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[すこし散文詩的なものを] 0009 神はいるのか

父の眠る土地を訪れた。
その近くに小さな聖堂がある。
休みの日、午後、光の柱。
中にあるベンチに腰をかけた。
僕の半径1メートルは、いつだって僕だけの世界。
誰もそれを侵すことはできなかった。
光の柱は、少し揺らめいていた。

僕の前にあるものは、虚偽と欺瞞だと思っていた。
僕は拒否しかしなかった。
足元には、果てしない道。
空高くあるものは分厚い雲ばかり。
太陽は、僕に輝くだろうか。

災いは、罪の因果でよるのか。
究極は因果なのか。
永遠の観点でいえばそんなことは取るに足らない。
君は、僕になにを求めてるのだろう。

光の柱は、まだ揺らめいている。
君はすっと僕の横にきて、耳からイヤフォンを外した。
今あることに思い悩むものじゃない。
どうせ明日も思い悩むのだから。

風が頬を伝った。
とても気持ちがよかった。

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ひだまりの中、物思いにふける。
そんな瞬間は、いつだってセンチメンタルになる。
いつのことだったか、日光の東照宮を訪れた際、参道の傍にある立て札を見た。「人の一生は重荷を負って遠き道を行くが如し、急ぐべからず」と記されてあった。
重荷とは、人の思い悩む種であろう。常に背負い、遠い道を一歩ずつ歩む。
焦らず、ひたむきにゆっくりと進むべきなのだ。

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