スペインのチームビルディングとセレクション事情 ~これからスペイン挑戦したい人のために~

現在、夏の終わり頃、9月は日本ではシーズンまっただ中です。

スペインでは今の時期がプレシーズンで9月の中旬くらいから来年の5月いっぱいまでの長いシーズンが始まります。

今回はスペインのチームが次のシーズンへの選手のスカウトだったりチームビルディングをどうしているのか。

また、この中で日本人がフットサル留学、移籍する時にどんなことを心がければ良いのかを僕の経験を元に考察します!

一部僕の意見も入っていますがほとんどの情報が今のスペインの"リアル"です。

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・目次・

Ⅰ. チームビルディング
-いつ来期の構想を作っていくか
-来期の構想とは
-スタッフ、選手の囲い込み、スカウト、Prueba

Ⅱ. 選手がすべきこと
-チームの選び方(カテゴリーとエージェント)
-練習へのトライアル(Prueba)
-チームの構想に入りやすい選手


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Ⅰ. チームビルディング

先ほど、スペインのリーグは9月の中旬~5月いっぱいという話をしました。

リーグ終盤、3月から5月末までの約3ヶ月。

リーグによっては優勝争いが激化し、最終節までもつれるような場合もあるかもしれませんが、

だいたいのチームがリーグを戦っている裏で、

3月くらいからチームの首脳陣が来シーズンの構想立て始めています。

首脳陣というのは、チームの会長、監督、スタッフなどです。

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リーグの最中でも次のシーズンのことを考え始めます。
日本では多少スカウトしたい選手に目星をつけることはあるかもしれませんが、ここまで本格的にはしないはずです。

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では、いったいどんな構想を練るのか。

構想とは、

シーズンを通してのチームとしての公約や目標、哲学など大きな軸を決め、トップチームだけでなく育成カテゴリーに至るまでのスタッフ陣が集まり、それを共有します。

いかに全スタッフがチームの指針を理解してシーズンを通して活動していけるかが良いチーム作りには必須です。

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スペインのクラブはどこも育成カテゴリーがあり、この縦の図式というかシステムがしっかりしているのが育成のレベルの高さに表れていると思います。
だからこそチームの"色"が一環されている。
日本では、育成という面で言えば僕の地元新潟の帝京長岡高校などは小学生、中学生チームもあり、一環した育成スタイルでそのまま高校にエレベーターで上がっていく子も多いです。

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そして、チームの構想が決まると、
それに当てはまるチーム作り、つまり選手のセレクトが始まります。

チーム内の構成としては、
ゴレイロ 2~3人
FP 10~15人

くらいです。

FPはだいたい11,2人が主です。
チーム内競争を高める、またその人数の選手を保持できる財力があるチームは15人のチームもあります。

まず、チーム内では、

主力、有力な選手は4月頃から練習の合間や前後で声がかかる。

チームで、来期も残留してほしい選手には4月くらいから声がかかってきます。

選手によっては他のチームからのオファーがある選手もいたりするのでそこへの返答はまだYesでもNoでもありません。

これくらいの時期になると選手たちにもなにかソワソワした空気があります。笑
練習前後の会話もあのチームのあいつはあそこに行くとか移籍市場の話で持ちきりです。笑

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そして、チーム外。

他のチームからのオファー、順当な移籍。

これで面白いというか当たり前なのですが

例えばそのシーズンにいたリーグの上位争いをしているチームの主力は上のカテゴリーのチームに入るし上位チームで不遇だった選手は中位のチームに移籍したりするし、基本皆が順当な移籍をしていきます。
それはもちろん自分が活躍できる、試合に出るための最良の選択なんだと思います。

そして、

上のカテゴリーからどんどんマーケットが閉まっていく。

これは当然ですが上のカテゴリーのチームがまず選手を自由に選択し、そこに漏れた選手を下のカテゴリーが拾っていく。

という流れが一部からもう一番下まで続いていきます。

だから、上のカテゴリーになればなるほど次のシーズンのチーム作りは早く終わり、下のカテゴリーになればなるほどギリギリまで粘れるのです。

日本だとチャレンジ的な移籍をしてそこから時間をかけてレギュラーを目指していくのが主流ですが、スペインは常に1年単位で考えられます。(選手の話です)
だから、自分が戦力としてしっかり数えられてる相応なチームに行くことがポイントとなってきます。

なので、次のシーズンになってみて

「あの選手はこのチームに行ったのかぁ」

という風に見るという楽しみもあります。
たまにビックリな移籍もあったり。

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チーム内の残留、

他チームの選手へのオファー、


そして、最後に行われるのが

Prueba(プルエバ)、練習参加

です。

これは、シーズンが終了した後の6月、もしくはシーズン終盤の5月中からオファーをもらっていない選手がそのチームへの練習参加をして契約してもらえるかどうかを見る場です。

シーズンが終わってからのPruebaはもう決まっている選手はバケーションに入り、少し動きたい既存の選手かユースの選手、と受けに来た選手でトレーニングをする形です。

なので、既存のチームの選手がほぼいない練習もあるらしいです。

日本でのセレクションのような感じですね。

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もうこの時期にはチームとしても来期の構想に当てはまる選手は大幅に決まっています。


だから、Pruebaはオファーを受けていない選手の最後の1枠に入るためのテストと言っても良いと思います。

Pruebaで決まる確率もありますがここまでくるとだいぶシビアです。
チームとして、もう来期の形が出来つつある状態に最後のワンピースとして自分を入れ込んでいけるかはその選手のアピール次第です。

その詳しい内容も下に書いていきます。

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Ⅱ. 選手がすべきこと

これからスペインに挑戦したい人のために。

選手としてチームと契約するまでにどういうことをしていけば良いのか。

経験した僕の意見を書きます。

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・チームの選び方(カテゴリーとエージェント)

まず、チーム探しですがほぼ100%

エージェントの方にお願いしてチームを探します。

エージェントの方とは、具体的に言うとスペインに住んでいる日本人の方です。

スペインのサッカー・フットサル界で活躍している方たちにお願いし、チームを探してもらうのが一般的です。

もしくはその日本人の方が知り合いの顔が利くスペイン人にお願いすることもあるかもしれません。

ぼくは3inkfutsalという会社の渡邉健さんにお世話になっていました。

気になった方はこちらから↓

3inkfutsal
https://www.3inkfutsal.com/

カタルーニャ地方でフットサルのチームを探す場合の顔の広さは確実に一番だと思います。
もちろん、他の地方でも日本人の方は何人かいます。

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・チームのカテゴリー選び

だいたいはエージェントの方に自分の動画を送りどのカテゴリーでプレーできそうか判断してもらいます。

その時の判断材料として、

自分のプレー動画は必須

です。

日本でやっている方はもし行くならば確実に自分のプレー動画を作っておくことをオススメします。

僕の話をすると、僕は2018年の6月からスペインに行ったのですが、元々5月に渡西し、いくつかのチームの練習に参加しチームを決める予定でしたが怪我の影響で出国が遅れました。
しかし、自分のプレー動画を材料に健さんにチームを当たってもらい、運良くそれでチームが決定しました。
僕が入りたかったSegundaB (3部)のカテゴリーのチームだったので本当にラッキーでもありました。

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・Prueba(プルエバ)、練習参加

チームとの契約にあたり大切なのがPrueba(練習参加)です。
スペイン語でPruebaはお試し、という意味の通りセレクションのようなものです。
ここでいかに監督やスタッフに良い印象を持たれるかが大切です。

Pruebaにも時期があり、

シーズン終盤の5月にPruebaできればやはり来期の構想に入る確率は高くなると思います。

なぜならば、チーム側がオファーには至らないが実力的に有力な選手を試すために練習に呼ぶケースがこの時期だと多いからです。

まだ構想の中盤段階ならば入り込むスキはあります。

6月になってくるともうある程度決まってきてスタッフ陣もバケーションがちらついてきます。

だから、この時期の練習参加になると死にもの狂いでアピールしなくてはなりません。

どんどん遅くなればなるほど契約は難しくなってしまいます。
そして、スタッフもどんどんバケーションを意識していきます。笑

スタッフ陣からすると

「誰かちょっと良さそうな人がいれば最後に引き抜こう。」

感覚だと思います。

日本の方が行くのであればなるべく早い時期(5,6月)に行くことをオススメします。
そして、早い段階でチームに練習参加できれば可能性は広がります。
先にも書いたように上のカテゴリーになるほどマーケットは早く閉まるので上のカテゴリーを目指している人ほど早めに動かなくてはなりません。

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・チームの構想に入りやすい選手

ポイントは3つです。

-コミュニケーション(語学力)

-守備ができるか

-武器を持っているか

です。

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-コミュニケーション(語学力)

これは軽視している人はいるかもしれませんがかなり大切です。

もちろん、圧倒的な実力があれば多少はなんとかなります。

が、シーズンを過ごしていくとチームの決め事や細かいところがしっかり理解できているか、

シーズン終盤でシビアな試合が多くなった時にその不安要素があるとチョイスされずらくなります。

あと、シンプルに

スペインはコミュニケーションをとるのが大好き

なので、とにかく分からなくても喋ろう、
一緒に楽しい時間を過ごそう。

という姿勢も大事です。 人間性というか。

もちろん、最初からペラペラで話すのは難しいので少しは分かるようにして行ってあとは現地でガンガン学ぶのみです。

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-守備ができるか

これが死活問題です。

僕のデジタルピヴォで書いたコラムを見た方は分かるかもしれませんがどれだけ守備を遜色なくできるかでカテゴリーが変わってきます。

ここで言う守備ができるかとは、

守備の原理原則を分かった上でどれだけ強度を上げられるか

です。

守備が分からないと正直かなり厳しいです。

分かっている上でプレスでどれだけ近くまで寄せて限定できるか。

ボールを奪えるか。

日本人はとにかくプレスが遠いと言われると多くの人から聞きましたし、実際に自分も言われました。

ここができる選手はよりコンスタントにチョイスされやすいと思います。

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-武器を持っているか

これは自分の選手としての色を持っているか。

そして、それを常に出せるか。です。

もちろん、ここに守備が強いというのが入る人もいるだろうし、点をよく取るとかプレースキッカーとか色々あると思います。

それをいかに自分の色として出せるか。

外国人として、スペイン人との違いが作れるか。

これがはっきりしている選手は目にも留まるし監督としても最後のピースとして組み込みやすいでしょう。

ポイントで出れるようなキャラクターを持っていることも大事でしょう。

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今回の投稿で少しはスペインのリアルが伝わったでしょうか?

選手として行く際はプロだろうがアマチュアだろうが

自分を一選手として市場で売り出す

必要があります。

自分は一選手として常に見られているという意識を持つことが大切です。

シビアですが選手としては燃えますよね。(^^)

最後まで読んで頂き
ありがとうございました!

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