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営業でよく聞く「ニード」とは何かについて考えてみた話

皆さんこんにちは!

最近、珍しいことに営業的なお仕事をいただいたのです。
●Push営業部隊の構築
●クローザー(営業スタッフ)として商談担当

営業のハウツー本は素晴らしいものが他にたくさんありますから、そちらをご覧いただくとして...

今回は営業的なお仕事を通じて「ニード」について考える機会があったので、備忘録として書いておこうと思います。

"ニードレベル"とは何か


一言でニードといってもよく分かりませんね。
そこで、ニードレベルという概念を提唱したい。というか伝えたい。

ニードレベル
顧客が購入に至るまでの購入意欲を3段階に分けたもの
①対象の認識・理解
②必要性の理解
③個客に合わせた対象の具体化

Push営業部隊の構築の真っ只中で考えていたことなのですが

営業活動というのは、顧客に購入を決意させる活動のことですよね。
つまりお客様を「欲しい!買う!」という状態にさせることです。

これすなわち、ニードを高めていく作業になりますので、当然ながらニードが高まっていく段階があるわけです。

ニードが高まっていく段階を3つに分けたものがニードレベルになります。


①対象の認識・理解

「商品の特性・効能を認識(もしくは理解)してもらう」段階です。
もっと簡単にいうと「お客様ってその商品のこと知ってるの?」です。

例えば「車買いませんか?」という営業の場合、お客様に「車とは何か」という説明は不要ですよね。(人が乗れます、移動手段です、などなど。)
つまり、お客様も対象(=車)を認識・理解できている状態です。

一方で「MEOやりませんか?」という営業の場合、お客様は対象(=MEO)について認識・理解できていない状態がほとんどです。
※MEO = Googleマイビジネスの情報を上位表示させる対策のこと

基本的にお客様への初期アプローチ段階では警戒されていますから、お客様が対象について認識・理解できていない場合、警戒されている中で「そもそもこの商品は何なのか」という説明が必要になります。

なので対象が認識・理解されていて共通言語として齟齬なく会話が成り立つのか、という観点は営業のスタートラインとして非常に重要なことなのです。


②必要性の理解

「顧客に商品の必要性を理解してもらう」段階です。
この段階の目的は、お客様に「ほしい!」「買ってもいいかも」と思わせることです。

ニードレベルの中でも最も重要な部分、特にPush営業では欠かせない段階になります。
(Pull営業の場合、お客様は既に必要性を理解しているためです。)

勘違いしてしまいやすいのですが、この段階では自社商材をお勧めする必要はありません。
例えば、トヨタのレクサスを販売する場合、まずは車の必要性を理解してもらい、次に(車の中でも)レクサスの良さを理解してもらう、という流れになります。

本ステップでは、あくまで「車」の必要性を理解してもらう段階なので、自社商品の必要性まで理解してもらうことは必須ではありません。

具体的には、「期待」と「焦り」でトークを組み立てるという手法があります。

【期待】
客観的・本質的なデータや事実を根拠にして「この商品が必要である」と伝達。"◯◯という事実があるから、この商品を利用することであなたのメリットに繋がるんだよ"
【焦り】
お客様の期待が高まった後に「お客様の現状」やtoBであれば「クライアントの競合他社情報」を伝達。"商品を導入していないことで損をしてしまっているよ"


③個客に合わせた対象の具体化

「商品導入の具体的なイメージを持ってもらう」段階です。
よく"夢トーク"と言われる部分になります。

前段階の必要性の理解がしっかりハマっていれば、既にお客様は「ほしい」という気持ちが強くなっています。

そしてこの段階で商品導入の具体的イメージ="夢"を持ってもらいます。

例えば、HP制作であれば、どんなHPにすれば良いかお客様と一緒にコンテンツ案を考えていく。
例えば、電力切り替えであれば、お客様の使用状況に合わせて毎月いくら安くなるのか試算してあげる。

など、とにかく導入した後のワクワク感を膨らませていく作業です。


ニードレベルを無視した営業モデルは惨敗だった

まずは下の表をご覧ください。

営業結果

これは全く同じ商品を2つの営業モデルで販売した結果です。

結果はご覧の通り、受注率に約4倍に開きが出るという結果になりました。

なお、共通している点は、どちらの営業モデルも「新規のお客様へ電話によるPush営業」という点です。

【直説明モデル】
電話が繋がったお客様へ商品説明を行い、そのままアポを取ります。
初回の電話から受注まで1名のスタッフが担当します。

【資料送付モデル】
電話が繋がったお客様へ、とりあえず資料送付を行います。
後日、別のスタッフ(クロージング担当)から後追いの電話を実施し、アポを取ります。

要因はなんでしょう。

(そもそも営業ステップが増えればそれだけ率が落ちるから、資料送付組み込むモデルが悪いに決まってるじゃん、という点は今回は置いておいて)

ニードレベルの観点から考えてみましょう。

今回、販売した商品は一般的に普及しているものではなく、お客様にとって理解しづらい、耳にしたこともないような商品でした。

つまり①対象の認識・理解の段階で、まずはお客様に商品の説明が必要な商品だったのです。

商品自体がお客様に認識・理解されていない場合、一言・二言で興味を持ってもらうことが難しいです。
そのため、営業スタッフは初めてお客様と通話できた段階から丁寧に商品を説明し惹きつけを行う「プレゼン行為」が求められます。

直説明モデルでは、1人のスタッフが受注までの責任を負うため、初回アプローチで警戒されている状況から丁寧に説明し興味づけをしていきます。
=プレゼン行為

一方、資料送付モデルでは、初回アプローチ担当のスタッフは資料送付をすることで責任完了。もちろん多少は商品の説明をしなければ資料送付もできませんが、お客様に何とか興味を持ってもらおうとまでは意識しません。

ですので、今回の商品のニードレベルを考えると、お客様が商品を理解していない状態からスタートするわけですから、資料送付モデルという「とりあえず資料送れ!」という営業モデルはそもそも合わないのです。

ちなみに、資料送付モデルにトライしたのは、分業制にして拡大したかったから。1人のスタッフが1人のお客様と丁寧に向き合うより、アプローチとクロージングのスタッフを分業にして、効率よく数を追ってもらおうと考えたのです。
他の商材では資料送付モデルでうまくいっているものも多かったですからね。

とりあえず、ニードレベルを無視した営業モデルはうまくいかない、ということが分かりました。
いま取り組んでいることは、この学びを得た上で、改めて分業でトライすべく以下のことをチャレンジしています。
(1)商品リテラシーが高く必要性を感じてもらいやすい顧客リストに絞る
(2)初回通話のゴールを資料送付ではなく、もっと顧客メリットのあるものに置き換える

まだまだこれからですが、(1)については徐々に良い結果が出始めています。


おわりに


ニードレベルは商材やターゲットによって異なります。
さらにPush営業(自社から提案していく)かPull営業(お客様から問い合わせがある)かでも変わります。

「ニードレベルのコントロール」と「顧客の上に立つ」を実践することで受注に至る↓

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営業行為は ①営業技術 ②商材知識 ③顧客理解 が全て揃っていないと難しいものです。

①についてのハウツー本はたくさんありますが、②と③が意外と少ない気もします。今回のニードレベルは、まさに②と③の話。

今後もし営業モデルを構築したり、営業トークを考案する機会があれば、ニードレベルという概念を考えてもらえると役に立つかもしれません。

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