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俺、夢諦めます。〜夢破れし人でも新たな夢を追える〜 留学生日記#8

こんな簡単に選択できないと思っていた。自分の可能性をこんな簡単に捨てるとは思ってもいなかった。
普通だったら悔しいんだろう。でも、清々しかった。
本当だったら泣きたいのかもしれない。でも、新しい世界を見ることができた。確実に狭窄されていた視野をもう一度、広げることができた。
正直、自分の欲しかった答えがこれだったのかどうかわからない。それでも、自分の答えははっきりとした。自分の漠然としていた道が明確になった。死に物狂いで目指した夢は、ついさっき儚く散った。儚くなんて贅沢な言葉は使えないかもしれない。ただただ、消えてなくなった。
新しい世界に向けて、新たな夢を目指して、走り続けよう。
そう思った。そう思えた。

皮肉にもサッカー界とはサッカーの試合とは違って、「勝利する者と敗北する者」の数が1対1では無い。勝利する者が1人に対して、敗北者は多数存在する。プロの世界はそんな甘くはなく、敗北者は生計を立てられなくなる。
"自分"は敗北者になることは怖く無い。でも、自分の人生だけを今後背負っていくのか?というと答えは限りなくNoに近くなってしまう。"他人"の人生を生きるのに、自分だけリスクを感じずに生きていくなんて不可能。確実に他人に迷惑しかかけていないじゃ無いか。そんな人生を歩むということは、自己中心的にも程がある。そんな人生を歩みたいかというと、そうでは無い。それを考えると、プロの世界で生きていくことは相当厳しいものになる。
しかも、プロの世界で生きるということはそれ特有の知識が必要。俺みたいなドが付くほどの素人の記事だけで得たような浅はかな情報では、全く足りないし歯が立たない。記事では語られないものがプロの世界では山程あり、何なら記事で得られる情報はコップに貼られた水の表面張力程度。それを全て知るためには10年でも全く足らないレベル。
そんなスパンでやったとしても、ほとんどの確率で残念ながら成功はしないし、プロだからこそ1年でクビになる可能性が十二分にある。契約が残っている際に切られても、実際に違約金を払われるケースはメガクラブレベルでしかない。それらを知ったうえで、プロでやるというのは難しいというか不可能に感じた。
他人の顔を想像した時に、1番近い他人の顔を想像した時に、自分はその判断が不可能だった。

こっちに来る前の俺は、絶対にドイツで活躍してやる。ドイツで活躍するためにドイツ語を勉強してもっと上のステップへ行ってやる。そう思っていた。厳しいなんてことを理解せずに、それを志して、夢ばっかり見ていた。長い睡眠を経て、留学最終日前日、遂に目が覚めた。
「”夢”を見るのは止めよう」と。

世界中に夢を持つ者がいると同時に、世界中に夢が破れる者がいる。俺は後者の1人であると同時に、新たな前者の1人になった。
残念ながら、自分がプロの世界で活躍するということは諦めた。諦めがついた。だから、心の底のどこかで難しいかもしれないって思っていたことを言ってもらって嬉しかったのかもしれない。
そして、また新たな夢ができた。
「日本で、日本を底上げするという夢」が。
恐らく俺は大学をもってサッカーを離れる、そんな人間になるのかもしれない。大好きなサッカーから離れるのは難しいけど、それもまた現実。もちろん、サッカーには関わっていたいし、サッカーには関わり続けたいと思う。だから、何かしらサッカーには投資をしていくのだろう。それが時間なのか、お金なのかは知らない。でも、それを賭けてまで、やっぱりサッカーに関わっていたい。だからこそ、これからも一生関わっていくためにもサッカー以外を頑張りたいと思う。サッカーに戻ってくる日を待ちながら、その日へのエネルギーを蓄え続けながら、自分の今できることをやってみよう。そう思う。

"で敗れた"ものは取り返しがつかず、人生を賭けて来た分、失うものはとてつもない。
しかし、夢"が破れた"ものは新たな夢を見る資格が与えられる。新たな夢に向かって一歩一歩進んでいくことができるわけだ。
いつ夢を見ることをやめるのかはさまざまで、簡単に辞める人もいれば、いつまでたっても止められない人すらいる。
俺はこっちに来てやっと気づくことができた。自分の望んでいるものの実現可能性は限りなくゼロに近いと言うことを。
幸い自分は、何かを決断する直前だった。だから、自分としては取り返しがついたのかなと思っている。正直、人生を考えるという大きなものを得れただけで、今回の留学は成功と捉えていいのかも知れないと思った。
こうじゃなきゃいけないって自分の拘りが消えた今、自分としては重荷が外れたみたいで楽になった。いつしか、自分の夢は自分の足枷になってたのかも知れない、呪縛のようなものだったのかも知れないと思うと、それを知れただけで大満足だった。本当に有意義な時間を送れたと個人としては思う。

こっちで助けてくれた、関わってくれた、興味を少しでも持ってくれた人に心から感謝をしたいと思う。

本当にありがとうございました!!!!!!

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