モビリティプラットフォーム化するウーバーによる労働の無形資本化
ニューヨーク・マンハッタンのタクシー会社がウーバーのアプリケーションで個人請負ドライバーと同一のシステムに入ることに合意したことを2022年3月24日付Wall Street journalが伝えた。
世界各国で、コロナ禍の在宅ワークでタクシー乗車需要が激減。個人請負ドライバーも減少したことで、運転手と台数を増やしたいウーバーとアプリを使って効率を高めたいタクシー会社とで利害が一致したという。
つまり、ここにきて問題は、個人請負というかたちから、
フランチャイズとフランチャイジー、そして、店舗で働く労働者というマクドナルドと同様の形になってきた。
さらに、タクシー運転手はタクシー会社との間でタクシーをリースしている個人請負労働者という形態にすでになっているので、
プラットフォームとしてのウーバー → タクシー会社 → 請負としてのタクシー運転手
というやたらと複雑な構造になった。そして、プラットフォーマーとしてのウーバーの戦略は、直接の労働需給コントロールから手を引きはじめて、モビリティプラットフォーマーの方向を色濃くしてきた。
いわば、交通のAmazon化。
この場合、情報通信労組の役割が大きくなるのか、それとも交通なのか。
考えることは多い。
形態は、どんどんと無形資本化する。こうなると、コミュニティの利害と関係なくなる。アプリによる需給調整や価格調整が株価と連動する利益構造になっていき、労働とのつながりが希薄化する。
利用者はタクシーをつかってもウーバーを使っても料金は変わらない。記事は、マンハッタン島から外に出て帰ってくるタクシーが空車にならずに済むという。
だが、法規的には、タクシーは街中で拾うもの、ウーバーはハイヤーと同様に電話、無線で呼ぶものをアプリにしたというもので、全く違うはず。
それをアプリで同一化してしまえば、これまでの法規制が有名無実化して、ウーバーが名目上もタクシーのような公共交通機関と同じになってしまう。
公共交通機関はそもそも、鉄道やバスと同じく貧富の差なく利用できるものでなければならない。
しかしハイヤーはそうではなかったはず。さらには、タクシーは公共交通を維持し、運転手の生活を守るために台数規制があった。
それがアプリ上で同じになってしまえば、タクシー運転手としてのインセンティブは雲散霧消する。
労組としてはこの決定をどう捉えるのか?
コミュニティの利益としての公共交通としてどうするのか?
行政の規制はどうあるべきか?
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