読書メモ20年19

概要

(題):みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」
(著):日経コンピュータ, 山端 宏実, 岡部 一詩, 中田 敦, 大和田 尚孝, 谷島 宣之

おすすめ度

★★★★☆

サマリ

みずほ銀行の勘定系システム「MINORI」を立ち上げるまでの軌跡と具体的な内容、2度起こしたシステム障害の中身が描かれた本。システム統合の難しさ、大手企業のスピードと意思決定の大事さ、ソフトは稼働開始してから陳腐化するという意味の重さを感じられる本

抜粋

みずほフィナンシャルグループが2011年6月に開始し、2019年7月に完了した勘定系システム「MINORI」の構築プロジェクト
開発規模は、35万人月
SOAと呼ばれる設計思想を全面採用。サービス指向アーキテクチャのこと。
参加ベンダー千社
「AS IS」の要件定義を禁止
9回、1年がかりのシステム移行作業
天眼システムと訓練によって成功
十の障害同時発生も想定
5年で720億円のコスト削減

震災後のシステム障害
夜間の一括バッチ処理が上限をオーバー、23年前の設計思想が影響拡大を招く
課題は、
①情報システムの仕様や設定が引き継ぎされておらず上限値ある事を知らない
②システム運用の油断、膨大な量が来る想定のバッチテストもせず
③リスク管理、会社として優先度を下げる
④緊急対応体制、担当役員が障害発生を知るまで17時間、対応が遅れる

三銀行統合時のシステム障害
勘定系システムを技術の問題とし経営の問題としなかった。よって情報システム部の現場任せが問題を招く
三銀行が元々持っていた勘定系システムの一つに統合、調査・議論しても一向に意思決定されないので、AT・カーニーが有意差はないというレポートを作成し、最後は決めで最終決定。報告書作成コスト4,000万円を割り勘できないから、3,900万円に値切る。(笑)
統合方針決定ができたという意味では安いが、レポート自体はこれまでの議論を簡単にまとめたものなので高額だったとも言える。

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