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初めてのWebライティング経験。ライティング前にペルソナ設定しないほうが良い。

はじめに

一般にWebマーケティングと呼ばれる業務をしているとよく聞こえてくるワードが「ターゲティング」です。


ターゲティングについては様々に説明されていますが "ターゲットを絞る" という概念は一致しているように思います。そしてセットで提示される主張が "まずはターゲットありき" ということです。


つまり一般的な感覚としては「まずはターゲットを考えるべきなのでターゲティングを最初に行いましょう」になります。


このターゲティングという作業、仮に "ターゲットの要件を定義する作業" だとすると、どんなプロジェクト(サービス)の場合に、プロジェクトのどの段階で、どれくらいの深度で行うべきか、などはある程度自分の軸となるものを持っていたほうが良いなと思っています。

例えば「ファッション系商品を全般的に取り扱うECモール」をスタートアップする時にターゲティングってどう考えれば良いのでしょう。

そもそも「ファッション系商品を全般的に取り扱うECモール」であればターゲットを絞り込むより、なるべく大多数のユーザーに使ってもらうことを考えるのが筋道なはず。

そのECモールがユーザーにとって便利であればみんな使うはずなので、「男性、30代、都内在住、職業は上場企業のサラリーマン、年収600万、etc・・・」等の性別、年齢、地域、年収、趣味嗜好、家族構成というターゲットの詳細を最初に詰めていく作業は無駄だと感じます。

仮に、無理にターゲット像を突き詰めていった結果、何の裏付けもない「妄想の産物」になっていた経験ってあるあるだと思うんです。
そして、その妄想の産物をベースに制作されたWebサイトってずいぶん偏ったWebサイトになる気がします。

今回は、ライティング時のターゲティングという作業はどのように利用すべきかを考えさせられた経験があったのでつらつらと書いていこうかなと思っています。(相変わらず自分用です)

結論としてはペルソナ最初にやらないほうが良いよねと思っています。

ミッション

有難いことに、先日ある子ども英会話教室を展開するクライアントからWebサイトのリード獲得数アップについて相談をいただきました。

僕がいただいたミッションは「Webサイトにおける主要なページをリライトしリード(問合せ)獲得増を目指す」ことです。

Webライティングの経験は初めてだったのですが、今回の案件で気づいたことを書いていきたいと思います。

当時このミッションをいただいた際、クライアントのサービス理解は進んでいたので解決したい課題は「どんなユーザー向けに文章を書けば良いか」ということでした。

その課題にぶつかった時にうまくライティングが進まなかったのですが、その原因がペルソナにあったと感じています。


ターゲットニーズのレベル分けという概念

よくターゲットの分け方として「潜在層」「顕在層」という言葉が使われます。

今回の例でいえば
【潜在層】将来子ども英会話を習いたいと思っている層、もしくは子ども英会話を習うであろう層
【顕在層】子ども英会話の必要性は既に感じており、具体的な検討に入っている層
というところでしょうか。

ここでお伝えしたいのは【顕在層】のニーズもレベル分けしといたほうが良いよねということです。

顕在層ユーザーを1人1人突き詰めていくと、当然ながら細かいニーズは違ってきます。
「小学3年の長男のリスニングの成績が悪くどうにかしてほしい」
「まだ幼稚園だが今から英語に耳を慣らして興味をもってほしい」
などなど。

前者の場合は、サービスの料金が高くても指導実績や指導の仕組みや外国人講師の存在に魅力を感じるかもしれませんし、後者の場合は逆かもしれません。

ただ、ほぼ全てのユーザーに共通しているニーズ(浅いニーズ)もあります。
・子どもに英会話を習わせたい
・教室の場所がなるべく自宅から近い、もしくは通勤や通学の帰り道
・安心感がある会社、安心感があるサービスが良い
・etc...

今回初めてのWebライティング経験はかなり苦戦したのですが、このニーズのレベルという概念を考えてからライティングが進み始めました

ターゲットニーズのレベルに応じたライティングが必要


ライティング時に考えたことをいくつかピックアップすると以下です。

・スマホのファーストビュー(最初の画面に映るコンテンツ)には何を書くべきか
・どのような順番でコンテンツを並べていくべきか
・各コンテンツには何を書くべきか

例えばスマホのファーストビューを例にすると・・・

今回のクライアントは知名度がなく自社の商圏にはマス広告を打ちまくっている大手競合があります。

クライアントのWebサイトに訪れたユーザーは、ほぼ大手競合のWebサイトを見た後だと考えて良いでしょう。

そうなるとユーザーが最初に考えることは「この会社って信用できるの?」です。これは浅いニーズ(ほぼ全てのユーザーが共通して感じること)になります。

ですのでファーストビューに設置するライティング文章として好ましいのは、ユーザーに安心感を持ってもらえるような自社の特徴です。(お客様数〇〇人、〇〇小学校のお子さん多数在籍、実績〇〇年など)

ファーストビューは最初に目に入る第一印象、挨拶のようなもの。
そこで知名度がないサービスが必死に自社の売りを訴えたところで響くものはないはず。
まずは安心感を持ってもらうことにプライオリティをつけなければいけません。

ターゲットニーズのレベル分けについて、大半のユーザーに共通した浅いニーズなのか、ある特定のユーザー層のみに当てはまる深いニーズなのか、を整理しておくこと。

これがライティング時のターゲティングにおいて僕が提案できるtipsの1つです。

先ほどの例のように、浅いニーズに対応しなければいけないこともありますが、一方である特定の層のみに響くUSPもあります。

そのUSPのライティングでは深いニーズに対応した文章を書かなければ機会損失に繋がります。

ライティング前に設定するペルソナは無駄

今回の僕の失敗は最初にペルソナを設定したことです。
1つのペルソナを設定してそこに執着を持ち過ぎました。

ペルソナ手法
ペルソナ手法とは検討対象となる商品、サービスなどから仮想の人物(ペルソナ)を想定し、その仮想人物に沿ったシナリオを作成する人間中心設計技法。
--Wikipediaより--

ライティングにおける最初にペルソナを設定することによる弊害は以下です。


①1人のユーザーに絞ってどうするの?問題
先ほどお伝えしたように、ライティングではターゲットニーズのレベル分けをしておいて、浅いニーズ深いニーズどちらにも柔軟に対応できるようにしておいたほうが良いと思います。

ペルソナというのは、いうなれば「深いニーズをイメージして言語化したもの」です。何千、何万といるユーザーの中から一部のニーズを抜き出して1人のユーザー像として形作ったものになります。

ライティングにおいてはペルソナのような"1人に絞り切る"という作業は無駄だと思っています。その1人のための文章を書いて他のユーザーを切り捨てるわけにはいかないからです。
ペルソナを作ってしまうとそれに捉われてしまうことがよくあります。

「こんなユーザーもいるよね」というイメージとして使うだけで、それをベースとしたライティングは行うべきではありません。

②無駄な情報が多い
ペルソナに入っている情報ってけっこうフォーマット化していますよね。

間違いなくあるのが、性別・年齢・地域などのデモグラベースの情報なのですが、これライティングの時あまり使えません。

というより、デモグラは「30代女性」くらいの浅いレベルで設定しておけば十分です。

ペルソナのように「33歳、女性、4歳の長男がいる、専業主婦、趣味は〇〇、なんでも積極的で最近はママ友から英会話教室の情報を収集中」というような細かい情報は、特にライティングスタート時には必要のない設定です。

校正の際には細かな言い回しに影響することもあるかもしれませんが、大筋のライティングを行う際には影響がないためです。

Webページライティングのターゲティングをどう進めるか

僕が次にWebページのライティング案件をいただいた際にどう進めるかを備忘録としておきます。

①ターゲットニーズの洗い出し
これは既存顧客のデータベース調査や、類似ユーザーへのインタビュー等を行います。
②ターゲットニーズのレベル分け
浅いニーズ深いニーズを整理する
③コンテンツ構成の立案
ターゲットニーズを踏まえたうえで、どのコンテンツをどんな順番でどんな主張具合で並べていくか
④ライティング
ターゲットニーズとコンテンツ構成案に合わせてライティング
⑤ペルソナで確認
完成した後にペルソナ設定し、そのペルソナにとって対象のWebページがどう映るかを議論

初期の段階で深いレベルのターゲットニーズも洗い出してインプットはしておきますが、ペルソナは作りません。

ペルソナを利用するのはむしろ最後にすると思います。
ライティングしたページがユーザーにとって魅力的に見えるか、という使い方をします。

ペルソナって仮説立案の際に作られることが多いと思うのですが、むしろライティングでは検証段階で有効な手法だという気がしています。

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