自由に使える国境線シェープファイル(日本国内対応版)

 以前、以下の記事でも紹介しましたが、世界銀行が公開している国境線データがあります。

 Creative Commons ライセンス 表示 4.0 という二次利用に寛容な許諾条件で配布されているだけではなく、シェープファイルやファイルジオデータベース、GeoJSON等さまざまなフォーマットで配布されていたり、国境線の図形情報だけではなく各国語での国名やテーブル結合に使えそうなID情報等の属性を含んでいたりするなど、国境線のGISデータとしては非常に使いやすいものの例と言えます。

世界銀行配布データの属性情報

 しかしながら国境線というのは必ずしも全世界で同一視されているものではなく、帰属が定まっていない地域や、複数国間の係争対象となっている地域などもあるため、「すべての人に受け入れられる国境線のGISデータ」というものは存在しえません。例えば、アフリカの西サハラ地域は、この世界銀行データでは「Disputed Area(係争中の地域)」とされています。

西サハラ

 また日本周辺でも、たとえば北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)については、図形情報自体が描画されておらず、「北方領土は日本固有の領土である」という日本政府の見解と異なったデータとなっています。

北海道と北方領土

 本投稿の目的は、「学校教育に用いる国境線のGISデータを紹介すること」であり、「日本政府の見解と異なる領土情報を公開している国際機関を糾弾すること」ではありませんので、これ以上の追求は控えますが、いずれにしても、中学校・高等学校の地理等、学校教育に用いる教材の素材としては適切な状態とは言えません。

 2022年度から高等学校で「地理総合」が開始され、このようなGISデータの活用機会も増えてくると思いますので、学校教育で利用できるよう編集を加えたものを本記事で公開します。ダウンロードはこちら↓

以下、公開データの詳細情報です。

  • 世界銀行公開のデータに基づき 、主に日本領土に関して、日本政府の見解と異なる箇所に @KentoIDEが編集を加えたものです。

  • 利用条件は公開元データ(Creative Commons 表示 4.0)に準じます。
    商用・非商用を問わず自由にお使いいただけますが、利用の際には著作権者情報(世界銀行、@KentoIDE)を記載ください。

  • 日本領土以外の係争地については原則として元データそのままとなっていますが、学校教育での使用に不適切な箇所がありましたら、製作者Twitterアカウントまでお知らせください。

  • その他データについての詳細は世界銀行の元データ公開ページをご確認ください。

 以上、今回はデータの紹介記事でした。いよいよ4月から多くの高等学校で地理総合が始まりますので、カリキュラムの検討や教材の準備に悩まれる先生も大勢おられると思いますが、少しでも助けになればと思います。


最後に
 
本記事で紹介した国境線シェープファイルは、世界銀行作成データをもとに、主に日本政府の見解による日本周辺の帰属に関する情報を反映したものですが、世界銀行、日本政府、本記事執筆者いずれかの見解とも完全に一致しているものとは限らず、この3者はいずれも本データの内容に責任を取る立場にないことをご了承ください。

 本データをご利用の際は、改変を許容するライセンスで頒布されていることの意義をご理解いただき、各々の用途に応じて変更・修正の上お使いになることをご検討ください。


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