く手助けが必要とされています。

隠し事をするのはなぜ?

嘘と似ていて違うのが、秘密や隠しごとです。隠しごととは、自分や周囲に不利益がない限りは口外しないという、社会的なルールに基づく行動です。哲学者カントは、他人の隠しごとを暴露することは、その人の自由を奪うことだと述べています。一方で、家族が違法な隠しごとをしていると知った場合、それを見過ごすことが本当に正しいことなのか、考える必要がありそうです。隠しごとをする理由は人それぞれ。相手の気持ちに寄り添い、生きづらさを和らげる対話が大切だと思います。

嘘や隠しごとを減らすには

嘘をつかない明瞭なコミュニケーションが理想ですが、そう簡単にはいきません。まず自分の嘘を知り、その背景に目を向けるのが第一歩。次に、信頼できる人との対話を心がけ、互いを尊重し合う関係を築くことが大切です。相手の隠しごとを暴露するのではなく、話す準備ができた時に傾聴することを心掛けたい。時にはカウンセラーなど専門家に相談するのも一つの手です。嘘や隠しごとを減らすには、支え合う人間関係が不可欠なのかもしれません。

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