NGT48の会見で山口真帆さんが悲しくも拓いたコミュニケーションの「次世代」
NGT48での山口真帆さんの暴行事件。その第三者委員会の報告をふまえての記者会見のまさにその瞬間、おそらくは狙いすました山口真帆さん本人の告発ツイート。
山口真帆さんの心の痛みに思いを寄せるとともに、これは記者会見という「戦いの場」が次世代に突入した最初の事例ではないかと思い、筆をとりました。
そもそもどういう事件なのか
第三者委員会の調査結果も公開されています。詳細はこちら
山口氏は、共用廊下に誰もいないことを確認してから、自分の部屋に入ろうとした。部屋に入ってドアを閉めようとしたところ、誰かが手でドアを押さえて、ドアをこじ開けてきた。山口氏は驚いてその人物の顔を見ると、それは乙であった。乙は、玄関の中に入り、山口氏の顔をつかんで押し倒そうとした。山口氏は、必死で乙を押し返し、部屋から押し出そうとした。山口氏が、もう少しで部屋から乙を追い出し、ドアを閉められそうになった時、向かいの部屋から甲が出てきた。甲は、乙を横によけて、山口氏の顔をつかみ、押し倒そうとしてきた。甲は、山口氏の目と鼻のあたりを親指と人差し指で、山口氏の両こめかみを押さえるような形で、顔面をつかんだ。
山口氏は、しばらく声もだせなかったが、1分後くらいに「助けて」と共用廊下に向かって叫んだ。すると、甲は、手で山口氏の口を押えてきた。乙は共用廊下にいた。
その時、エレベーターが停まる音がして、被疑者らがその音に気付き、甲の勢いが止まった。そこで、山口氏は、甲を共用廊下に押し出し、山口氏も共用廊下に出た。そして、山口氏は共用廊下にしゃがみ込んで、泣き叫んだ。エレベーターから降りてきた男性が山口氏の方に来ようとしたが、乙が男性を静止して、喧嘩しているだけと説明した。
山口氏は、携帯電話を首からかけていたので、警察に電話しようとしたが、甲に阻止された。山口氏が過呼吸になりながら泣き叫んだところ、甲が「ごめん、ごめん」と謝って慰めようとした。これに対して、山口氏は、「近づくな。」などと叫んだ。
甲は、山口氏に対して、「メンバーにも相談して、メンバーに提案されて、やったことだから。」、「こうすればまほほんと話せるよ、と提案された。」と言い、そのメンバーとしてA,B,Cの3人の名前を挙げた。
・・・言葉が出ません。
「第三者」委員会と言いつつもAKSの関係者が多く入っている委員会であり「空気を読む」必要があるだろう中で、この報告書というのは凄まじい内容と言えると思います。
(というか、これで不起訴になった理由が全くわからない… )
狙いすましたツイート
そんな運営の記者会見が、2019年3月22日(金) 13:30 から行われました。これは日本のメディア史に残る記念日と言えるかもしれません。
そして会見の最中に、下記のツイートが本人のアカウントから2ヶ月ぶりになされます。
山口真帆さんは賢い人だ、ということが良く分かります。つらかった思い、そして関係者に対して反撃したいという気持ちで、最高のタイミング・メディア・内容を狙いすまして投稿したのでしょう。(相手側からすれば、「最悪」のタイミング・メディア・内容だと思いますが。。)
そしてこれは、記者会見中に会見者と記者は関係者からの告発を意識しながら質問を行うことになる、という、「次世代」への転換点かもしれないと思います。
運営の「悪手」はどこだったのか
実際のところはどうなのか分からない、という話もあります。メンヘラが喚いてるだけじゃないの、と揶揄する声もあります。
ただ、繰り返しますが、AKSの関係者が多数かかわっている第三者委員会の報告が冒頭の通りなので、大筋、山口真帆さんの主張は正しいことは疑いようがありません。山口真帆さん、すげーよ。アイドルビジネスの闇の中でよくがんばったと思います。
そしてここからは推測も多分に入りますが、運営のどこが悪かったのか、という点を列挙します。
・最初の山口真帆さんからの告発を、寄り添うふりして結局は何もしないという「冷たい、表面だけの優しさ」
・「一人の告発を黙殺する」と「それを真正面から受け止めて多数のメンバーをクビにすること」を天秤にかけて前者を選んだ、今の時代を全くわかっていない判断ミス
・憔悴しきった本人に公演の場で謝罪させて叩かれないわけがないにもかかわらず、それが分からない感覚
僕らは「誠実であるべき時代」に生きている
本件は、マスメディアが情報を独占していた時代からwebで個人が発信できる時代への「過渡期」が今なのだということの象徴だと思います。
マスメディアが全てではない。とはいえ注目度の高いマスメディアの会見に対してSNSで反撃ができる。そしてそれがまずはSNSで話題になり、マスメディアで報じられてさらに広がる。
完全にマスメディアが「オワコン」になっていたら、そういう構造にはなっておらず、そんな「過渡期」の時代に生きている。そういうことなのです。
もはや、「告発者の口をつぐむ」、そういうことは通用しない時代。
告発者をないがしろにした発表をしたらその告発者が全力で反撃できる、そういう時代です。
もちろん、告発者の全てが正しいわけではないことは情報の受け手がきちんと留意する必要があります
振り返って考えてみると、組織、そして組織に生きる人間は、そういう反撃を受けないようにする、もしくは反撃を受けたとしても説明ができるようにする必要がある。
それは難しいことではなく、シンプルに「誠実である・誠意を持つ」ことが根本に必要なのだと思います。
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誠実に、誠意をもって人と向き合う。そういう、ある意味で当たり前のことが当たり前に問われる時代。
ITの進化によってそれが実現されたのだとしたら、それはとても悪くないことだな、とあらためて思ったのでした。
そして、山口真帆さんのこの努力が報われることを願ってやみません。
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